2021年の中学入試から、今回は兵庫県有数の男子中高一貫校である六甲学院中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2022年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.六甲学院中学校入試の特徴
2.2021年の入試データ
3.大手塾別合格者数
4.科目別成績データ
5.2021年入試からみる科目別の傾向と対策
6.まとめ~六甲学院中学校合格への道~
1.六甲学院中学校入試の特徴
六甲学院中学校の入試は統一入試日にA日程入試、4日目にB日程入試が行われ、2回のチャンスがあります。A日程入試は国語・算数・理科の3教科、B日程入試は国語・算数の2教科受験です。
A日程入試の受験は当然六甲学院を第一志望に考えている受験生がほとんどで、B日程入試は例年A日程で六甲学院に合格できなかった受験生の他に、灘・甲陽・大阪星光学院・須磨学園等を第一志望に考えていた受験生の併願校にもなり、A日程入試と比べ毎年かなりハイレベルの戦いとなります。
募集人数もA日程が145名に対しB日程は40名ですから、六甲学院中を第一志望に考えている受験生はA日程で受験します。
六甲学院を第一志望に考えている受験生の併願先としては、初日の午後から3日目にかけて清風、高槻、須磨学園、滝川、明星、甲南等が多かったようです。A日程の合否は翌日にはわかりますので、もし不合格であった場合はハイレベルの戦いになる4日目のB日程を回避して三田学園、甲南、関西学院、清風、神戸大附属を受験した受験生も少なくないようです。
試験時間と配点はA日程が国語と算数が各60分の150点、理科が50分の100点の計400点満点で判定します。B日程は国語と算数が各60分の150点、の計300点満点で判定します。
2.2021年の入試データ
<人>
|
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率 |
A日程 |
145 |
252(-75) |
235(-74) |
164(+1) |
1.43(-0.47) |
B日程 |
40 |
475(-122) |
218(-65) |
126(+7) |
1.73(-0.65) |
※( )内は昨年比
今年の六甲学院A日程の志願者数、受験者数は昨年より大きく減少し、志願者数は昨年の327名から252名になり75名の減少、受験者数も昨年の309名から235名になり74名の減少、直近10年間でも最も少ない人数でした。実質倍率も昨年の1.90倍から1.43倍と大きく下がり、広き門となりました。
B日程でも昨年の受験者283名から今年は218名と65名減少、実質倍率もここ10年で最も低い1.73倍でした。次年度はこの反動で受験者が増えることが予測されます。
3.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の六甲学院中学校合格者数は多い順に下記の通りでした。
<人>
浜学園 |
日能研 |
馬渕教室 |
希学園 |
進学館 |
94(+9) |
70(-4) |
54(-25) |
27(+2) |
26(+9) |
第一ゼミナール |
SAPIX |
能開センター |
久保塾 |
|
11(-2) |
6(+2) |
6(+3) |
5(+2) |
|
※( )内は昨年比
昨年10名以上人数を減らした浜学園が今年は9名増加と再度上昇しました。一方、昨年30名以上の増加で79名の合格者を出した馬渕教室が今年は25名減少の54名の合格にとどまりました。
また昨年合格者数3位だった日能研は、4名減少したものの70名の合格者を出し、馬渕教室を抜いて2位となりました。兵庫県に強い進学館も昨年は一昨年に比べ10名以上減少しましたが、今年は9名増加の26名と再度上昇しました。
4.科目別成績データ
六甲学院中学校入試合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
<点> /( )内は昨年比
科 目 |
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 (A日程) |
85.6(-1.5) |
91.1(-2.3) |
5.5 (-0.8) |
算 数 (A日程) |
66.1(-5.4) |
76.3(-10.2) |
10.2 (-4.8) |
理 科 (A日程) |
54.2(-1.6) |
59.2(-4.1) |
5.0 (-2.5) |
国 語 (B日程) |
84.4 |
93.7 |
9.3 |
算 数 (B日程) |
97.5 |
117.9 |
20.4 |
(※国語、算数は各150点、理科は100点)
今年は全体的に難易度が高く、受験者平均点と合格者平均点の差が大きくはなりませんでした。A日程入試は全体的に難易度が上がり、3教科とも受験者平均点、合格者平均点共に昨年に比べ下回りました。
特に算数の難度が高く、合格者平均点ですら150点満点で76.3点と得点率50.9%、受験者平均点に至っては66.1点と得点率44%にとどまりました。他の教科と比べ算数で大きく差がついたのは他校と同様です。
一方、B日程入試は国語も算数も昨年に比べやや易化しました。算数は一昨年に比べ易化した昨年よりもさらに易化して、合格者平均点の得点率は78.6%とたいへん高くなりました。
5.2021年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の六甲学院中学校入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します。
◆国語
・難易度
六甲学院中学校2021年の中学校国語A日程入試は昨年よりやや難化しましたが、逆にB日程はやや易化しました。ただ昨年の国語入試が大変難化しましたので、今年もやや易化したとは言え例年と比べるとやや難しい試験でした。
・出題構成
一昨年までは物語文、論説文、随筆の長文読解3題と漢字の書き取りの大問4題構成でしたが、昨年から物語文と論説文の長文読解2題と漢字の書き取りという大問3題構成に変わりました。
長文問題が2題になった分、1題当たりの素材文の文字数が増え、長文を読まされることになります。解答用紙を見てわかるのは「ほとんどが記述」ということです。この問題形式、解答形式はA日程もB日程も同様です。
・合否のポイント
ほとんどが記述解答ですので当然部分点が期待できます。絶対にやってはいけないのは白紙解答です。六甲を第一志望に考えているのであれば、読解スピードと記述対策は必須です。
記述解答のポイントをしっかり学習し、満点の解答は難しくても、6割~7割以上の解答がきちんと書けるように訓練が必要です。適切な字数で的確な答え方ができるようにしっかり対策しておきましょう。
漢字については特別難しい問題はあまり出題されませんので漢字での失点は防ぎたいところです。最低9割、できれば全問正解を目指しましょう。今年でしたら「きじょう(机上)」、「むくいる(報いる)」がやや難しかったかもしれません。
◆算数
・難易度
2021年の六甲学院中学校算数A日程入試は、前述の通りここ2~3年連続して難易度が高く、その中でも今年は特に難度の高い試験内容でした。六甲を受験するなら、来年もこの程度の難易度を意識しておいた方がいいでしょう。
・出題構成
例年A日程・B日程共に形式は同じで、大問1に計算問題が2題、大問2~大問6までは答えのみの解答、大問7~大問9は解き方を書かせる問題です。大問7~大問9は部分点がもらえますので、できるところまでしっかりと解き進め1点でも稼ぐ粘り強さも必要です。
・合否のポイント
まず六甲の算数では鉛筆(シャープペンシル)、消しゴムの他に定規(直定規・三角定規いずれも可、分度器は不可)、コンパス、鉛筆けずりを持参するように事前に案内があります。図形問題ではしっかりと正しく作図することも求められるという意味です。
大問1の計算問題も長い計算が出題されます。複雑な計算が多いので早く正確な計算力が求められます。また3年連続で作文解答の問題が出題されています。今後も定番化するかもしれませんので、しっかり対策しておきましょう。
平面図形、速さ、比と割合の文章題、数の性質の単元が頻出ですが、幅広い単元から出題があります。六甲学院の算数は思考力と表現力が必須ですから、過去問で六甲の出題形式に慣れておくようにしましょう。
※前半の計算問題などの基本問題は失点を避けたいので、ミスなく確実に解けるよう対策が必要です。
ケアレスミス対策については、下記の2020年3月11日に掲載しました当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
・難易度
2021年の六甲学院中学校理科入試は、直近5年の中で受験者平均点が最も低い試験となりました。合格者平均でも6割に満たない、例年よりかなり難易度の高い試験でした。
出題構成
問題形式は物理、化学、生物、地学の4分野から各1題の大問4題構成。各分野における出題単元はあまり偏りがない方ですが、地学の分野については「天体」が頻出で直近10年のうち7年で出題されています。しかし、今年と昨年は「天体」の出題はありませんでした。
グラフの作図や表の補充なども頻出なので、しっかり対策しておきましょう。
・合否のポイント
例年、記述の出題もあるのですが、今年はありませんでした。教科は理科ですが問題文で多くの文字数を読まされること、複雑な計算が多いこと、グラフから情報を読み取る思考力が問われる問題が多いなど、国語力や算数力も問われるのが六甲学院の特徴です。今年は難しい試験でしたので、難しい問題に時間をかけ過ぎず、後回しにしたり捨て問にしたりするなどといった判断力も必要だったかもしれません。
実験や観察の部分には重点を置いて学習し、過去問演習は繰り返ししっかり行っておきましょう。
6.まとめ~六甲学院中学校合格への道~
今年の中学受験は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前代未聞の入試となりました。
来年2022年の受験がどうなるかは誰にも予測できませんが、通常通り行われるものとして今から準備していきましょう。
六甲学院中学校はカトリック教会の一修道会イエズス会を経営母体として設立。完全型の男子中高一貫校で神戸の街を見下ろす伯母野山の自然に恵まれた絶好の学習環境にあり、非常に古風で厳しい校則がある兵庫県有数の進学校として有名です。
小学生が自分1人だけで難関中学の受験に取り組むのはたいへんです。ぜひ親御さまもいっしょにサポートしてあげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。