受験生の食事〜タンパク質・アミノ酸編②〜

  • 2021.05.31
  • 受験レシピ

前回は、体の筋肉や骨、脳などのあらゆる細胞の材料となるタンパク質の重要性と、それらを構成するアミノ酸の中で受験勉強に有効な働きが期待できるものをご紹介しました。


勉強するにあたって直接関係する脳の神経細胞や伝達物質を作っているのもタンパク質ですが、タンパク質と一口に言ってもそれを含んでいる食物は様々です。肉や魚、卵、豆、穀物、野菜などあらゆる食物にタンパク質は含まれています。

そこで、今回はより具体的にどのような食物にタンパク質が含まれており、それぞれの食物にどんな働きや特徴があるのかについてご紹介したいと思います。



 

【動物性タンパク質】

動物性タンパク質は、植物性タンパク質に比べて消化が早く吸収されやすいうえ、アミノ酸バランスに優れた良質タンパク質が多い特徴があります。


<肉>
肉類はタンパク質の量が多く、それらを構成するアミノ酸のバランスも非常に良いため、体内で効率的に栄養素が機能します。
動物の肝臓であるレバーにはとくに鉄分が豊富で、その他の栄養価も高い特徴があります。

・鶏肉……鶏肉は消化がよく、他の肉類と比べて低脂質な特徴があります。鶏胸肉・ささみには疲労回復効果のあるイミダペプチドという栄養素も含まれています。
・豚肉……豚肉は良質なタンパク質のほかに、エネルギーの生産を促すビタミンB1(熱にも強い)が非常に多く含まれています。
・牛肉……牛肉はタンパク質だけでなく、ビタミン・ミネラルも豊富で、特に貧血予防の鉄分や正常な味覚維持を保つ亜鉛が豊富です。


<魚>
魚類は良質なタンパク質が多いだけでなく、青背魚の脂には脳や神経組織の発育や機能維持に効果が期待されるDHAやEPAといった必須脂肪酸も豊富です。
そのほかにも、カツオやマグロの赤身などには体内でタンパク質を利用する際に必要なビタミンB6も豊富に含んでいます。


<卵>
卵は、雛がかえるのに必要な栄養素(良質なタンパク質、ビタミン、ミネラル、脂質、糖質 など)が凝縮されているため、ほぼ完全な栄養食品です。
しかし、唯一足りないのがビタミンCと食物繊維のため、野菜や果物と一緒に食べるのがおすすめです。
ゆで卵などは手軽で受験生の補食などにも最適です。


<乳製品>
乳製品はタンパク質が豊富なだけでなく、そのタンパク質に含まれるカゼインが、本来体内では吸収利用されにくいカルシウムの吸収率を高めてくれます。
カルシウムは受験生にとっても重要で、脳の活動をスムーズにすることや、骨量の健全な発育には欠かせません。





【植物性タンパク質】

動物性タンパク質を含む食物と比べて、含んでいるアミノ酸の種類や量は少ないものの(=タンパク質の質や量が低い)、食物繊維や糖質が豊富で、脂肪も低い特徴があります。


<大豆(豆類)>
大豆は主成分がタンパク質であることから「畑の肉」と言われます。
大豆や大豆製品の中には強い抗酸化作用を持ったイソフラボンという成分が含まれており、コレステロールの上昇を抑制したり、女性ホルモンと似た働きをします。また、大豆を発酵させる(納豆、味噌 など)ことで、ビタミンが増え新たな有効成分が作られます。


<穀物>
穀類といえば、炭水化物のイメージがありますが、米や小麦などの穀物にもタンパク質は含まれています。お米(精白米)はタンパク質のもととなる必須アミノ酸(体内で作ることの出来ないアミノ酸)を全て含んでいますが、その中でリジンというアミノ酸の含有量が少ないため、お米だけを食べていても十分なタンパク質は合成出来ません。そこで、リジンを多く含む豆類(納豆や豆腐、味噌)などと一緒に食べることで、不足していたアミノ酸がカバーされタンパク質合成が効率よく行われます。


<野菜・果物>
野菜の中でも比較的沢山のタンパク質を含んでいるのが、ブロッコリーや芽キャベツ、枝豆(枝豆は熟す前の大豆で緑黄色野菜に分類される)などです。また、野菜や果物に多く含まれている食物繊維やビタミン、糖質などはタンパク質を利用した筋肉の増強や、回復、組成などを補助してくれます。






動物性タンパク質だけでは脂肪の過剰摂取に繋がり、植物性タンパク質だけでは必須アミノ酸や鉄分の欠如が引き起こされるため、両方をバランスよく摂取する必要があります。

また、タンパク質はこのように様々な食物に含まれており、含有量は違えどそれぞれにその他必要な栄養素(糖質、ビタミン、ミネラル、食物繊維 など)が含まれています。


そのため、多くの食品からタンパク質を摂取することが、栄養バランスを整えることにも繋がります。「健全な精神は、健全な肉体に宿る」といったように、健康な肉体(骨、筋肉、免疫機構 など)があってこその、健康的な生活や受験勉強であることを忘れずに、日々の食事から自分の体づくりを意識してみてください。


 

<レシピ>

栄養丸ごと!ボーンブロス




【材料】(作りやすい量)

・手羽元……500g
・ネギ(青い部分)……1本
・しょうが……1片
・ニンニク……1片
▼▼▼ A ▼▼▼
・昆布……1枚(8×8cm)
・塩……小さじ1/2
・酢……大さじ1/2
・酒……大さじ2
▲▲▲ A ▲▲▲
・水……適量
(・人参……1/4本)
(・玉ねぎ……1/4個)
(・セロリ……5〜10cm)


【作り方】

①手羽元は流水で軽く洗い、人参、玉ねぎ、ニンニクは皮をむかず2等分程に切る。

②炊飯器に、手羽元、ネギ、しょうが、ニンニク、野菜(ヘタなどもあれば綺麗に洗って入れる)とAを加え炊飯器の目盛りの一番上まで水を注ぎ(5合炊きの場合約1ℓ程度)、普通炊きで炊飯ボタンを押す。

③炊飯完了後、保温のまま約半日置いて、ザルでスープをこしたら出来上がり。
*手羽元の肉は簡単にほぐれるので、骨からはずして料理に使う。
*野菜も皮やヘタ以外の部分は料理に使えるため分けておく。

 


ボーンブロスとは『骨のスープ』のことで、じっくり骨ごと煮込みながら栄養素と旨味を抽出したスープです。

骨に含まれるコラーゲンやカルシウムなどのミネラルだけでなく、タンパク質の素となるアミノ酸もスープとして消化・吸収の良い形で摂ることができます。



また、炊飯器の保温機能を使うことで長時間煮込む手間がなく簡単に作ることができます。
今回は野菜を皮ごと加えさらにビタミンやミネラルもプラスしました。

 

(ボーンブロスで簡単アレンジレシピ)
 

栄養・旨みがギュッと詰まった!チキンそうめん




【材料】(1人分)

▼▼▼ B ▼▼▼
・ボーンブロス……300ml
・しょうゆ……大さじ1
・みりん……大さじ1
・塩……2〜3つまみ
▲▲▲ B ▲▲▲
・そうめん……1束
・ネギ……適量
・ほうれん草……適量
・ボーンブロスで出た鶏手羽元肉(ほぐしたもの)……適量


【作り方】

①たっぷりのお湯を沸かし、そうめんを茹でる。(袋に表記してある茹で時間に従う)

②鍋にBを入れ一煮立ちさせ、そこにボーンブロスを作った時に出た手羽元の肉をほぐしたものを入れて一緒に温める。

③お好みで上に添えるネギを千切りにし、ほうれん草などを茹で食べやすい大きさに切る。

④そうめんが茹で上がったら、ざるにあげて流水で冷やして水気をきる。

⑤器にそうめんを盛って鶏肉、ネギ、ほうれん草をのせ、上から②のボーンブロスの出汁つゆをかけたら出来上がり。

 

 

(ボーンブロスで簡単アレンジレシピ)
 

あっという間に!本格鶏がゆ


【材料】(1〜2人分)

・ボーンブロス……150ml
・ご飯……150g
・しょうゆ……大さじ1/2
・塩……1つまみ
・小ねぎ……適量
・ボーンブロスで出た鶏手羽元肉(ほぐしたもの)……適量


【作り方】

①鍋に材料を全て入れ、中〜弱火で5分ほど時々かき混ぜながら、ご飯が粥状になるまで煮たら出来上がり。
*お好みで卵や、ごま油、あればボーンブロスに入れた野菜などを加えても美味しいです。
 



ボーンブロスは作ったものを冷凍保存しておくと、時間がないときなどに上記のような簡単な一品が作れます。
お肉の旨みと栄養がたっぷりと出たお出汁なので、最後の汁まで安心して美味しく食べてください! 

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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