中学受験はいよいよラストスパートに入ります。この時期に注意したいこと、効果的な言葉掛けなど親がしてあげられること、モチベーションの保ち方など、悔いの残らない受験にするための注意点等をお伝えします。
CONTENTS:
5.ラストスパートで受験生のモチベーションを上げる5つの方法
1. 優秀な子どもほど要注意!〇〇しなくなっていませんか?
ラストスパート時によくある異変
中学受験本番が近づくと、受験生は毎日のように塾で「ラストスパート」と言われ、焦りと気持ちの高ぶりが入り混じった一種の興奮状態になると思います。
ラストスパート時は、過去問などで志望校対策をすると思いますが、その際にこの期に及んで全然できない問題があったり、まったく理解できていない単元があったりすることに気がついて愕然とすることがあります。
ところが、基本的な部分が理解できていないのにもかかわらず、この時期になると講師に質問をせず、そのままにしてしまう受験生がいます。本来はラストスパートのこの時期だからこそ聞くべきなのにです。
優秀な生徒に多いのはなぜ?
これまではよく質問していたのに、受験が近づくにつれ質問するのをためらってしまうのは、「この時期になってこんなこともわからないのか」や「こんなの小5の時にやったことだろ」などと言われるのが怖くてスルーしてしまうからです。
特にこれまで順調に成績が伸びていて、誰からも合格するだろうと思われている優秀な受験生はより気をつけてあげてください。ふだん怒られ慣れていない優等生ほど、打たれ弱い傾向にあります。
「あなたほどの優秀な生徒が、この時期にこんな質問をするなんて…」と思われるのではと、質問することを恐れるのです。その結果、「自分はもうだめだ」「できない」と思い込み、さらに質問できなくなり、どんどん自信を失っていくという悪循環に陥ってしまいます。
当然、そのような生徒の受験が不本意な結果に終わることはいうまでもありません。「あの時ちゃんと聞いておけばよかった」と受験後に悔いても遅いのです。
2. ラストスパート時に理解できていない単元があったら?
わからなくても当然!
受験ラストスパート期とはいえ、まだ時間はあります。どんなに優秀だと思われている生徒でも、直前期になって小4や小5で習ったような問題を、「あれっ、どう解けばいいのだっけ」というようなことが必ず出てきます。
習ったその当時は理解し、完全に頭に入ったつもりになっていても、時間が経てば忘れるのも当然です。何も恥じることはありません。
それよりもわからないところをスルーし、それが入試に出題されたら、何もせずそのままスルーしたことを後悔することになるでしょう。
今ここで間違えたマイナス5点が、きちんと間違い直しをすることによって、本番でプラス5点に変わるかもしれないのです。今はマイナスでも、大きなプラスを得るチャンスをみすみす逃すのは非常にもったいないですよね。
まさに「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ですよ!
実際に講師が思っている本音
受験本番が近いのに、いまさら小4や小5で習ったことを聞くのは、少し勇気がいるかもしれません。講師に怒られるかもしれないと考えるのも無理もありませんが、実際はむしろその逆です。
「まだこの単元の理解があいまいだったんだな。それに今気がつくのは、しっかりと勉強している証拠。ラストスパートがうまくいっているみたいだ」と感心し、喜んで教えてくれるでしょう。
ラストスパートとして必死に勉強をしていなかったら、わからないことにさえ気づくこともできなかったでしょう。この「気づき」により再度学習し直して、穴を塞ぐことができたのです。たまたまその問題が入試に出題されれば大きな加点となり、それで合否が変わることもあるでしょう。
3. ラストスパート時に親が注意したいこと
親のほうがナーバスに
いよいよ受験が近づいてくるラストスパートの時期は、受験生である子どもよりも親の方がナーバスになっていることがとても多いのが実情です。
毎日子どもと接していると、「受験も近いのになんで!?」とイライラしてしまう気持ちもよくわかります。思わず大声を出してしまい、後になって自己嫌悪に陥るというような経験も少なくないでしょう。
「うちの子だけ、どうして」や「また子どもに大声を出してしまった、ダメな親だ」などと苦悩する親の姿は珍しくありません。時には涙ながらに相談してくる人もいます。
受験生の親なのですからある意味当然の反応でもありますが、やはり受験するのはあくまで子ども本人です。親のほうが緊張していたり情緒不安定になったりしていると、子どもにも伝わってしまいます。親は子どもの緊張をほぐす役目であることを忘れないでくださいね。
親のNG言動
たとえ子どもが受験直前期になって基本的な問題を間違えていたとしても、親のほうが慌ててしまうことのないように注意しましょう。
間違っても「入試までもう時間がないのに、今頃何でこんな問題もわからないの」などと言わないでください。ネガティブな発言は逆効果になります。このような親のナーバスな態度が、子どもをますます不安にさせ、講師に質問にいけなくさせています。
「今のうちに気がついて良かったね」と喜んであげるくらいの大らかさを見せましょう。親はどんな時もドンと構え、「本番じゃなくて良かった。入試で似た問題が出ても解けるように、今のうちにしっかり間違い直ししておこう」と、笑顔でできるだけ前向きな声掛けをしてあげてください。
4.親のイライラを抑えるには
マイナスをプラスに!
入試前まで残り数週間をきってくると、ただでさえ子どもの一挙一動が気になってきます。そのような時に、基本ができていないことに気づくとたいへん焦ります。しかし、いちばん焦っているのは受験生本人です。そこは「ああもうダメだ」と思うのではなく、「本番で大きな加点となるチャンスが舞い込んできた」と前向きに考えます。
受験生の中には、この時期になって今まで取ったことのないような悪い点を取ったり、公開テストの順位が急に落ちたりすることもよくあります。受験生本人がいちばん「なぜこの直前期にこんな点数を取ってしまったか」とたいへん焦っているでしょう。
その上親までもが追い打ちをかけるようにガミガミ言ってしまうと、焦りが増長されるだけで、何もいいことはありません。親ができることは、まず心の中で「本番じゃなくて本当に良かった」と言い、実際に本人にも笑顔で「本番じゃなくて良かったね」と言うことです。
大人の余裕を見せる
そんな大人の余裕を見せてあげることで、受験生本人も頑張れます。中学受験生はまだ小学生です。大人よりもずっと気持ちのコントロールが苦手です。ちょっとした失点、先生や親に怒られただけでもすぐにモチベーションが下がります。そして、それが成績としてすぐに現れることになります。
親がイライラしている場合ではないのです。この時期にイライラしそうなったら、「子どものほうがもっと焦っている」「不安や緊張を抱えていっぱいいっぱいなんだ」と冷静に思い直し、いかに受験生本人の緊張や不安を和らげ、「本番までモチベーションをキープし続けさせられるか」を第一に、大人の余裕を見せた行動をとるようにしましょう。
5.ラストスパートで受験生のモチベーションを上げる5つの方法
ラストスパート時にモチベーションが下がってしまうのは?
受験生にとって大事なことのひとつに「モチベーション」があります。とくにこのラストスパート時においてはとても大事なことです。
ところが、受験本番に向けてどんどんモチベーションを上げてほしいのに、逆にどんどん下がってしまう子どもがいます。肝心なときにやる気をなくしてしまうのは何としても避けたいところです。
これまでがんばってきた子どもほど注意が必要です。この時期にモチベーションが下がってしまうのは、単純に受験のストレスや心身に溜まった疲れが原因だったり、本番を目前にして不安や焦燥感が増して現実逃避したくなったりしていることが要因と考えらます。
それではどのようにモチベーションを上げたらいいでしょうか。ここでは、親が受験生の我が子にしてあげられる「モチベーションを上げ、本番までキープさせる5つの方法」をご紹介します。
「心身一如(しんしんいちにょ)」、心とカラダは一体です。カラダが健康でなければ、何もやる気になりませんし、力も発揮できず、ネガティブなことばかり考えてしまいます。
栄養バランスの良い3食の食事を決まった時間に食べ、しっかり睡眠もとりましょう。お子さまはちゃんと寝られているでしょうか。ラストスパートだからと睡眠時間を削ったりすることのないよう、まずは健康管理を徹底して行ってあげてください。
あまりに受験でいっぱいいっぱいになってしまっている子どもには、少し受験以外のことで気分転換させ、ほっと一息つけさせてあげる必要があります。
食事の時などに、お子さまの好きな話題やテレビなどで報道されていることについて、ふだん通りの会話をしてみてください。
お子さまの好きなこと、スポーツや推しのアイドルの話などなんでもいいのです。少しだけ受験と違うことで笑顔になれるような話題です。例えば「大谷がまた記録更新だって、新記録だよ。すごいね!」というような具合です。
じっと机にかじりついた状態では、血液の循環が悪くなり、思考も低下していきます。勉強の手が止まっているなと思ったら、「いっしょにストレッチしない?お母さんにつきあってよ」などといって、半ば強引にでもいっしょに簡単なストレッチをしてリセットさせましょう。
ずっと自分の部屋にいると行き詰ってしまうことがあります。そのような時は思いきって場所を変えて勉強させてみることもおすすめです。「調べものがあるから、いっしょに図書館に行かない?」などと誘って、図書館など別の場所で勉強させてみましょう。
歩くこと自体にも効果がありますし、環境を変えることでやる気スイッチが入るかもしれません。
モチベーションを上げるのにもっとも効果的なのは、「受験後の楽しみ」をいっしょに考えてあげることです。志望校に入ったら、「こんな部活動をしてみたい」「新しく〇〇を習いたい」でもいいですし、受験が終わったすぐの春休みに行く旅行計画を立ててもいいでしょう。
とにかく受験が終われば楽しみがいっぱいあることを感じ、そのために今「がんばろう」という気持ちにさせてあげてください。そして、いっしょにがんばってくれる人がすぐそばにいることも実感させてあげてくださいね。
6.まとめ~親もいっしょに走るラストスパート
親が最も避けるべきこと
受験生1人ひとり性格も違いますし何が正解という明確な答えもありませんが、ラストスパートの大事な時期にモチベーションを下げるような行為だけは避けるべきだとはっきりと言えます。
親としてこの時期に、上から抑え込むように「何をしているんだ」「今まで何を勉強してきたの」などとがなり立てると、子どものモチベーションは下がります。
なるべく前向きな声掛けをして、受験本番に向けて「もう一息、いっしょに頑張ろう」とモチベーションが上がるように仕向けてあげることがとても大事です。
親はラストスパートの併走者
ラストスパートに入ったのは中学受験生だけではありません。親もいっしょにラストスパートするのです。受験生に対してイライラせず(仮にイライラしてもそれを見せず)、子どものモチベーションを上げ、本番までいかにキープさせるかが合格のカギとなります。
言うのは簡単ですが、実際に行うのはなかなか難しいでしょう。これも中学受験生の親が誰しも通る道です。たいへんだとは思いますが、悔いのないように残りの日々を大事にお過ごしください。受験生に寄り添い最後まで併走してあげましょう。
ラストスパートに不安のある方、またはその他受験のことで何か悩みがある場合は、思い切って残りの数日だけでもプロの家庭教師に相談してみましょう。ひとりで悩んでいるより、きっといい解決策が見つかりますよ!
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