2021年の中学入試から、大阪府でもトップクラスの進学実績を誇る共学校、清風南海中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2022年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.清風南海中学校入試の特徴
2.2021年の入試データ
3.大手塾別合格者数
4.科目別成績データ
5.2021年度入試からみる科目別の傾向と対策
6.まとめ~清風南海中学校合格への道~
1.清風南海中学校入試の特徴
◆試験科目と評価点
清風南海中学校の入試は、4教科型受験(国語・算数・理科・社会)か3教科型受験(国語・算数・理科)か3教科型受験(国語・算数・社会)の選択となります。
試験時間と配点は国語と算数が各60分で120点、理科と社会は各40分で80点の計400点満点で判定します。4教科型受験は4教科の合計または国語・算数・理科3教科の合計点×1.25倍または国語・算数・社会3教科の合計点×1.25倍のうちの最高点を評価点とし、3教科型受験は合計点×1.25倍が評価点となります。
◆コース
清風南海はこれら入試形態のほかに、「SG入試」という独自の3教科型入試があります。
これは算数、国語、理科の3教科を受験し、3教科の合計点または国語と算数の合計点か算数と理科の合計点をそれぞれ400点満点に換算して最高点を評価点とし、その上で英検やTOEICなど英語の検定資格により加算点がつきます。英語が得意で資格を持っているのであればこの入試を狙うのもいいかもしれません。このコースの試験はA日程で行われます。
清風南海は上位コースから「スーパー特進コース」と「特進コース」があり、スーパー特進コースで受験し、そのコースでは不合格でも特進コースの基準に達していれば廻し合格があります。
◆試験日程と併願パターン
清風南海の入試はA日程とB日程の2回行われ、A日程は統一入試日2日目の午前中、B日程は4日目の午前中です。男女共学なので男女により併願校は変わってきますが、清風南海を第一志望にしている男子であれば、統一入試日初日に大阪星光、高槻、清風のいずれか、2日目の午前に清風南海A日程で、午後に西大和、3日目に東大寺、洛南、清風後期、大阪桐蔭のいずれか、4日目に清風南海Bという併願パターンが多いでしょう。
女子でしたら統一入試日に四天王寺、高槻A、帝塚山のいずれか、2日目の午前は清風南海A日程、午後に西大和か高槻B、3日目に帝塚山か大阪桐蔭、4日目に清風南海Bという併願パターンが多かったようです。
2.2021年の入試データ
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率 |
270名 |
1,508名 (A 915名、 B 593名) |
1,371名 (A 901名、 B 470名) |
718名 (A 502名、 B 216名) |
(A 1.8倍 B 2.2倍) |
2021年の清風南海中学校入試は、A日程の志願者数、受験者数ともに3年連続で減少し、合格者数もやや多かったので実質倍率1.8倍とやや広き門となりました。
B日程も受験者数は昨年から1名増の470名とほぼ変わりませんでしたが、今年は昨年より合格者数が25名も増えたため実質倍率2.2倍とこちらも昨年より広き門となりました。
3.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の清風南海中学合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
能開センター |
浜学園 |
馬渕教室 |
希学園 |
203(-2) |
197(+30) |
144(+1) |
51(+14) |
日能研 |
第一ゼミナール |
SAPIX |
進学館 |
50(+9) |
26(+4) |
11(+6) |
4(0) |
やはり南大阪に基盤を持つ能開センターが今年も200名を超える合格者数で最多で、続いて浜学園が昨年から30名も増やし200名に近づいています。
希学園も昨年の37名から14名増加の51名と躍進しています。能開センターと同様に南大阪に強い第一ゼミナールもやはり多くの合格者を出しています。
4.科目別成績データ
清風南海中学合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
<点>(前年比)
科 目 |
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 (A入試・S特進) |
75.2 |
85.5 |
10.3(-2.5) |
国 語 (A入試・特進) |
78.3 |
3.1(-1.1) |
|
国 語 (B入試・S特進) |
84.1 |
96.9 |
12.8(+0.1) |
国 語 (B入試・特進) |
87.7 |
3.6(-2.4) |
|
算 数 (A入試・S特進) |
90.8 |
104.9 |
14.1(-6.3) |
算 数 (A入試・特進) |
95.5 |
4.7(-0.4) |
|
算 数 (B入試・S特進) |
74.6 |
97.5 |
22.9(-3.5) |
算 数 (B入試・特進) |
82.3 |
7.7(+1.4) |
|
理 科 (A入試・S特進) |
53.3 |
62.5 |
9.2(+1.7) |
理 科 (A入試・特進) |
55.2 |
1.9(-0.4) |
|
理 科 (B入試・S特進) |
47.8 |
58.1 |
10.3(-0.8) |
理 科 (B入試・特進) |
50.6 |
2.8(-1.3) |
|
社 会 (A入試・S特進) |
60.8 |
68.8 |
8.0(+1.6) |
社 会 (A入試・特進) |
62.2 |
1.4(-1.5) |
|
社 会 (B入試・S特進) |
55.5 |
61.4 |
5.9(-0.3) |
社 会 (B入試・特進) |
60.2 |
4.7(-0.7) |
(※国語、算数は各120点、理科、社会は各80点の400点満点)
他校同様に算数で一番差が出ていますが、他校に比べ国語や理科でも比較的点数差が大きいのが特徴的でした。昨年度に比べ、概ね受験者平均と合格者平均の差は縮まっています。
5.2021年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の清風南海中学校入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
・難易度
清風南海中学校2021年の国語入試は、昨年易しくなりましたので、今年はその分難化し概ね例年並みの難易度でした。
・出題構成
例年通り、長文読解が2題と韻文・知識問題が1題、漢字の書き取り1題の4題構成でした。長文読解は論説文と物語文で解答は極端に長い記述がたくさんあるわけではなく、どちらかというと選択解答が多いのも特徴です。今年の記述問題は各長文読解で60字以内の記述が1問ずつ2題と、韻文で字数指定なしの記述が1題の計3題でした。
・合否のポイント
選択問題は、例年選択一つ一つの文字量が多い傾向にあるので注意が必要です。漢字の書き取りについてはさほど難しくはありませんが、小学生にはあまりなじみのない言葉が出題されがちですので、語彙力の強化も必要です。
読解問題は幅広い分野から出題されるので、論説文や物語文の演習だけでなく、短歌や俳句、詩の対策もしっかり行っておきましょう。
◆算数
・難易度
清風南海中学校2021年の算数入試は、昨年は一昨年に比べ大きく易化したため、今年は難化の予想でしたが、今年は昨年よりもさらに易化し、受験者平均点が90.8点と昨年より10点以上上がりました。
前述の通り、S特進合格者の平均点は104.9点、得点率87%以上とかなりの高得点勝負となりました。
・出題構成
算数はA日程もB日程も同じような問題形式で、大問1に計算問題4題、大問2に小問集合、大問3に平面図形、大問4と大問5が文章題の5問構成となっています。
解答のみを書く方式ですが、一問だけ解き方を書かせる出題があります。清風南海の大きな特徴は円周率に「3.14」を使わず、「22/7」を使うように指示があるので注意が必要です。
・合否のポイント
大問1の計算問題や大問2の小問集合は解きやすい問題が多いので、ここでできるだけ早く正確に処理し、後半に時間の余力を残したいところです。つまらないミスをして点数を落とさないよう、しっかり対策しておきましょう。
たまに小問集合の中でやや難しい問題も出題されますので、その時は後回しにして一問に時間を取られすぎないよう取捨選択もしっかり意識して演習しましょう。
※ケアレスミス対策については、下記の2020年3月11日に掲載しました当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
・難易度
清風南海中学校2021年のA日程の理科入試は昨年易化しましたので、今年は昨年に比べるとやや難化ですが例年並みの難易度でした。
B日程の理科入試は受験者平均点が47.8点と、ここ数年を比較してもたいへん難しい試験内容でした。
・出題構成
出題構成は例年通り物理、化学、生物、地学の4分野から各1題の大問4題構成でした。
4分野の各大問で計算問題が入り、全体の5割以上が計算を要する試験であるのも清風南海の特徴ですが、昨年と今年は5割をやや下回りました。それでも計算問題の割合が多いことには違いがないので、来年も対策は必須でしょう。
・合否のポイント
今年も大問2の化学の問題や大問3の生物の問題は見たことのない内容だったかもしれません。ただ、理科特有の長い問題文、リード文をしっかりと読むことで、その中の情報から解き進められるようになっています。初見の情報であっても焦らずに、問題文を読み進めましょう。
「見たことない」「習ったことない」と諦めるのではなく、しっかりと問題文を読み解く訓練が必要です。また、前半の基礎的な問題や後半の計算問題を確実に解けるよう、過去問などでしっかりと演習しておきましょう。
◆社会
・難易度
清風南海中学校2021年の社会科入試は、受験者平均点が60点を超え、得点率75%以上の取り組みやすい試験でした。社会科は今年も最も差がつかない教科となりました。
・出題構成
大問5題で、地理が1題、歴史と公民が各2題という構成でした。試験時間は40分と短いですが、問題数は30問、記述解答も1問だけで20字以内ですから、さほど時間に追われるような試験ではありませんでした。
・合否のポイント
清風南海の社会科は用語解答や選択がほとんどですから、あわてずに読み間違いなどしないことがとても大切です。
地理、歴史の基本知識をしっかり身につけ、資料分析もできるようにしておきましょう。ニュースに絡めたワードの問題も出題されるので、新聞やニュースなどで社会知識は一通り押さえておきましょう。
6.まとめ~清風南海中学校合格への道~
今年の中学受験は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前代未聞の入試となりました。
来年2022年の受験がどうなるかは誰にも予測できませんが、通常通り行われるものとして今から準備していきましょう。
仏教を中心とした宗教による教育で校則が厳しいことでも有名な清風南海中学校。中・高の6年間を一つの流れとした独自のカリキュラムと「授業第一主義」を公言し、週39時間授業や夏期勉強合宿などを実施している男女共学校で、大阪府でもトップクラスの進学実績を誇る名門進学校です。南大阪を中心に優秀な生徒が集まり、生活指導も徹底しているので、親御様からも安心して通わせることができると評判の人気校です。
小学生が自分1人で難関校の受験勉強をするのはとてもたいへんだと思いますから、親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。