偏差値の正しい見方と付き合い方~受験生によくある偏差値の勘違いとは?

  • 2022.11.12
  • 受験情報

 

 

受験生にとって必要不可欠な「偏差値」。しかし、意外と勘違いが多いのもまた事実です。「偏差値とは何か」や「偏差値の正しい見方」、「R4偏差値」「偏差値と受験校選び」など、偏差値について詳しく解説いたします。

 

CONTENTS:

1.偏差値とは?

2.偏差値の勘違い!異なる偏差値に要注意

3.なぜ塾によって偏差値が違うの?浜学園が低い理由

4.日能研の「R4偏差値」って何?

5.偏差値から見る勉強法と考え方

6.偏差値と受験校選びの注意点

7.まとめ~偏差値から考える志望校対策!

 

 

1.偏差値とは?

 

模試などを受けると、成績表として点数と同時に明記される「偏差値」。何気なく、「上がった、嬉しい」「下がった、もうダメだ」と感じているだけで、本当に正しく理解しているでしょうか。そもそも偏差値とはどういう数値なのでしょう。

 

「偏差値」とは、その試験を受けた受験者全員の中で、自分がどの辺りの位置にいるのかを数値化して表したものです。

平均点であれば偏差値が50となるように設定され、平均点より高ければ50より大きな数値、平均点より低ければ50より小さな数値となります。理論的には、平均点を基準にその上下が大きいほど偏差値も50より大きく上下することになります。

 

漠然と偏差値50台だと「そこそこだ」「いい線いってる」、60台で「なかなかやる」「すごい」、70台以上は「超すごい!」、逆に40台やそれ以下だと「もっと努力しないとこのままじゃダメだ」と一喜一憂するのはそういったメカニズムがあるからです。受験者全員と比べて、平均よりどのくらい上なのか下なのかを判断しているわけです。

 

一般的な試験では、概ね20~80位の間の数値となることがほとんどですが、計算上は100以上になったり、0以下になったりもあり得ます。

 

模試の結果を点数だけでなく偏差値で表すメリットは、点数や順位ではない自分の現在の位置を把握できるところにあります。

 

例えばある試験で80点だったとして、自分的にはすごいと思っても、ほとんどの人が90点以上なら、あまりよくない結果となります。

また、順位が10位だったとして、それが30人中の10位なのか、1000人中の10位なのかではぜんぜん違ってきます。

 

そういった意味で偏差値は自分の実力の位置を把握するのに一目でわかる、非常にわかりやすい数値であり、受験には欠かせない数値だといえるでしょう。

 

ちなみに偏差値は、下記のような方式で算出されています。

 

 

 

 

 

 

2.偏差値の勘違い!異なる偏差値に要注意

 

 

 

 

 

よく「○○中学志望で、現在の偏差値が××なのですが…」というご相談を受けます。その時には必ず「何の偏差値ですか」と尋ねます。「○○中学合格には偏差値××以上必要」と言われますが、同じ中学であっても模試や塾によって偏差値が10以上違う場合もあります。

 

具体的には下記の表を見ていただけるとわかりやすいでしょう。

 

塾名

中学名

浜学園

日能研

五ツ木駸々堂

灘    中

64

71

75

東大寺学園中

61

66

73

大阪星光学院中

59

63

71

神戸女学院中

58

61

71

 

 

上記はほんの一例ですが、このように同じ中学校でも、どの塾の模試なのかによって偏差値は異なります

 

例えば、灘中志望の受験生が、受験の数ヵ月前の段階で「今現在偏差値65ですが、だいじょうぶでしょうか」と言われたとしても、どこの偏差値なのかによってその答えは変わります。

 

浜学園の公開テストであれば、「この調子で油断せずにケアレスミスには充分気をつけて、さらに上を目指しましょう」と言えます。しかし、五ツ木駸々堂であれば、「現状はかなり厳しいですけが、可能性はあります。受験までにせめて70位にはしておきたいですね。また、併願校も考えておきましょう」となるでしょう。

 

ここで申し上げたいのは、親御さまが何の偏差値かを知らず「うちの子は偏差値65もあるのだから、〇〇中もだいじょうぶね」と安易に思ってしまうことです。またその逆もあります。浜学園で65の偏差値なのに、日能研の数字で偏差値を見て、「ぜんぜん足りないからもうダメね。別の学校にしましょう」と勘違いしてしまうこともないとも言えません。

大事なことは、どこの偏差値なのかをきちんと把握することです。

 

 

3.なぜ塾によって偏差値が違うの?浜学園が低い理由

 

模試(塾)により上記のような数値の違いはなぜ起こるのでしょうか。「統一してくれれば誰もがわかりやすいのに」と思われますよね。

 

それは、受験者層に違いがあるためです。浜学園の公開テスト受験者は、灘中など最難関校~難関校を志望する受験生が多く、上位校を目指す受験生には比較的正確な位置を把握することができます。

 

一方、五ツ木駸々堂の模試では、難関校を志望する受験生もいますが、他の進学塾の公開テストに比べ、中堅校志望の受験生や全く中学受験を考えていない生徒まで、幅広い生徒が受験します。

 

最難関中学を受験する生徒の割合が比較的少ないため、最難関中学受験者にとって、立ち位置を知るにはやや正確性に欠けると言わざるを得ません。逆に中堅校等を志望する受験生にとっては比較的正確な位置を把握できると言えます。

 

これは同様に塾選びという観点からも参考になります。進学塾に入塾しますと、必然的に毎月、もしくは2ヵ月に一度その塾の公開テストや実力テストを受験することになりますので、実際の入試の受験者に近いメンバーと実力を競い合えるわけです。自分の志望校と照らし合わせて塾選びも考えるといいでしょう。

 

大手進学塾では受験年度になると、志望校別の模試なども行われます。例えば某塾の灘中志望生の模試では、全体的に成績のばらつきが少なく、塾生の多くが偏差値55~45くらいで固まります。一見すると、偏差値的にはさほど高くないように思われますが、ここでは偏差値55くらいで灘中A判定が出ることもあります。

それくらい受験生の層により偏差値は変わってくるのです。

 

 

4.日能研の「R4偏差値」って何?

 

 

 

 

 

よくある偏差値の勘違いとしてもう1つ、日能研の「R4偏差値」があります。「志望校のR4偏差値に達しているから合格間違いなし」と思ってしまうご家庭は少なくないでしょう。

 

「R4偏差値」とは、日能研の全国模試の結果データから算出した日能研独自の偏差値のことです。Rは合格率の各段階(RANGE=レンジ)のことで、「R4」=合格率80%(日能研のその偏差値の受験者で当該校を受験した生徒の合格率が80%の数値)、「R3」=50%、「R2」=20%を示しています。

 

前述「2」の表の日能研の数値はR4偏差値ですから、灘中を受験した偏差値71(日能研の模試で偏差値が71)の生徒のうち、80%以上が合格したことを意味します。これをどう判断するかですが、言えることは合格率100%ではないということ。偏差値71でも全員が皆合格できたわけではありません。

 

確かに80%は高い数値ですが、逆に言うと、偏差値71でも一定数は不合格にもなるということ。2022年度の日能研は灘中に43名の合格者を出していますが、わかりやすく40名だったとして、偏差値71の生徒50名が受験し、10名は不合格だったとも言えます。

 

他塾においても、日能研のようにR4偏差値という呼び方こそしておりませんが、日能研同様に概ね80%合格ラインを偏差値として表しています。

 

つまり、偏差値というのは安心できる数字と考えるのではなく、一つの目安と考えるべきでしょう。実際に、自分より偏差値の低い生徒が本番の入試で逆転合格するといった話は珍しくはなく、毎年当たり前に見る光景です。

 

もちろん、志望校の偏差値を目標にすることはいいことです。しかし、その数値に達したから絶対に合格できるわけではないですし、逆に偏差値が足りなくても絶対に不合格になるとも言い切れないのです。

 

 

5.偏差値から見る勉強法と考え方

 

偏差値はあくまで目安である」ということは、先に述べました。偏差値を見て、志望校の数値に既に達しているのであれば、そのままの調子でより上位を目指し、更に上の学校を検討するのもいいでしょう。

 

逆に志望校の偏差値に足りていないのであれば、どの教科のどのような単元で足を引っ張っているのかを再度見直し、それがケアレスミスだったのか学習が足りなかったのかを把握しましょう。

 

もし偏差値が大幅に足りていないようなら、志望校を変更することも考えなければならないでしょう。苦手単元については、再度基本に戻ることが早道です。成績が悪いと、焦ってついつい難しいことをやりたくなりますが、基本が疎かになってはまた同じミスを繰り返し、偏差値も停滞、悪ければ下降します。

 

偏差値は自分の立ち位置を見る目安であると同時に、「今後の勉強法を考える指標」にもなります。目標値に達していない場合は、「たかが目安」と軽視するのではなく、その数値としっかり向き合うことも大切です。

 

 

6.偏差値と受験校選びの注意点

 

 

 

 

 

お子さまの志望校を考える時、各中学校の偏差値表と模試などの偏差値と見比べて、数値に当てはまった学校を受験するものと、機械的に考えているご家庭を見かけることがあります。その学校が男子校(女子校)か共学校なのかなども知らずに、数値だけで決めているのを見ると、「本当にそれで大丈夫?」と疑問に思う時があります。

 

中高一貫校に通えば、ほとんどの場合6年間通う学校になります。6年間バリバリ勉強するにしても、部活も頑張りながら文武両道を目指すにしても、その学校がお子さまに本当に適しているのか、しっかりと見極めることが何よりも大切です。

 

偏差値だけを見て、「この子はこのくらいのレベルだからこの学校」と決めるのは、お子さまの貴重な6年間を考える上において、やや安直な気がします。もちろん、目標偏差値に達していなければ、行きたくても行けないわけですから、偏差値から考えるのもある意味当然で決して間違ってはいません。

 

塾では現状の偏差値を見て、その範囲内から最も偏差値の高い学校を勧められることが多いと思いますが、いま一度総合的に見て判断することをおすすめします。

忘れてはならないのは、中学受験はゴールではありません。新たなスタートラインに立つだけですから、その先の先まで見据えて慎重に選びましょう。

 

最終的にはお子さまのやりたいことや性格などを考慮した上で、ご家族でよく話し合い、悔いのない志望校選びをしてくださいね。

 

 

 

7.まとめ~偏差値から考える志望校対策!

 

 

 

 

 

今回は偏差値について解説させていただきました。

偏差値は受験をする上で大事な指標であるものの、「あくまでその時点での一つの目安」として割り切ることも大切です。

 

例えば夏前に偏差値が目標値に達していて、第一志望〇〇校の判定も「A判定」だったAさんと、偏差値が10くらい足りず「D判定」だったBさんがいたとします。

 

もうだいじょうぶだと安心して、そこから気を抜いてしまったAさん。年末には偏差値も落ち、判定も「BまたはC判定」まで下がってしまいました。一方、Bさんは夏に徹底的に対策をし、ぐんぐん成績UP。年末には偏差値を10以上あげて、見事「AまたはB判定」に。Aさんに追いつき追い越し、結果、合格したのはBさんでした。このようなことは実際によくあることです。

 

また、たとえ年末にも関わらず偏差値が目標値に達していなくて「CやD判定」だったとしても、合格したケースもたくさんあります。それは、一つに志望校対策をしっかり行っていた可能性があります。

 

その学校に合わせた教科や単元を集中的に勉強していて、出題される可能性の低い問題が全国規模の模試では出ていたので、そこで点数を大幅に落としていたという可能性もあります。

 

つまり、一概に偏差値だけではわからないことも多いのです。大切なのは、偏差値を一つの指標としてしっかり分析し、志望校対策に活用していくことです。

ご家庭だけでは難しいと感じたら、プロに見てもらうのもいいでしょう。模試の分析から偏差値の伸ばし方、志望校選びまで、一度受験のプロに相談してみることをおすすめします。

 

 

 

 

 

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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