2020年の中学入試から、今回は須磨学園中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2021年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.須磨学園中学校入試の特徴
2.2020年の入試データ
3.大手塾別合格者数
4.科目別成績データ
5.2020年度入試からみる科目別の傾向と対策
6.まとめ~須磨学園中学校合格への道~
1.須磨学園中学校入試の特徴
須磨学園中学校の入試は第1回から第3回まで3回あり、統一入試日初日午前中に第1回、2日目の午前中に第2回、2日目の午後に第3回の各入試が行われます。
第1回と第2回は国語・算数・理科の3教科型または国語・算数・理科・社会の4教科型を選択します。試験時間と配点は国語と算数が各60分の150点、理科と社会は各40分の100点で、3教科型が400点満点、4教科型500点満点となり得点率で判定します。どちらを選択しても合否に有利不利はありません。
第3回は2教科型で算数・国語の2教科または算数・理科の2教科の選択となります。試験時間と配点は各科目60分の150点、2科目300点満点で判定します。
また、須磨学園の入試は複数回受験をすると加点制度があるのも特徴的です。
須磨学園には最難関国公立大学を目指すBコース(募集定員40名)と難関国公立大学を目指すAコース(募集定員80名)があり、最初にどちらかのコースを選んで受験します。Bコースを選択しBの合格点に達していなくても、Aコースの合格点に達していればAコース合格となります。
2.2020年の入試データ
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
120名 (Aコース80名、 Bコース40名) |
1,075名 (1回214名、2回405名、3回456名) |
1,054名 (1回210名、2回403名、3回441名 |
426名 (Aコース234名、 Bコース192名) |
2020年の須磨学園中学校入試は志願者数、受験者数共に昨年に比べ大きく減少しましたが、昨年飛躍的に増加した反動で例年並みに戻った感があります。
実質倍率も第1回入試で約2.3倍、第2回入試と第3回入試でも約2.5倍と人気校であることがよくわかります。
3.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の須磨学園中学合格者数は多い順に下記の通りでした。
(人)
浜学園 |
日能研 |
馬渕教室 |
進学館 |
希学園 |
159 |
93 |
45 |
32 |
28 |
第一ゼミナール |
SAPIX |
成基学園 |
能開センター |
|
12 |
10 |
2 |
2 |
|
やはり、浜学園の人数は目立ちますが須磨学園は神戸市の学校ということもあり、兵庫県に強い進学館の合格者数も目を引きます。また、兵庫県の中規模進学塾の若松塾でも30名の合格者を出しています。
4.科目別成績データ
須磨学園中学校合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
(点)
科 目 |
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 (第1回・B) |
84.5 |
98.6 |
14.1 |
国 語 (第1回・A) |
84.5 |
92.3 |
7.8 |
国 語 (第2回・B) |
94.0 |
115.1 |
21.1 |
国 語 (第2回・A) |
94.0 |
104.1 |
10.1 |
国 語 (第3回・B) |
99.4 |
116.2 |
16.8 |
国 語 (第3回・A) |
99.4 |
110.3 |
10.9 |
算 数 (第1回・B) |
84.9 |
120.1 |
35.2 |
算 数 (第1回・A) |
84.9 |
98.8 |
13.9 |
算 数 (第2回・B) |
81.2 |
107.2 |
26.0 |
算 数 (第2回・A) |
81.2 |
93.3 |
12.1 |
算 数 (第3回・B) |
83.0 |
111.7 |
28.7 |
算 数 (第3回・A) |
83.0 |
96.2 |
13.2 |
理 科 (第1回・B) |
62.0 |
76.2 |
14.2 |
理 科 (第1回・A) |
62.0 |
66.9 |
4.9 |
理 科 (第2回・B) |
64.1 |
76.7 |
12.6 |
理 科 (第2回・A) |
64.1 |
68.2 |
4.1 |
理 科 (第3回・B) |
97.7 |
116.6 |
18.9 |
理 科 (第3回・A) |
97.7 |
101.2 |
3.5 |
社 会 (第1回・B) |
63.3 |
66.0 |
2.7 |
社 会 (第1回・A) |
63.3 |
69.4 |
6.1 |
社 会 (第2回・B) |
65.0 |
72.9 |
7.9 |
社 会 (第2回・A) |
65.0 |
66.6 |
1.6 |
(※第1回、第2回の国語、算数は各150点、理科、社会は各100点、第3回は算数、国語または理科が各150点)
他校と同様に須磨学園でも算数で大きく差が出ていて、第1回のBコースでは35点以上も開きがありました。一方、今年の国語は昨年や一昨年ほど差がつきませんでしたが、それでも第2回のBコースでは21点以上の差があります。
Bコースを志望するなら、算数はもちろんどの科目もかなりハイレベルな学力が求められるでしょう。
5.2020年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の須磨学園中学校の第1回入試を中心に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
須磨学園中2020年の国語入試は昨年同様に難易度の高い試験でした。前述「4.科目別成績データ」を見てもわかるように算数だけでなく国語でも受験者平均点と合格者平均点で大きく差が出るのも須磨学園の入試の特徴です。
昨年と同様、出題形式は読解問題2題の構成でした。2017年までは語句・文法などの知識問題の小問集合もあり大問3題構成でしたが、昨年より2題構成に変わっています。
須磨学園で取り上げられる素材文は大人向けの文章で難解なものが多く、理解して読み進めるには時間を要したかもしれません。文字数自体はさほど多くはありませんが、問題の選択肢が多く、なかなか一つに絞り切れない難しさがあります。
また、毎年10~30字程度の記述から100字程度の記述まで、様々な記述問題が出題されています。文章の要点や人物の心情を傍線近辺の内容を最大限に利用するなどしてまとめる力を養いましょう。
◆算数
須磨学園中2020年の算数入試はここ数年と比較しても平均点が低く、難易度の高い試験でした。出題形式は例年通りの大問5題構成で、そのうち2題は解き方も必要とする問題でした。
難問と易問が混在した幅の大きい内容でしたので、難しい問題を後回しまたは捨て問と見切りをつけ、易しい問題から解くことができれば合格点にたどり着けたと思います。
今年の大問5問の内3番の「場合の数」の問題は⑴だけ解いて、あとは捨て問にするか後回しにできたかどうかがポイントです。かなり難易度が高い問題でしたので、時間を要したのではないでしょうか。
逆に最後の5番の問題はとても易しいオーソドックスな「ニュートン算」でしたので、こちらで確実に点数を取りたかったところです。3番で時間を取られて5番に要する時間が足りなかった受験生も多かったのではないでしょうか。しかし、それは非常にもったいないことです。決して難易度順に並んでいるわけではないので、きっちりと取捨選択ができる受験のテクニックも必要です。
頻出する「数の性質」「場合の数」「立体図形」などは特に基礎的な問題を繰り返し練習し、正しく理解できているかを見極める必要があるでしょう。
◆理科
須磨学園2020年の理科入試はここ数年で見てもやや易しい試験でした。例年通り生物・化学・物理・地学の各分野がこの順番で出題される4題構成でした。
問題数は昨年より大きく減少し30題と多くはありませんでしたが、見開きの1ページもある問題文を読まされるなど、問題文の長さで苦労したかもしれません。
須磨学園の理科の特徴は、普通に理科の学習をしているだけならあまり見ることのない、なじみの薄い言葉が出題されます。今年は柿の渋み成分の「タンニン」や「ヒートポンプ」「鍾乳洞」などが出題されました。
このような教科書にないような初見の言葉に慣れていないと動揺してしまうかもしれませんが、問題文を読み進めるときちんと解答できるような内容になっていますから、焦らず落ち着いて読み進めましょう。読解力は必須ですから長文対策をしっかり行い、須磨学園特有の問題に慣れておくため、過去問は繰り返し演習しておきましょう。
◆社会
須磨学園2020年の社会入試は例年並みの難易度でした。歴史・地理・公民の3分野から満遍なく出題され、基本的な一問一答の知識問題から思考力を要する記述問題まで幅広い学力が求められます。
小問数はここ3年ほど減少傾向で昨年同様40問弱でした。図やグラフなどの難問もあるので、時間内に解き終えるには解く順番やスピードに配慮する必要があります。
時事問題も毎年出題があり、政治分野からの出題が多いので日ごろからニュースや新聞などで社会知識を得ておくと良いでしょう。また過去問演習で須磨学園ならではの問題に慣れておきましょう。
6.まとめ~須磨学園中学校合格への道~
今年も1月に中学入試が終わり、例年でしたら4月から一斉に新学年をスタートできるはずでした。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で前代未聞のイレギュラーなスタートとなり、夏休みも2学期のスタートも例年とは異なる状況となりました。
それでも来春2021年の入試は通常通り行われることは決まっています。日々準備していく他ありません。
須磨学園は「なりたい自分になる」をスローガンに主体性を重んじ、充実した設備と独自のプログラムを展開、意識の高い人材を育てている文武両道の男女共学校です。最難関国公立大学や医歯薬系への現役合格目指す手厚い指導体制が人気の兵庫県を代表する進学校です。
小学生が自分1人で難関校の受験勉強するのはとてもたいへんだと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロにめに相談することをおすすめいたします。