受験生の食事〜さまざまな食事法について〜

  • 2023.09.27
  • 受験レシピ

日本人の食生活は戦後から目まぐるしく変化し続け、その水準は非常に高くなり、今では成熟期に入っています。

そのような中でも、食事には常にトレンドとなる考え方が存在してきました。
少し前にはダイエットや生活習慣病予防の観点から、「カロリーオフ」や「脂質オフ」といったことが叫ばれよく耳にしました。

しかし、カロリーや脂質を抑えてもなかなか改善しない例や、かえって悪循環に陥る例も多くありました。

これらの経験をもとに最近では、糖質や小麦製品を抑える「糖質制限」、「グルテンフリー」といった食事法や腸内環境を整える「腸活」、タンパク質の摂取を重視する食事法などが注目されるようになってきました。

これらの食事法は、ダイエットや生活習慣病の予防だけでなく、受験生の皆さんにとっても体や心、脳を機能させる上でとても有効となる食事法となります。


そこで、今回は昨今注目されているこれらの食事法が一体どのようなもので、どのようなメリットがあるのかなどを詳しくご紹介します。




 

◎低糖質・糖質制限・ローカーボフード

これまで、糖質の過剰摂取の弊害として血糖値の乱高下による不調(眠気や頭痛、集中力の低下、倦怠感、精神の不安定など)や、生活習慣病のリスクの増加、老化の助長、睡眠の質の低下などさまざまなことをご紹介してきました。

このような考えが一般的にも広く認識されてきた中で今や惣菜や加工食品、パン、お菓子、ジュース、お酒、外食などあらゆる分野で糖質を抑えた「糖質オフ」商品がたくさん開発されるようになりました。

しかしながら日本においては、まだまだ手軽に摂取できる食品や安価な食品の多くは糖質でできており、気付かないうちに糖質過多に陥りやすい状況にあります。

受験生にとってもこの糖質の取り方は集中力・判断力・気力を常に高い状態に維持し続けるためには非常に重要となってくるため、どのような食品や商品を選ぶのが良いのか、どのような順番で食べるのが良いのかなど、自分の中で食に対する知識や考えを持っておくことが重要になってきます。


◎腸活

腸はまさに脳や免疫、心、体全てのコンディションを司る重要な器官です。
そのため、この腸内の環境を整えることで不安や、集中力の低下、抑うつ、アレルギーなどさまざまな不調や悩みが改善することが判明し、腸内環境を整える腸活がブームとなりました。

腸のトラブルは、脳のトラブルに大きく関係しており、脳のストレスが交感神経などを通して腸に伝達されると、腸内細菌のバランスが崩れてきます。

特に脳がストレスや緊張状態にさらされやすい受験生においては、食事による良い腸内環境づくりと維持が重要になってきます。

 


<レシピ>

〜長芋と豚肉のサクふわ焼き<ニラだれがけ>〜



【材料】(4人分)

・ニラ……3~4束(20g)
・長芋……300g
・豚バラ(薄切り)……140g
・米粉……大さじ2
・塩……大さじ1/4
・水……大さじ1/2
・ごま油……適量

(ニラだれ)
・ニラ……5〜6束 30g
▼▼▼ A ▼▼▼
・しょうゆ……大さじ3
・砂糖……大さじ1と1/2
・酢……大さじ1と1/2
・ごま油……大さじ1と1/2
・おろしニンニク……1片分
・ごま……適量
▲▲▲ A ▲▲▲


【作り方】

  • ① 長芋は皮をむいて半分はすりおろし、残り半分は5mm角ほどに切る。
    ニラは2cm幅に切り、豚バラは1cm幅に切る。
    *豚肉は重なっていればバラしておく。
  • ② ボウルにごま油以外の全ての材料を入れてよく混ぜ合わせる。
  • ③ フライパンにたっぷりのごま油を引きよく熱したら、②を食べやすい大きさに丸くおき軽く押さえつけ、こんがりと焼き色がつくまで中火で焼く。
    ひっくり返して、裏面も焼き色がつくまで焼く。
  • (ニラだれ)
  • ① ニラは1cm幅に切り、耐熱ボウルに入れてふんわりラップをして600Wの電子レンジで1分30秒加熱する。
    そこにA を加えてよく混ぜる。
  • ② 器に長芋のサクふわ焼きを並べて、その上にたっぷりのニラだれをかけたら出来上がり。
 



これからの時期に旬を迎える長芋には、食物繊維やレジスタントスターチと呼ばれる消化されにくい(小腸では消化されずに大腸まで届く)でんぷんが豊富に含まれており、腸内環境を整えるだけでなく、糖質の吸収も抑えてくれる働きをします。

また、これに合わせたニラには疲労回復や抗酸化作用、免疫力増進に優れたアリシンという栄養素が豊富に含まれています。
ニラだれは美味しいだけでなく、食欲やスタミナを増進させてくれますのでぜひたっぷりかけて食べてください。


 

◎グルテンフリー・カゼインフリー

小麦と乳製品に含まれるタンパク質の一種であるグルテンとカゼインはどちらも、人間の体内の消化酵素では消化しづらいタンパク質です。

腸の粘膜バリアが弱っている状態でこれらのタンパク質が消化されないまま腸内に溜まると、腸は炎症を起こしたり、腸のバリア機能によって本来体外へと排泄される物質や菌までもが体内に入り込んだりして、さまざまなトラブルを引き起こす原因となります。

そのため、日頃から小麦製品や乳製品の摂取量が多い方は、今一度その食事内容を見直してみることで体調や心のトラブル、受験生においては成績にも良い影響があるかもしれません。


◎空前のプロテインブーム?!

コンビニやスーパーなど至る所で、プロテイン(タンパク質)配合の食品を見かけるようになりました。
食品の種類も健康補助食品から即席麺やスイーツまで実にさまざまであり、今や空前のプロテインブームとなっています。

タンパク質の重要性はこれまでも紹介してきたように、私たちの体のあらゆる材料として毎日・毎食欠かさず摂取しなければなりません。
受験生にとっては、脳の機能や心の健康にとっても非常に重要な栄養素になってきます。

しかし、日本人の食事からのタンパク質摂取は年々右肩下がりとなっています。

そこで、これらのプロテイン配合の食品を有効活用するのも良いと考える一方で、体内での利用効率やその他の必要栄養素の摂取を考えるとやはり多種類の「食材」から摂取するのが最も理想的です。
食事に近道はありませんので、まずは日々の食事のバランスとその量の見直しから始めてみるのが良いと思います。

その上で、さまざまな食事法に則った補助食品(糖質オフ、腸活、プロテイン)を上手に活用していくことで、さらに大きな変化へと繋がるかもしれません。

 


<レシピ>

〜米粉と豆乳de秋なすのミートグラタン〜



【材料】(5人分)

(なすのミートソース)
・なす……3本
・合い挽き肉……400g
・玉ねぎ……1/2個
・にんにく……1~2片
・トマト缶……1缶
・コンソメ……小さじ2
・塩……小さじ1/2〜1
・ハチミツ……大さじ1/2〜1

(米粉と豆乳の簡単ホワイトソース)
・米粉……50g
・調整豆乳……500ml
・バター……50g
・塩……小さじ1/2

(その他)
・卵……3個
・ピザ用チーズ……適量


【作り方】

  • (ミートソース)
  • ① なすは洗って乱切りにし、さっと水につけた後、しっかりと水気をきる。玉ねぎ、ニンニクはみじん切りにする。卵は固めに茹でて殻をむき、粗みじん切りにする。
  • ② ふた付きのフライパンにオリーブオイル(分量外)をひいてニンニクを入れ香りがしてきたら、ひき肉と玉ねぎを加え、あまりかき混ぜずにじっくり焼き炒める。
  • ③ ひき肉に火が通り油が出てきたら、なすを加えて出てきた油で揚げ焼きにするように炒める。
  • ④ よく炒まったらトマト缶、塩、コンソメ、ハチミツを加えて中〜弱火でふたをして10分程煮込む。最後に味見をして塩などで味を整えたら出来上がり。
  • (ホワイトソース)
  • ⑤ 耐熱ボウルにバターと米粉を加えてラップをして600Wの電子レンジで1分30秒加熱する。
  • ⑥ そこに豆乳半量(250ml)を2回に分けて加えてその都度よく混ぜ、ラップをして600Wで2分加熱する。
  • ⑦ 取り出してよく混ぜ合わせ(泡立て器などが好ましい)残りの豆乳も2回に分けて加えて、その都度よく混ぜ、ラップをして600Wで2分加熱する。
  • ⑧ 取り出してよく混ぜ合わせてラップをしてさらに600Wで2分加熱し、塩を加えてよく混ぜ合わせる。
  • (仕上げ)
  • ⑨ 耐熱皿に、ミートソース、茹で卵、ホワイトソース、チーズの順に重ねて、トースターなどで表面に焼き色がつくまで焼いたら出来上がり。
 



小麦粉や乳製品を極力抑えた簡単ホワイトソースで、1皿で満足できるタンパク質たっぷりのミートグラタンを作りました。
旬のなすには免疫力向上やアンチエイジングの働きをするポリフェノールが豊富です。

これらはなすの皮の部分に多く含まれているため、皮が柔らかい旬のこの時期には丸ごと食べるのがおすすめです。
ミートソースも、ホワイトソースも冷凍できるのでたくさん作り置きし、お弁当(アルミカップなどに入れ焼き戻す)のおかずとしても便利です。

 

管理栄養士
浅田ゆうき先生

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