受験生の食事~理想の食事とは?~

  • 2024.08.25
  • 受験レシピ

一般的に良いバランスの食事と聞くと、「一汁三菜」、「まごわやさしい」、「ごはん、肉・魚、野菜をまんべんなく同じ量で」、「P:F:C比=2:3:5」など、さまざまな食事スタイルが浮かんでくると思います。


そのどれもが、ある人にとっては良い食事バランスかもしれませんが、年齢や性別、ライフステージなどによって、最適な食事バランスは異なってきます。

また、同じ年齢でもアスリートと、一般の人では食事内容が異なるように、受験生にとっても望ましいとされる食事があります。
これは基本となるバランスや考え方は同じであっても、受験生ならではの食事や栄養素の摂取ポイントがあるということです。


そこで、今回は受験生にとっての理想の食事について考えていきたいと思います。




 

◎受験生の食事とは

受験生にとっての理想となる食事の目的はなんでしょうか?健康であることはもちろんですが、やはり勉強の成果に繋がる食事ではないでしょうか。

それは言い換えると、勉強をするために一番使う「脳」の働きをよくする食事が真っ先に浮かんでくると思います。

しかし、食事によって受験の結果が大きく左右される要因は脳の働きの他にもあり、これらを食事によって整えることは受験生だけでなく、家族にとっても心身を整える上で重要な食事スタイルになります。



◎脳の働きをよくするための食事

脳には脳細胞(ニューロン)が詰まっており、それらを介して「神経伝達物質」と呼ばれる物質がやり取りされ脳にさまざまな情報が伝わります。
脳の働きの良し悪しは、この脳細胞が沢山あり、十分な量の神経伝達物質が放出され、情報がきちんと伝えられるかどうかにかかっています。

そのためには、脳細胞や神経伝達物質の材料を食事から十分量摂取する必要があり、この主材料となるのがタンパク質です。

十分なタンパク質を摂取するためには、1日の3食で必ず主菜となる肉、魚、卵といった食材を摂るだけではなく、補食にもタンパク質食品やプロテインを取り入れることも良いと思います。
というのも、タンパク質は溜めておくことができないため、毎食ごとにきちんと摂取することがとても重要になってきます。

脳に最も必要なのはタンパク質ですが、それだけでは十分とは言えません。

脳細胞同士の情報を漏らさずやり取りするためには、脂質が必要であり、その中でも特に良質な脂質といわれるn-3系脂肪酸の摂取が重要になってきます。

n-3系脂肪酸とは魚の油に多く含まれるDHAやEPAであるため、新鮮な魚を普段から食べる意識も大切になってきます。

また、摂取したタンパク質を体内で利用する際には、その他のビタミン、ミネラルも必要になってきますが、特に成長期の子供や女性の多くが不足しがちな鉄や必要量が多いわりに不足しているマグネシウムなどが重要になってきます。

鉄は、レバーや肉などに多く含まれ、マグネシウムはごまやナッツ、海藻、魚介、乾物などに豊富に含まれています。

これらの栄養素をしっかりと摂取できる食事スタイルは、普段からさまざまな食材の摂取を心がけることで近づくことができ、これらは頭だけでなく体の調子も整えてくれます。
 

脳の働きをよくする=タンパク質 + n-3系脂肪酸 + 鉄 + マグネシウム



<レシピ>

~タコととうもろこしの冷製つくね~

【材料】(4人分)
▼▼▼ A ▼▼▼
・鶏ミンチ……150g
・茹でタコ……100g
・とうもろこし……1/3本
・木綿豆腐……100g
・片栗粉……大さじ2
・塩……小さじ1/3
▲▲▲ A ▲▲▲
・白だし(10倍濃縮)……50ml
・水……450ml
・水溶き片栗粉……大さじ1.5
・オクラ……適量
・ミニトマト……適量



【作り方】
  • ① 木綿豆腐はキッチンペーパーで包み、耐熱皿にのせてラップをして電子レンジ600W2分30秒加熱し、粗熱を取っておく。
  • ② タコは粗みじん切りにし、とうもろこしは包丁で芯から粒をこそげ落とす。オクラは茹でて、冷蔵庫で冷やす。
  • ③ ボウルにAを入れて手でよくこね合わせて、12等分に丸める。
  • ④ 鍋に白だし、水を入れて沸騰したら火を弱めて、③のつくねを入れて火が通るまで上下ひっくり返しながら茹でる。茹で上がったつくねは一旦取り出し、冷蔵庫で冷やす。
  • ⑤ 残った出汁に水溶き片栗粉でとろみをつけ粗熱が取れたら、冷蔵庫で冷やす。
  • ⑥ 器につくね、オクラ、ミニトマトを盛りつけたらその上から、⑤の餡をかけて出来上がり。




低脂質な鶏ミンチは、消化・吸収に負担をかけることなく、タンパク質を摂取しやすい食材です。
これに、タコととうもろこしを加え食感や甘み、旨味のバランスの良いつくねにしました。

よく冷やすことで暑い時期でも食べやすく、お出汁の優しい旨味でさらに食欲が増します。
ミニトマト、オクラなどの夏野菜との相性もピッタリですので、是非一度作ってみてください。




◎気力を作り出すための食事

勉強の成果を大きく左右するもう一つの要因となってくるのが「取り組む姿勢」です。

この取り組む姿勢とはつまり、落ち着きや集中力、やる気などの心のコンディションであり、これらは意思だけではどうにもなりません。

というのも、それらは食べた物によって作られているからです。食事の中で心のコンディションを作りだす材料となるのが、タンパク質を構成するアミノ酸です。

アミノ酸が主材料となり、そこにビタミンB群や鉄、亜鉛、マグネシウムなどのビタミン・ミネラルが加わりはじめて勉強に取り組む気力が生まれるのです。
 

気力 = タンパク質 + ビタミンB群 + 鉄 + 亜鉛 + マグネシウム



<レシピ>

~簡単!レタスと豚肉の重ね蒸し~

【材料】(2人分)
・レタス……1/4個
・豚バラ肉(薄切り)……100g
・玉ねぎ……1/4個
▼▼▼ A ▼▼▼
・顆粒鶏ガラスープの素……小さじ1/2
・醤油……大さじ1/2
・砂糖……小さじ1
・酢……小さじ1/4
・コチュジャン……小さじ1/2
・ごま油……大さじ1/2
・すりおろしニンニク……1/2片分
▲▲▲ A ▲▲▲
・白いりごま……適量



【作り方】
  • ① レタスは洗って水気をよく拭き取り、食べやすい大きさにちぎり耐熱皿の上全体に置く。
  • ② 玉ねぎはくし切りにして、レタスの上に散らす。その上から、塩・こしょうを少々(分量外)かける。
  • ③ 豚バラ肉は食べやすい大きさに切り、塩・こしょうをしてレタスと玉ねぎの上にきれいに並べる。
  • ④ ラップをして電子レンジ600Wで3分半加熱する。
  • Aをよく混ぜ合わせておく。
  • ⑥ 粗熱が取れたら、ラップの上から手で押さえ皿を傾け、皿の下にたまっている水分を軽く捨てる。
  • ⑦ その上に⑤のタレをかけて、白ごまを全体に散らしたら出来上がり。




タンパク質とビタミンB 群豊富な豚肉と、食物繊維やビタミンたっぷりのレタスと玉ねぎを合わせ、さっぱり食べられるスタミナメニューにしました。

上から、ミネラル豊富な白ごまをたっぷりかけたり、お好みでナッツをかけたりするのもおすすめです。
また、タレを事前に合わせておき、野菜とお肉も重ねてラップをして冷蔵庫に入れておけば、レンジにかけるだけで出来上がるため、忙しい時にもピッタリな簡単時短メニューです。

レタスや玉ねぎの他にも、きのこや人参、キャベツなどお好きな野菜を加えてアレンジしてみてください。




◎理想の食事を自分のものにするためには

ここまで、受験生にとってどのような栄養素や食材がどうして良いのかについて紹介してきましたが、それらの食事を食べて自分のものとするためには消化・吸収の要である胃腸の状態を整えることが必要です。

この消化器官の状態もまた、食事によって作られているのです。
というのも、消化器官から分泌される酵素はタンパク質を原料として作られていますし、腸の環境は食物繊維や発酵食品によって良い状態が維持されています。

反対に、小麦製品や乳製品(グルテン・カゼイン)などの食事によって胃腸に炎症が引き起こされると、お腹のハリや下痢・便秘などの症状としてあらわれることもあります。

せっかく良い食事でタンパク質やビタミン、ミネラルを摂取しても、炎症が起きたままでは正常に吸収されません。
理想の食事を自分のものにするためには、まずは消化器官を食事によってベストな状態にしてあげることが必要となってきます。
 

消化機能を整える=タンパク質、食物繊維、発酵食品
<注意したい食品> グルテン(小麦製品)、カゼイン(乳製品)
*カゼインやグルテンの影響は個人差あり

 

管理栄養士
浅田ゆうき先生

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