2024年の中学入試から、今回は関西圏最難関の共学校、西大和学園中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2025年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.西大和学園中入試の特徴
西大和学園中は関西圏の最難関中学と位置付けられていますが、募集定員が男子180名に対し女子は40名と大幅に少なく、特に女子受験生にとってはかなりの狭き門となり、関西のトップクラスの女子が集まる入試となっています。
実際、今年も女子の合格最低点は男子より5点高い結果でした。しかし、昨年2023年は10点差、2020年は40点差、2019年は56点差もありましたので、男女差は年々縮小傾向にあるといえるでしょう。
西大和学園中の入試は、国語・算数・理科の3科受験または国語・算数・理科・社会の4科受験を出願時に選択することができます。
試験時間と配点は、国語、算数が各60分で150 点、理科と社会は各40分で100点の計500 点満点で、得点の計算方法は以下の通りです。
<3教科型> 評価点
・国語・算数・理科の合計点×1.25
<4教科型> 評価点=下記①②のうち高得点の点数
①国語・算数・理科・社会の合計点
②国語・算数・理科の合計点×1.25
また、西大和学園は帰国生入試の他、3教科型・4教科型以外に英語重視型入試もあり、下記A・Bの2種類のどちらかを選択することになります。
<英語選択型入試A >
国語と算数が各60分の150点、英語の筆記試験が40分の100点、英語のエッセイライティングが30分の70点、英語面接が30点の計500点満点で評価されます。
<英語選択型入試B >
国語と算数が各60分の150点、日本語による面接と英検取得級により加点されます。加点は英検1級で60点、準1級で45点、2級で30点です。
英語重視型入試の算数のテストは通常の3科・4科で受験する生徒の試験内容とは異なります。
※その他、21世紀型特色入試があります。ご興味のある方は、西大和学園の公式サイトにてご確認ください。
2.2024年の入試データ
(前年比)<人>
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率 |
男子180 女子40 合計 220 |
909(-46) 244(+19) 1,153(-27) |
819(-47) 213(±0) 1,032(-47) |
391(+7) 72(-6) 463(+1) |
2.09(-0.17) 2.96(+0.23) 2.23(-0.11) |
※帰国生・英語重視型入試・21世紀型特色入試除く
西大和学園中の受験者数は、3年連続で減少しています。合格者数は昨年より1名増えているので、全体として昨年よりもさらに倍率が下がり、広き門となりました。
女子の受験者数は変わりませんでしたが、合格者数が減ったので倍率は上がり、狭き門となりました。それでも数年前まで女子の実質倍率は5~6倍で高い倍率で推移していたので、昨年より上がったとはいえ、想定内といえるでしょう。
3.西大和学園中志願者の受験日程パターン
西大和学園中志願者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。
前受け校 |
・愛光(愛媛)・北嶺(北海道)・岡山白陵(岡山) |
|
1日目 1/13(土) |
2日目 1/14(日) |
3日目以降 1/15(月)~ |
<午前> ・灘1(兵庫) ・甲陽1(兵庫) ・大阪星光(大阪) ・神戸女学院1(兵庫) ・四天王寺(大阪) ・高槻A(大阪) ・六甲(兵庫) <午後> ・明星前期(大阪) ・帝塚山1B(奈良) ・大阪桐蔭(大阪) |
<午前> ・灘2(兵庫) ・甲陽2(兵庫) ・清風南海A(大阪) ・帝塚山2A(奈良) ・明星後期(大阪) ・金蘭千里後期(大阪)
<午後> ・西大和学園(奈良)
|
・東大寺(奈良) ・洛南高附属(京都) ・神戸女学院2(兵庫) ・清風後期(大阪) ・帝塚山2B(奈良)
【4日目以降(1/16~)】 ・洛星(京都) ・六甲B(兵庫) ・清風南海B(大阪) ・大阪桐蔭(大阪) |
西大和学園中の入試は、統一入試日の2日目(今年は1/14日曜日)の午後に行われます。
その前後で西大和学園と同等またはそれ以上の最難関校にチャレンジするか、手堅く安全校を受験するのか、また男女によっても併願校は大きく変わってきます。
【男子】
統一入試日までの前受けに、愛光や北嶺、岡山白陵など受験。統一入試日初日と2日目の午前に灘や甲陽を受験するか、初日午前に大阪星光、高槻、六甲のいずれか、午後に明星、2日目の午前に清風南海や帝塚山や明星などを受験し、午後の西大和に臨むパターンが多いでしょう。
3日目に東大寺や洛南高附にチャレンジするか、手堅く清風や帝塚山などを受験するのか分かれるところです。4日目以降は、洛星、六甲、清風南海、大阪桐蔭などが考えられるでしょう。
【女子】
統一入試日までの前受けに、愛光や岡山白陵など受験。統一入試日初日の午前に四天王寺か高槻、午後は帝塚山か大阪桐蔭、2日目の午前に清風南海か帝塚山か金蘭千里などを受験して、午後の西大和に臨みます。
3日目は、洛南高附にチャレンジするか帝塚山など、4日目以降は清風南海や大阪桐蔭などとなるでしょう。また、統一入試日初日と3日目の2日間受験で神戸女学院を受験する受験生もいます。
併願校をどこにするかは個人によって異なります。男女ともに併願校に迷ったら、生徒一人ひとりの現状を踏まえた上で的確なアドバイスをしてくれる中学受験のプロ家庭教師に相談するといいでしょう。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の西大和学園中2024年合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
馬渕教室 |
日能研 |
希学園 |
能開センター |
248(-12) |
119(-24) |
116(+11) |
108(-21) |
70(+11) |
SAPIX |
京進 |
進学館 |
第一ゼミナール |
|
54(-4) |
8(+4) |
7(-9) |
6(±0) |
|
西大和学園中の2024年の合格者数は昨年とほぼ同数ですが、上記表の前年比からは全体的に合格者数が減少しているように見えます。
これは西大和学園中が東京会場での受験も実施し、関東の受験生が本命の関東校受験の前に練習で前受け受験をした数値が含まれていないことが理由として考えられます。ちなみに関東の早稲田アカデミーは、50名もの合格者を出しています。
関東の塾では、2011年に関西に進出してきたSAPIXも54名の合格者を出していますが、関西教室の生徒だけの実績は54名中5名だけでした。
関西の進学塾では、浜学園が今年もダブルスコア以上の圧倒的な強さで他塾を引き離しています。馬渕教室は2年連続で大きく減少、能開センターが2年連続で増加しています。来年度もトップの座は変わらないと思いますが、2位から5位までは順位の入れ替わりがあるかもしれません。
5.科目別成績データ
西大和学園中2024年入試の合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差は下記の通りでした。
(前年比)<点>
|
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
最高点 |
国 語 (男子) |
93.5(+5.7) |
102.9(+4.2) |
9.4(-1.5) |
129(±0) |
国 語 (女子) |
100.7(+2.7) |
110.4(+1.2) |
9.7(-1.5) |
132(-2) |
算 数 (男子) |
93.2(+3.6) |
107.9(+4.4) |
14.7(+0.8) |
144(+6) |
算 数 (女子) |
85.6(+1.1) |
100.7(+1.6) |
15.1(+0.5) |
127(+1) |
66.0(+2.2) |
72.8(+3.0) |
6.8(+0.8) |
94(-1) |
|
理 科 (女子) |
62.2(+1.8) |
70.7(+3.7) |
8.5(+1.9) |
89(+5) |
社 会 (男子) |
65.5(+1.2) |
69.2(+0.1) |
3.7(-1.1) |
89(-6) |
社 会 (女子) |
64.9(+1.2) |
71.5(+2.6) |
6.6(+1.4) |
87(+2) |
合 計 (男子) |
320.2(+14.2) |
356.7(+14.6) |
36.5(+0.4) |
433(+12) |
合 計 (女子) |
315.1(+6.8) |
356.3(+9.1) |
41.2(+2.3) |
414(+14) |
※国語と算数は各150点満点、理科と社会は各100点満点の合計500点満点
西大和学園中の2024年入試は、全体的に難易度が緩んだ印象です。昨年は国語と算数と理科の3教科がたいへん難化し、例年に比べても難易度の高い試験でした。社会は2年連続で易化したものの、一昨年がたいへん難度が高かったので、例年並みの難易度となりました。
西大和学園中の国語は、他校と比べて受験者平均点と合格者平均点との差が大きいのが特徴です。今年は昨年に比べ、差はやや小さくなりましたが、例年10点前後の差がついています。
6.西大和学園中、科目別の傾向と対策
今年度の西大和学園中入試を参考に、教科ごとの傾向と来年度2025年の対策をご紹介します!
◆国語
【試験時間・配点と構成】
60分150点満点の試験で、大問3題構成。今年も大問1と大問2は長文読解で、例年論説文と物語文が出題され、今年も同様でした。
大問3は、西大和学園中の特色でもある段落整序問題が出題されます。この問題は配点も大きいので、しっかり得点したいところです。
また、大問3には段落整序問題の他に、毎年少し変わった知識問題も出題されます。一昨年は「なぞかけ」、昨年は「形成文字」、今年度は「語句の誤用」が出題されました。
【難易度】
西大和学園中の2024年国語入試は、ほぼ例年並みの難易度でした。昨年度の試験が例年と比べても難度の高い試験だったので、今年はやや落ち着いた印象です。
国語入試は、例年受験者平均点も合格者平均点も男子より女子のほうが高くなります。今年も女子のほうが高く、昨年は10点以上の差がありましたが、今年は7点と、やや男女差が縮まったものの、毎年国語に強い女子受験生が多く集まっていることがわかります。
【傾向と対策】
例年大問1と大問2の小問に、字数制限のある記述解答の問題が出題されます。今年は40字以内の記述が3題と90字以内が1題出題されました。また、今年は大問3の段落整序問題でも40字以内の記述問題が出題されていて、合計5題の記述問題がありました。
昨年は90字以内の記述2題だけでした。毎年字数は違うものの概ね40~90字程度の記述が出題されています。長文を書く力と、端的にまとめる記述力の両方をしっかりと身につけておく必要があります。
漢字や語句の問題は、大問1、大問2の小問で出題されますが、難関中学の中では比較的易しい問題が多いので、確実に得点したいところです。
前述したように、大問3の段落整序は西大和学園の特徴的な問題で、大きな配点となり、勝負を分ける大事な問題です。過去問などでこのような問題を解いていると、何となくできるような気になりがちですが、本番ではどのような形で出題されるかわかりませんので十分な注意が必要です。
他人に説明できるくらいの根拠を持って答えられるよう、過去問や類題などでしっかり対策をしておきましょう。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
60分150点満点の試験で、例年通りの大問4題構成。問題用紙もB5用紙10ページの冊子形式で例年通りでしたが、2022年度入試のように突然冊子が18ページになったこともあります。そういったケースもあることを初めから意識しておいたほうがいいでしょう。
ページ数は多く見えますが、見開き片面のほとんどが白紙で、計算用紙として使えるようになっています。別途B4の解答用紙があり、解答のみを書く形式で解き方を書く欄などはありません。
【難易度】
西大和学園中の2024年算数入試は、昨年と比べやや易化したものの概ね例年並みの難易度となりました。昨年はやや難易度の高い試験でしたので、受験者平均点と合格者平均点の差が縮まりましたが、今年は難度が少し緩和され受験者平均点と合格者平均点の差が再び広がりました。
西大和学園中の男子受験生には灘や甲陽、東大寺などといった最難関男子校の併願者も多いのですが、男子合格者の算数の平均点でも7割程度となっています。やはり難度の高い試験であるといえるでしょう。
【傾向と対策】
ここ数年は大問4題構成で、大問1~3までが小問集合、大問4はじっくりと考えさせる、思考力が求められる問題となっています。大問1~3の小問集合はさまざまな単元から出題されるため、得意不得意がないようにしておく必要があります。
大問1には単純な計算問題も含まれるので、ここで点数を落とさないよう、しっかり得点しておきたいところです。
さまざまな単元から出題されますが、平面図形、立体図形、場合の数は頻出単元で、難度の高い問題が多い傾向にあります。とくにこれらの単元については十分な対策を行っておきましょう。
西大和学園中の算数入試は、比較的最後の大問4の後半に難度の高い問題が出題される傾向にありますが、前半の小問集合にも難度の高い問題が出題されています。前半の難度の高い問題で時間を使いすぎず、後半の解きやすい問題に時間を残せるように意識する必要があります。
問題を取捨選択できるテクニックなど、上手に解き進めていける試験スキルも合否を分ける重要なポイントになります。また、解き方を書く欄がないので、単純な計算ミスや誤字、転記ミスなどといったケアレスミスは致命傷となりますから、十分に注意してください。
※ケアレスミスの対処法については、下記のブログ「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」で詳しくご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
【試験時間・配点と構成】
40分100点満点の試験で、出題構成は今年も物理、化学、生物、地学の4分野から各1題の大問4題構成と例年通りでした。
問題用紙は18ページの冊子形式ですが、図や写真、グラフ、表なども多いので、さほど多くの文字数を読まされるわけではありません。ただし試験時間が40分と短いため、以前と比べて小問数が減少したとはいえ、やはりスピードは必須です。
【難易度】
西大和学園中の2024年理科入試は、一昨年並みのやや易しい試験でした。昨年は一昨年よりやや難化しましたが、例年並みの難易度でしたので、今年は再び易化した形です。
毎年、後半の物理と化学分野の難度が高く、前半の地学と生物分野が比較的易しい問題構成になっていて、今年も例年通りでした。前半の地学と生物では単純な知識問題も多く、あまり時間をかけずに解けたものと思われます。
後半の物理と化学も例年に比べると取り組みやすい内容でした。地学と生物で取りこぼさず、やや難度の高い物理と化学の前半で確実に点数を取ることができれば、合格者平均点の70点は取れるでしょう。
【傾向と対策】
今年の西大和学園中の理科入試は比較的易しかったとはいえ、やはり後半の物理と化学分野には難問が含まれていました。前半の地学と生物分野には解きやすい問題も多く、前半で時間をかけず後半の難しい計算問題などに時間を残せるようにすることが大切です。
計算問題は、少しややこしい計算が必要になるところもあり、時間を要します。試験時間が40分と短いので、焦る気持ちもあると思いますが、落ち着いて解き進めることが大切です。
物理、生物、地学の3分野については出題単元がさまざまで、あまり偏りはないのですが、化学分野については燃焼、気体といった化学変化の単元が頻出です。
地学・生物分野は重要な得点源です。比較的易しいので、国語や算数にばかり勉強時間を割いて理科の暗記物などを軽く考えていると、実際の試験で不必要に時間を取られてしまうことになりかねません。
国語や算数の方が配点は大きいので、つい後回しにしてしまいがちな理科ですが、日々上手に理科の時間も作って、取れる問題ではしっかり得点し、合格ラインの7割は取れるように対策していきましょう。
◆社会
【試験時間・配点と構成】
40分100点満点の試験で、昨年から大問4題構成となりました。2022年度までは大問5題構成が多い傾向にありました。今年も地理、歴史、公民の各分野からの出題があり、昨年同様に大問1と大問2が地理分野、大問3が歴史分野、大問4が公民でした。
例年問題数は50問で、出題の割合は概ね地理:歴史:公民=5:4:1と、地理と歴史に偏っています。問題用紙は30ページ以上の冊子形式でボリュームを感じますが、写真やイラストなども多く、さほど多くの文字数を読まされるわけではありません。
【難易度】
西大和学園中の2024年社会科入試は、昨年とほぼ同程度で例年並みの難易度でした。例年西大和学園中の社会は受験者平均が65点前後、合格者平均点が70点前後となっています。
【傾向と対策】
最も出題割合が多い地理分野には、毎年「地形図の読み取り」問題が出題されています。また縮尺計算や統計資料の読み取り問題も例年出題されています。
西大和学園中の社会入試問題は、半分ほどが記号選択ですが、正誤問題には少し頭を悩ませるような問題も含まれています。細かい部分までしっかり理解しておくようにしましょう。
難易度はさほど高くないのですが、短文記述の問題も例年数問出題されています。また、用語解答は漢字指定も多いので、きちんと漢字で書けるようにしておきましょう。
出題数は少ないですが、公民分野では時事問題も出題されます。日ごろから新聞やニュースに関心を持ち、親子での何気ない会話などで自然と時事用語の説明ができるようになるといいでしょう。
7.まとめ~西大和学園中合格への道~
西日本トップクラスの学力と国際性を重視した男女共学の私立校として人気が高い西大和学園。英語多読や米国ハーバード大学に滞在するリーダー養成プログラムも魅力で、関西圏の最難関校と位置づけられています。
前述の通り、特に女子にとっては狭き門の超最難関校と言えるでしょう。関西の私立校の中で、今年も東京大学合格者数は灘中に次ぐ人数を輩出しています。
総合進学セミナーには西大和学園中に特化して指導できる講師も多く在籍しています。毎年のように西大和学園中志望の受験生を指導しているため、入試傾向にも精通しています。お子さま1人ひとりの現状を踏まえ、入試までの限られた時間を無駄のない効率的な指導で合格を目指します。
西大和学園中受験はもちろん、併願校の選定など、中学受験に関するお悩みなどがありましたら、お気軽にご相談ください。
西大和学園中対策ならお任せください!
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