【最新版】灘中合格への道!2021年入試から見えてくる傾向と対策

  • 2021.03.25
  • 受験情報

 

 

2021年の中学入試から、日本最難関中学と言われる灘中について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析し、各科目の傾向やポイント、来年の入試対策について徹底解説いたします!

 

~*はじめに*~

今年も関西では1月に中学入試が終わり、2月からはどこの進学塾も新学年としてスタートを切りました。今回から難関各校の今年度入試をシリーズで振り返ってまいります。

まずは第一弾として、今年も灘中学の入試について解説いたします。

 

CONTENTS:

1.最新(2021年)灘中、入試データ

2.都道府県別、志望者・合格者数

3.灘中受験の日程パターン

4.大手塾別合格者数

5.科目別平均点

6.灘中、科目別の傾向と対策

(◆国語、◆算数、◆理科

7.まとめ~灘中合格への道~

 

1.最新(2021年)灘中、入試データ

(※前年比)(人)

 

2020

2021

募 集 人 員

180

180

志 願 者 数

775

687(-88)

受 験 者 数

762

650-112

合 格 者 数

256

227(-29)

実 質 倍 率

2.98

2.86

 

2021年の灘中入試は、募集人員180名に対し志願者数が687名、受験者数が650名でした。昨年は過去10年間で最も多い人数となりましたが、今年は昨年より志願者が88名、受験者数が112名減り過去5年間で最も少ない受験者数となりました。

 

ただ、ここ数年増加傾向でしたので、例年並みに戻ったとも言えます。特に今年はコロナウイルスの影響もあり、関東や九州などからの受験生が減ったことや欠席者も昨年度は13名に対し、今年は37名と24名も多く、辞退者も少ないことが予測できましたので、合格者数も227名と押さえられ、実質倍率は2.86倍と例年並みでした。

 

2.都道府県別、志望者・合格者数

 

下の表は、2021年灘中入試おいて都道府県別に合格者数が多い順に表にしたものです。

※( )内は前年度比 (人)

都道府県

志願者

合格者

都道府県

志願者

合格者

大阪府

159 +24 

63(+4)

鹿児島県

7+4

1+1

兵庫県

150(-35)

50(-19)

広島県

13(-3)

1(-2)

東京都

85(-49)

39(+1)

石川県

1(+1)

1(+1)

京都府

52(+16)

23(+8)

千葉県

4-2

0-3

愛知県

52(+8)

11(-4)

熊本県

4(+2)

0-1

奈良県

24(-3)

8(-1)

三重県

4-3

0(-1)

神奈川県

23(-27)

8(-1)

岐阜県

3(0)

0(-1)

福岡県

19(-21)

6(-4)

徳島県

3(+1)

0(0)

滋賀県

12(+3)

4(+1)

北海道

2(0)

0(-1)

山口県

3(+1)

3(+2)

大分県

2(+1)

0-1

埼玉県

14(-11)

2(-5

佐賀県

10

0(-1)

高知県

4-2

2(0)

宮崎県

1(0)

0-1

岡山県

26+9

1(-2)

島根県

1+1

0(0)

和歌山県

20

1(0)

新潟県

1+1

0(0)

香川県

4(0)

1(0)

沖縄県

1+1

0(0)

愛媛県

7+1

1(0)

海 外

1

0

茨城県

1(-1)

1+1

 

 

 

 

灘中は、日本最難関中学校というだけあって、まるで大学のように全国から受験者が集まります。しかし今年はコロナ禍ということもあり、各地で志願者を大きく減らしています。

 

特に東京や神奈川など関東首都圏からの受験者が大幅に減少しました。逆に大阪府からの志願者は24名増えています。いずれにせよかなり狭き門であることに違いはありません。しっかりした対策が必要です。

 

3.灘中受験の日程パターン

 

灘中受験生の受験日程は例年通り、前受(本命校を受験する前に、練習として受験するお試し受験)として愛光、海陽、北嶺、函館ラ・サール、岡山白陵を受験した生徒が多く見られました。

 

灘中は2日間受験ですので、2日目以降は2日目の午後に西大和、3日目に東大寺洛南というパターンが多かったのも例年通りでした。例年灘中は2日間入試の翌日3日目には合格発表でしたが、今年は合格発表が4日目に変更となりました。

 

そのため、4日目以降も受験が続き、4日目に六甲学院白陵、または清風南海、さらに4日目で灘中不合格の場合、5日目に洛星まで続いた受験生も多くいたようです。

 

前受(お試し受験)

1日目(1/16)

2日目

(1/17)

3日目

(1/18)

・愛光(愛媛)

・海陽(愛知)

・北嶺(北海道)

・函館ラ・サール(北海道)

・岡山白陵(岡山)

 

国・理・算

算・国

・東大寺学園

(奈良)

洛南高等学校

附属(京都)

 

【午後】

・西大和学園

(奈良)

 

4.大手塾別合格者数

関西大手進学塾灘中合格者数は多い順に下記の通りでした。

※( )内は前年度比 (人)

浜学園

馬渕教室

希学園

日能研

96(-6)

71(+14)

47(-9)

30(-14)

SAPIX

能開センター

進学館

成基学園

26(+2)

10(-7)

7(+2)

3(+2)

 

ここ数年100名を超える合格者を出していた浜学園も今年は96名でしたが、それでもやはり多くの合格者を出しました。

 

コロナ禍ということもあり、志望者数、合格者数が減ったため、全体的に前年度より少ない結果になっていますが、なかでも日能研は昨年の44名から30名と14名減となりました。

一方、合格者数で大きく変動があったのは馬渕教室です。他塾が合格者数を減らしているなか、昨年の57名から71名と14名増となっています。

 

もちろん上記以外の塾や個別指導などもありますし、他県の塾からも合格者が出ています。また、上記の数字は実際には複数塾に通っている受験生もいますから重複した数値であることも留意しておきましょう。

 

5.科目別平均点

 

灘中合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。

                              (点)

 

2019

2020

2021

合格者平均との差

国語1(80点)合格者平均

63.6

58.1

63.2

 

(受験者平均)

(60.0)

(54.3)

(57.7)

5.5

国語2(120点)合格者平均

75.1

79.9

78.0

 

(受験者平均)

(69.1)

(75.2)

(71.0)

7.0

算数1(100点)合格者平均

49.8

72.0

83.0

 

(受験者平均)

(38.5)

(55.4)

(65.1)

17.9

算数2(100点)合格者平均

56.8

71.2

67.8

 

(受験者平均)

(44.5)

(55.4)

(54.3)

13.5

理科(100点)合格者平均

73.2

66.7

76.5

 

(受験者平均)

(64.5)

(57.3)

(68.5)

8.0

※各配点は国語(1日目)が80点、国語(2日目)が120点、他は各100点

 

今年の入試の難易度の見ると、一昨年たいへん難しい入試で、その反動で昨年は大きく易化しました。今年はまたその反動で難化すると予測されていましたが、意外にも今年はさらに易化しました。詳細は上記の表をご覧ください。

 

注目すべきはやはり今年も算数です。1日目の算数は受験者平均でも65.1点、合格者平均点は83.0点と最近10年の中でも最も高得点勝負となりました。1日目も2日目も算数で100点満点だった受験生も複数いたようです。

 

国語や理科に比べ、算数は受験者平均点と合格者平均点の点数差に大きな開きがあるのは例年のことで、易化となった今年もやはり算数で大きな差がつきました。1日目で17.9点、2日目で13.5点と合わせると31.4点もの差があります。算数が苦手だと灘中合格は難しいということがよくわかる結果でした。

 

つまり、算数の出来不出来が合否を分けると言っても過言ではありません。算数を制するかどうかで「灘中合格が決まる」と思って日々勉強に励んだ方がいいでしょう。

 

6.灘中、科目別の傾向と対策

 

今年度の灘中入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!

 

◆国語◆

 

 

【2021年灘中入試、国語の特徴】

語句関係の出題が多い1日目「国語1」は、昨年と比べてやや易化、長文読解中心の2日目「国語2」は昨年並みの難易度でした。例年国語では受験者平均と合格者平均の差が3.5~6点程度ですが、今年は1日目5.5点、2日目7.0点とやや差が開き、国語の得意不得意でも差が出るテストでした。

 

■「国語1」

「国語1」では昨年「筆順」が出題され、今年は「かなづかい」が出題されました。出題者の「灘中受験生なら当然これくらいわかるよね」という言葉が聞こえてきそうな問題が2年連続で出題されました。その他、慣用表現、俳句、外来語、漢字しりとりなど、例年通りの出題でした。

 

■「国語2」

今年も「国語2」は80%以上が字数制限のない記述解答でしたので、記述が苦手と言っていては太刀打ちできません。解答欄の枠の大きさを見て適当な字数を判断し、簡潔に答える力が必要です。

 

【2022年に向けての国語対策】

■「国語1」対策

灘中の国語は算数に比べれば易しく感じるかもしれません。高得点もねらえる試験なので、「国語1」の語句の問題は早めにマスターしておくことです。漢字外来語ことわざ慣用句俳句(季語)などは、先取りして自分で学習できるので、できれば5年生のうちに、遅くとも6年生の夏くらいまでには全てやっておくのが理想です。

 

■「国語2」対策

「国語2」は長文読解記述中心です。字数制限がないのが灘中入試の特徴で、それだけに難しくもあります。内容的にはかなり難しいので、「国語2」に関しては、模試などの問題を解いた時間の1.5倍の時間をかけて解説を見ながら解き直しをしましょう。自分の手で書き直すことが大切です。

 

 

◆算数◆

 

 

【2021年入試、算数の特徴】

一昨年2019年の1日目「算数1」の受験者平均点は30点台で、合格者平均点ですら50点に達しない、たいへん難しい試験でした。その反動なのか昨年2020年はたいへん易しくなりましたので、今年2021年はまたその反動で難しくなると予想されていましたが、今年はコロナ禍の影響なのか昨年よりさらに易しい試験となりました。

 

1日目の「算数1」も2日目の「算数2」も複数名の100点満点者が出ており、「算数1」の合格者平均点は83点と高得点でした。

 

■「算数1」

「算数1」の試験形態は例年通りで、解き方なしの答えだけ14問。前述の通り、灘中受験者にとっては簡単な試験でしたので捨て問はなく、100点を目指すテストでした。14問ですので1問平均で約7点。答えだけで部分点はなく、その1問については7点か0点となるので、一問で大きく差が出るケアレスミスの許されない試験でした。

 

■「算数2」

2日目「算数2」は、大問5題で解き方を要するテストでした。例年図形問題が頻出しています。今年も最後に見慣れない展開図から見取り図を書けるようにし、その立体の体積を求める問題が出題されています。展開図を見ただけでは立体の形が想像しづらく、まずは見取り図が書けることが前提となります。

 

このような問題は特に慣れが必要です。作図力も必須になりますので、自分は絵が下手だからと図を描くことに苦手意識を持たず、図を描く練習もしっかりしておきましょう。

 

【2022年に向けての算数対策】

■「算数1」対策

部分点がない答えだけを問うような問題では、満点を目指せる一方で、1つでもミスをすると大きな得点ロスとなってしまいます。

凡ミスや計算ミスなどは徹底的になくし、日頃から「実践的思考力」「処理能力」を身につけることが大事です。

 

また、例年受験年度の数字を使った出題があります。来年は2022年。2022=2×3×337です。337という数字が出てきたら2022と関係あるのかなと推測してもいいかもしれません。また337という数字は2の8乗と3の4乗の和であることも頭の片隅に置いておくのもいいでしょう。

 

■「算数2」対策

灘中の算数問題の特徴の1つとして、2日目の「算数2」の解答用紙には問題に対する解答欄と答えを導いた課程を書く欄があります。仮に解答が導き出せなくても解き方欄の途中式や考え方が合っていれば、部分点がもらえる可能性が高いので、できないと思っても最後まで諦めず、粘り強く解く習慣をつけましょう。それには普段から道筋をしっかりと持って、答えを導き出す力をつけるようにしておくことが大事です。

 

「算数2」では図形問題がよく出題されます。特に立体図形はたいへん難しく、つまずくお子さまも少なくありません。作図力も求められますので、集団塾でなかなか克服できない場合には、家庭教師など個別指導でフォローすることをおすすめします。

 

◆理科◆

 

 

 

【2021年入試、理科の特徴】

灘中の理科入試は昨年2020年がたいへん難しかったのですが、今年2021年は例年並みの難易度に戻りました。

 

今年も物理・化学の分野で各2題、生物と地学が各1題の大問6題構成でした。毎年灘中の理科の問題文は長文を読まされることで有名ですが、今年は比較的文字数が少なく、読みやすかったと言えるでしょう。

 

分野別にみても生物・地学の分野に比べ、物理・化学の分野はやはり難解な問題が多いのも例年通りでした。出題単元には比較的偏りがあり、地学の分野では過去10年のうち9年で「天体」が出題。生物の分野では「生態」、物理の分野では「力学」、化学の分野では「溶解度」が頻出となっています。

 

例年、単純な知識問題や記述問題の出題は少ないのですが、今年は簡単な記述問題が数題出題されました。

 

【2022年に向けての理科対策】

■とにかく実践!

理科は算数に比べれば易しく感じられる問題ではありますが、標準問題はまず出ません。難問ばかりで、正直理論まで完璧に分からないかもしれませんが、とにかく実践的な問題をどんどん解いて覚えていくことです。

 

■ビジュアルで覚える

暗記物は図鑑などの写真を目で見ることで、記憶に残りやすくなります。また、計算問題は、間違えたところをやり直し、確実にできるように繰り返しましょう。計算力も求められるため、算数の計算練習を毎日行ってスピードを上げていきましょう。

 

■時間配分を意識した学習

進学塾の灘コースでは通常、理科入試に必要な内容は5年生までで一通り終わらせ、その分算数に時間を費やせるようにしています。理科は早め早めに取り組んでおくのが灘中受験の鉄則とも言えます。受験が近づくにつれ、理科にそれほど時間は割けなくなると思いますので、寝る前の30分だけなど、自分なりの理科時間を作るようにしましょう。

 

7.まとめ~灘中合格への道~

 

 

2021年の中学受験は前代未聞のコロナ禍での入試。予測がつかない状態でしたが、無事終了することができました。

来年2022年の受験がどうなるかもまだわかりませんが、恐らく通常通り行われると予測して、今から日々準備していきましょう。

 

灘中学受験はとにかく「難しい」、最難関中の「最難関」、それだけは確かです。軽い気持ちで受験するものではなく、時間をかけてしっかり対策していかないと厳しい結果に終わります。

 

先にご紹介したデータを見ても分かるように、全国から受験生が集まります。いずれも地域屈指の、その県を代表するような強者が集まるわけですから、学校はもちろん、地域の進学塾で優秀でもまったく安心はできません。そもそも、このレベルを的確に指導できる指導者も限られてしまうのが実状です。

 

なかなか小学生が自分1人でどうにかできる次元ではないと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、灘中をはじめ、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。

 

 

 

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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