受験生の食事 集中力を最大限に引き出すために 〜炭水化物編〜

  • 2021.03.23
  • 受験レシピ

春を迎え、受験勉強も新たな気持ちでスタートを切るこの時期に、勉強と食事の基礎とも言える栄養素についてのお話しをしたいと思います。


勉強をする上で鍵を握るのが、脳の唯一のエネルギー源となる糖質です。
糖質は、炭水化物の中に含まれており、ご飯やパン、麺類などの穀類、芋類、果物などに多く含まれています。
食物を食べて体内に入った糖質は、消化吸収されブドウ糖となり、腸から吸収され血液に入り、血液にのって脳や全身へと供給されます。

私たちの体に、糖質であるエネルギーがどのくらいあるかを示す指標に、「血糖値」というものがあります。
血糖値は高すぎても、低すぎても体は異変として捉え、正常な値に戻そうと働きます。


また、血糖値は食べ物によっても大きく左右され、同じ糖質でも、食物の種類によって血糖値の上がり方や下がり方が変わってきます。
つまり、脳へのエネルギー供給の速度や量に違いが生じ、これが集中力や思考力の働きにも影響してきます。

例えば、素早く吸収されエネルギーに変えられる特徴を持つ白米やパンなどを食べた場合、一気に血糖が上がり沢山のブドウ糖が血液中に存在する状況が生まれますが、その分早く血糖が一気に下がります。
体内の血糖が一気に上がりエネルギーが供給されると、集中力や思考力も上がりますが、その分血糖値が早く下がり集中力が続かないのでは勉強の効率は上がりません。


高い集中力を保つためには、いかに長い時間安定した血糖値を維持してエネルギーを供給し続けられるかの方が大事になってきます。






 

●集中力を長時間持続=炭水化物+食物繊維の組み合わせ


血糖値の上昇に大きく関わる食物が炭水化物ですが、特に精製された白い炭水化物(白米、うどん、もち、食パン など)は血糖値を急上昇させやすい反面、消化吸収がよく胃腸に負担をかけづらいといった特徴があります。

反対に、未精製のものや食物繊維を多く含む茶色い炭水化物(玄米、そば、全粒粉のパンやパスタ など)は、血糖値を緩やかに上昇させる反面、消化がやや悪いといった特徴をもっています。
 

<白い炭水化物>・血糖値を一気にあげやすい食物=消化されやすい
<茶色い炭水化物>・血糖値を緩やかにあげる食物=消化されにくい


炭水化物を食べる際は消化吸収のよい白米やパンなども食べてもいいのですが、その時に玄米を加えたり、野菜や海藻、キノコなどの食物繊維と一緒に摂ったりすることで、血糖値を緩やかに上昇・下降させることが出来ます。
血糖値がゆっくり上がっていくということは、それだけ時間をかけてエネルギーを吸収し脳や体に供給しながら、ゆっくりとエネルギーを使い終えることができるということですので、勉強での集中力もより長く持続されやすいのです。

 

<レシピ>

〜しっかり腹持ち!ザクザクかき揚げ〜




【材料】(4人分)

・長ねぎ……1本
・大豆(茹でてあるもの)……80g
・れんこん……50g
・えび……8尾
・餅……70~80g
・小麦粉……75g(2/3カップ)
・水……大さじ4
・揚げ油……適量
・塩……適量


【作り方】

①水はあらかじめ、冷蔵庫に入れて冷水にしておく。
②長ねぎは5mm幅の輪切りにし、レンコンと餅も5mm角に切る。えびは殻をむいて、5mm~1cmほどに切る。
③ボウルに、長ねぎ、大豆、レンコン、えび、餅を入れて、小麦粉を全体に広げながら振りいれ、菜箸で混ぜ合わせる。
④全体に小麦粉が絡んだら冷水を加えて、さらに菜箸で混ぜる。(多少、粉っぽさが残る程度に混ぜ合わせてください。)
⑤できたタネを8等分にして、170度に熱した油で、カリッとするまで、片面2分〜2分30秒ほどずつ揚げる。
*油にくぐらせた木べらにタネを丸く広げ、油にすべらせながら入れると綺麗にできます。
⑥器に盛り付け塩ををまぶして、お好みでレモンなどを添えたら出来上がり。





炭水化物である餅と一緒に、食物繊維が豊富なねぎ、レンコンなどの旬の野菜と、ビタミンB1を含む大豆を組み合わせ、栄養バランスの取れた一品にしました。

食材を大きめに切って、よく噛みながら食感も楽しんでください。
揚げ物に含まれる油は消化吸収に時間がかかるため、腹持ちがよく血糖値もゆっくりと上昇します。

また、炭水化物も油と一緒に摂取することで、血糖値の上昇が緩やかなることがわかっています。ただし、高カロリーでもあるので食べ過ぎには注意しましょう。





●糖質を脳のエネルギーに効率よく変換させる=ビタミンB1


糖質(ブドウ糖)が脳のエネルギー源だからといって、炭水化物ばかりを食べていても供給されるエネルギーは効率的には増えません。
食物から摂った糖質を効率よくエネルギーに変換するためには、糖質の代謝を手助けするビタミンB1が必要です。

ビタミンB1は、体内で糖質をエネルギーに変える際に働く酵素を活性化する補酵素としての役割をするほか、脳の中枢神経や手足の末梢神経の働きを正常に保つ働きをします。
そのため、ビタミンB1が不足すると糖質の代謝がうまくされないことから、エネルギー不足による疲労蓄積や、イライラ・倦怠感などの神経症状も出てきます。
 

〔ビタミンB1を多く含む食物)
豚肉、うなぎ、玄米、ナッツ類、大豆などに多く含まれています。


〔ビタミンB1の特徴〕
・体内に溜めておくことができないため、食物から毎日摂取しなければなりません。
・ビタミンB1は水や熱に弱い栄養素なので、できるだけ手早く調理し、汁物などでは汁ごと食べることがおすすめです。また、玉ねぎや、ねぎ、にんにく、ニラなどに含まれるアリシンと結合すると、ビタミンB1は吸収されやすくなるとともに、水にも強くなり体内にとどまる時間が長くなるといった性質があります。

炭水化物と食物繊維、ビタミンB1、アリシンを含む食材を意識することで、さらに効率よくエネルギーを得られるとともに、脳へと送られるエネルギーも長時間安定しやすくなり、結果として高い集中力や記憶力、思考力などが保たれやすくなると思います。


 

<レシピ>

〜きのこと豚の南蛮そば〜




【材料】(1人分)

・そば……1玉
・豚ばら肉……80g
・長ねぎ……1本
・しめじ……30g
・エリンギ……20g
・ニンニク……1/2片
・ごま油……少々
▼▼▼ A ▼▼▼
・しょうゆ……大さじ1
・みりん……大さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲
▼▼▼ B ▼▼▼
・水……350ml
・顆粒だし……小さじ1
・しょうゆ……大さじ1
・砂糖……小さじ1
・みりん……大さじ1/2
・塩……1~2つまみ
▲▲▲ B ▲▲▲


【作り方】

①豚肉は3cm幅ほどに切り、長ねぎは斜めに薄切りにする。
しめじは石づきを取ってほぐし、エリンギは食べやすい長さに切り手で縦にさく。
ニンニクはみじん切りにする。
②熱したフライパンにごま油をひいてニンニクを入れ、香りがたってきたら豚肉、長ねぎ、しめじ、エリンギをいれ全体に火が通るまで炒める。
③豚肉に火が通ってきたら、Aの調味料を加えてさらに炒める。
④たっぷりのお湯を沸かしてそばを茹で始める。
⑤別のなべにBを入れ、一煮立ちさせるたら火を止める。
⑥そばが茹であがったら器に入れ、その上に②の具材を盛り、上から⑤のだし汁をゆっくりかけたら出来上がり。





エネルギーの持続(集中力の持続)を考え、血糖値を緩やかに上げるそばに、ビタミンB1豊富な豚肉、食物繊維たっぷりのきのこ、アリシンを含むネギ、ニンニクを合わせました。
たっぷりのネギと豚肉、きのこの旨味がぎゅっと凝縮され、ごま油とニンニクのアクセントがさらに食欲をそそる一品ですので、ぜひ勉強の前などに作ってみてください!

 

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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