2025年の中学入試から、今回は兵庫県の女子中学校最難関の神戸女学院中学部について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2026年の受験対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.神戸女学院中入試の特徴
神戸女学院中の入試は2日間入試で、まず統一入試日初日(今年は1 月18日(土))に国語・算数・社会・理科の4教科の学科試験をこの順番で受験します。午前中に国語と算数、昼食をはさんで午後から社会と理科の試験が行われます。
2日目は、初日の試験から1日空けて統一入試日3日目(1月20日(月))の午前中に、体育の実技試験が行われます。中学受験で体育の実技試験という、全国的にも珍しい特徴的な入試といえるでしょう。また、兵庫県下の中学受験で4科受験必須としているのも神戸女学院中のみです。
2.2025年度の入試データ
(前年比)<人>
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率(倍) |
135 |
249名(+20) |
247(+20) |
154名(-1) |
1.60(+0.14) |
神戸女学院中の実質倍率は例年1.5倍強くらいですが、今年は受験者数が20名増えたにもかかわらず、合格者数は1名減りましたので1.60倍と例年よりやや高くなりました。
直近6~7年の受験者数や実質倍率は増減を繰り返しているので、来年は実質倍率が下がる可能性もありますが、もちろんどうなるかはわかりません。
関西最難関校の中では、比較的倍率は高くないほうですが、試験難度は高く、兵庫県最難関女子中の座は揺るぎません。今後も多少の増減を繰り返しながらも、同程度の倍率を推移していくのではないかと予測されます
3.神戸女学院中志願者の受験日程パターン
例年、関西圏中学統一入試日は土曜日で、翌2日目が日曜日となり、キリスト教主義の神戸女学院が日曜日を「礼拝の日」として行事ごとを避けることから、2日目の試験は日曜をはさんで月曜日となります。したがって、神戸女学院中の併願校受験は限られます。
前受け校 |
・愛光(愛媛) ・岡山(岡山) ・岡山白陵(岡山) |
|
1日目 1/18(土) |
2日目 1/19(日) |
3日目 1/20(月) |
<午前> ・神戸女学院(兵庫) (国語・算数・社会・理科) <午後> ・夙川(兵庫) ・雲雀丘(兵庫) ・親和(兵庫)
|
<午前> ・須磨学園(兵庫) ・神戸海星(兵庫) ・雲雀丘(兵庫) ・甲南女子(兵庫) <午後> ・須磨学園(兵庫) ・西大和学園(奈良) ・高槻(大阪) ・三田学園(兵庫) |
<午前> ・神戸女学院(兵庫) (体育実技) <午後> ・滝川(兵庫) ・帝塚山(奈良) 【4日目以降(1/21~)】 ・関西学院(兵庫) ・白陵(兵庫) ・清風南海(大阪) ・神戸大附属(兵庫) ・大教大附属池田(大阪) ・滝川(兵庫) ・甲南女子(兵庫) ・親和(兵庫) |
統一入試日前の前受け校としては、愛光や岡山、岡山白陵などで合格を確保しておき、統一入試日初日午前の神戸女学院中に臨みます。
神戸女学院中は初日の午前に国語と算数、午後に社会と理科の試験があります。最後の理科の試験終了が14時40分なので、初日は疲れないためにもこれで終了する受験生がほとんどです。受験しようと思えば午後から夙川や雲雀丘、親和なども受験可能です。
統一入試日2日目(初日の受験後の翌日)は1日空いているため、午前に須磨学園、神戸海星、雲雀丘、甲南女子など、午後から須磨学園、西大和学園、高槻、三田学園などがあげられます。
3日目の午前中に神戸女学院中の体育の実技試験を受け、午後にも受験するならば、昨年共学化した滝川や帝塚山などが考えられるでしょう。
神戸女学院中の合格発表は4日目の午後なので、4日目まで受験する生徒も多く、4日目に関西学院、白陵、清風南海などを受験します。受験後に合否確認をして合格していればここで終了です。
引き続き受験する場合は5日目以降に、神戸大附属や大教大附属池田、滝川、甲南女子、親和などを受験するパターンが多いようです。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の神戸女学院中合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
希学園 |
浜学園 |
日能研 |
馬渕教室 |
52(+10) |
49(+6) |
19(-15) |
19(±0) |
進学館 |
SAPIX |
能開センター |
第一ゼミナール |
12(+5) |
8(-1) |
2(±0) |
2(±0) |
今年、関西の進学塾動向として大きな話題にもなりましたが、35年以上トップの座に君臨し続けていた浜学園が、希学園に抜かれて2位となりました。希学園は昨年浜学園に1名差まで迫っていましたが、今年はさらに合格者数が10名増え、ついにトップとなりました。
浜学園も合格者数は増加しましたが、希学園の勢いが勝りました。今後もこの2塾が首位の座を競い合いそうです。
昨年大きく躍進し2位まで8名差にまで迫っていた日能研でしたが、今年度は大きく減少し上位2塾と差が開く結果となりました。他校のブログでもお伝えしましたが、今年度は進学館の躍進が目覚ましく、今年は神戸女学院中でも5名増加となりました。
5.2025年入試結果
神戸女学院中の2025年の入試結果は下記の通りです。
(前年比)
|
満点 |
合格最高点 |
合格最低点 |
4 科 (学科440点) |
460点 |
355点(+6) |
250点(+17) |
体 育 (実技20点) |
①バスケットボール(5号ボール)のシュート 20秒 |
神戸女学院中は毎年、受験者平均点や合格者平均点などは公表せず、合格者最高点と合格者最低点のみを公表しています。
神戸女学院中の評価法は、他校によくある3科目か4科目かどちらかでの評価はなく、4科目全てと体育実技で評価されます。ただし、体育については出来不出来による大きな差は出ませんので、学科試験の4科でしっかり対策しておくことが大切です。
高難度だった昨年に比べ、今年の入試はやや難度が易化しました。易化したとはいえ、今年の合格最低点は250点と得点率は54.3%ですので、やはり難度の高い難しい試験であることに変わりはありません。
ちなみに昨年は、合格者最高点も合格者最低点も10点以上大きく下がり、合格最低点は233点で得点率は50.7%と、たいへん難度の高い試験でした。年度ごとに多少の変動はあるものの、神戸女学院中の入試は高難度の試験と思って間違いないでしょう。
6.2025年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の神戸女学院中入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
【試験時間・配点と構成】
神戸女学院中の国語入試は、今年も50分120点満点の試験で、問題用紙はA3用紙3枚。2枚目は両面使用なので、実質A3用紙4枚分あり、それとは別に解答用紙が1枚あります。
今年は例年と比べ3点の変化がありました。1点目は、例年「物語文」と「説明文または随筆」と「韻文」の大問3題構成というパターンが多いのですが、今年は「韻文」の出題がなく大問2題構成でした。
2点目は、これまでの試験は記述が多く記号選択が少ない傾向にありましたが、今年は記述が減り、記号選択が増えました。ちなみに昨年は記号選択の問題はありませんでした。
3点目は、神戸女学院中の記述解答は通常字数制限のある記述なのですが、今年は大問1の中で字数制限のない記述が出題されました。
以上今年度は3点の変更があり、神戸女学院中対策をしっかりしてきた受験生は、「いつもと違う」と戸惑ったかもしれません。
【難易度】
2025年度国語入試の難易度としては、昨年度に比べ大きな変化はありませんでした。
今年の知識問題は四字熟語の穴埋めでしたが、3問とも比較的平易でした。大問1大問2の中の小問でそれぞれ漢字の書き取りがありますが、神戸女学院中受験生にとっては難なく書けるレベルだったと思われます。
今年は記述解答を求める問題が減ったとはいえ、それでも多くの記述解答があり、難度も高く時間を要する試験になりました。
【傾向と対策】
神戸女学院中の国語試験は、問題用紙がA3用紙3枚なので、他校によくある10ページ以上の冊子形式よりもボリュームが少ないように感じるかもしれませんが、実はたいへん多くの文字を読まされる試験です。A3用紙を2段組に使い、文字も小さいため、かなり目が疲れます。
今年は試験構成が大きく変わりましたが、これが今年だけのイレギュラーなのか、今後も今年の構成で踏襲されるのか、また違った構成になるのか、来年の試験構成の予測ができません。
それでも、神戸女学院中の国語の特徴でもある、字数制限のある記述解答が中心となるでしょう。今年も30字以内から90字以内までさまざまな字数制限の出題がありました。記述対策をしっかり行っておきましょう。
漢字や知識問題は、例年さほど難易度が高くはないので、ここでしっかりと得点源としなければ逆に差がついてしまいます。知識問題対策も疎かにしないようにしましょう。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
神戸女学院中の算数入試は、今年も50分120点満点の試験で、問題用紙は横向きA3用紙1枚。解答用紙は別にあり、横向きA3用紙が2枚です。今年も例年通り大問6題構成で、計算問題などはなく、大問1からすべて解き方を書かせる解答形式です。
【難易度】
2025年算数入試は、昨年と比べ易化した印象です。今年も神戸女学院中の受験者平均点や合格者平均点は公表されていませんが、昨年が難度の高い試験でしたので、今年はやや易しく感じたかもしれません。
出題方式は標準的で、一見簡単そうにも見えますが、やはり難度の高い試験です。今年も大問4の「流水算」の問題や大問6の「平面図形」の問題はやや難度が高く、時間を要する問題でした。
【傾向と対策】
神戸女学院中の算数入試は、大問1から大問6まですべて解き方を書く解答形式です。他校によくあるような計算問題からスタートするわけではありません。
「すべて解き方を書く」というと、負担に感じるかもしれませんが、逆に考えると、解き切ることができなくても大問6問すべてで「部分点を取ることがきる」ともいえます。
今年の大問6の平面図形の問題は、解き方(式)はわかっていても計算がかなりややこしく、計算ミスをしてしまった受験生も多かったのではないでしょうか。解答だけを記入する試験の場合、せっかく正しい解法(式)ができていても、計算ミスなどで解答が合っていなければ1点にもなりません。
しかし、神戸女学院中の場合は、解き方が正しくて、計算ミスで解答を誤っただけなら、半分以上の部分点がもらえるはずです。
入試は1点で合否を分けます。部分点をもらうためにも、普段からしっかりと解き方を書いて解き進めるように意識しましょう。当然ですが、そもそも計算ミスをしないようにすることが大事です。スピーディーにミスのない計算ができるように日々計算演習を欠かさないようにしましょう。
神戸女学院中の算数入試は、他校と比べ解答形式などに特徴のある試験です。過去によく似た問題が出題されているので、過去問でしっかり対策しておくようにしましょう。
◆理科
【試験時間・配点と構成】
神戸女学院中の理科入試は、45分100点満点の試験で、今年も例年通り大問6題構成でした。過去5年で大問5題構成だったのは2023年だけでしたが、他は全て今年度同様に6題構成です。
出題分野も例年通り、物理と化学分野から各1題と生物と地学分野から各2題の合計6題でした。大問数は分野により差がありますが、全体の小問数は各分野とも概ね均等です。
問題用紙はA4の冊子形式で今年は9ページでした。昨年の16ページよりも大きく減りました。
【難易度】
2025年度理科入試は、全体的に難易度が昨年と同じかやや易化した印象です。小問数が昨年に比べ減少し、昨年ほど時間に追われることはなかったのではないでしょうか。
全体の問題数は減りましたが、計算問題の割合がやや増えました。特別難問というわけではありませんが、やはり計算問題には時間を要します。前半の生物・地学分野をスピーディーに解き進め、後半の化学・物理分野にどれだけ時間を残せるかがポイントとなったでしょう。
【傾向と対策】
神戸女学院中の理科は、記述や作図が多く出題される試験です。記述や作図で手が止まることがないように、過去問などを用いて神戸女学院中の出題形式に慣れておくことが大事です。
知識問題の難易度は標準的ですが、昨年同様に今年も記号選択で「間違った内容を含む文はどれか、すべて答えなさい。間違った文がない場合は「なし」と答えなさい」という出題がありました。
答えが1つなのか2つなのか、もしくは「なし」なのかなど、一筋縄ではいかない問題も出題されています。難問ではありませんが、答え方に時間がかかってしまいます。解答が何通りにもなるような問題にも慣れておきましょう。
今年の大問3の地学の問題は、2024年に発表された「“南海トラフ地震臨時情報”はどこで起きた地震だったか」や、その「地震でスーパー・公共交通機関・観光地がどうなったか」といった地学というより時事問題のような出題でした。
理科の試験の中で時事問題や環境問題もよく出題されますので、日ごろからニュースなどにも関心を持っておくことも必要です。
差がつきやすいのは、やはり物理と化学の計算問題です。超難問が出題されることはあまりありませんが、超難問では差がつきませんので、最低でも苦手意識だけは持たないようにしたいところです。
今年は出題がありませんでしたが、昨年は算数の答案用紙のように計算過程を書かせるような出題もありました。
神戸女学院中の理科入試は、他校とは一線を画す特徴的な試験です。過去問などでしっかりと対策しておくようにしましょう。
◆社会
【試験時間・配点と構成】
神戸女学院中の社会科入試は、45分100点満点の試験で、問題用紙はA4の冊子形式15ページと別にA3の解答用紙が1枚あります。A3の解答用紙にはたくさんの解答欄があり、問題数がとても多いということがわかります。
今年も地理、歴史、公民の各分野から出題がありましたが、毎年出題割合が地理と歴史分野で全体の8割強を占め、公民が2割弱くらいのやや偏りのある試験内容となっています。中でも今年は歴史分野がやや多く、公民分野が少なめでした。
【難易度】
2025年度社会科入試は、昨年に比べ問題数が減りましたが、難易度に大きな変化はありませんでした。
神戸女学院中の入試結果では、各科目の受験者平均点や合格者平均点を公表していませんが、社会科はさほど差がつく試験ではなく、難易度も特別高くはありません。今年もそうですが、例年70~75点くらいの勝負になると思われます。
【傾向と対策】
神戸女学院中の社会科入試の特徴は、まず問題数が多いことです。今年は昨年と比べると、やや減ったとはいえ、70問弱の問題が出題されました。例年問題数は70問前後で、多い年には80問以上になることもあります。
試験時間は45分と短いので、解き進めるスピードも要求されます。問題用紙も15ページと多くの文字数を読むことにもなり、読解スピードも必須となります。
例年、社会科の解答形式は、記号選択と用語記述がほとんどで、短文記述の解答は1問のみです。用語記述はさほど時間をかけずに解き進められますが、記号選択は「正誤の正しい組み合わせを選びなさい」といった、選択肢をすべて読まなければ答えられない問題も多く、時間を要します。
また、神戸女学院中の社会科では、小学校では習わない漢字の用語などを漢字指定で書くように求められることがあります。今年も「雑徭(ぞうよう)」や「愛媛(えひめ)」を漢字指定で答えさせる問題がありました。
神戸女学院中の社会科は、年度により多少の違いがあるので、過去問は直近のものだけでなく、過去複数年のものを用いてしっかり演習し、神戸女学院中の試験形式に慣れておくようにしましょう。
7.まとめ~神戸女学院中合格への道~
ここ数年受験者の増減を繰り返している神戸女学院中学部。2022年は大きく減少、2023年は例年並みに盛り返し、昨2024年は2022年程度まで減少、そして今年2025年は予想通り増加に転じました。
来年2026年度がまた減少するのか、2年連続で増加するのか予測はつきませんが、どのような状況下でも最善の状態で受験できるよう、今からしっかり準備していきましょう。
関西最古のミッションスクールとして名高い神戸女学院。関西最難関女子校と位置付けられています。社会に必要とされる女性のリーダーを育成する使命を担い、オールイングリッシュの英語授業など特色ある英語教育や、制服がない生徒主体の自由な校風などで人気の名門校です。
総合進学セミナーには神戸女学院中に特化して指導できる講師も多く在籍しています。毎年のように神戸女学院中志望の受験生を指導しているため、入試傾向にも精通しています。お子さま1人ひとりの現状を踏まえ、入試までの限られた時間を無駄のない効率的な指導で合格を目指します。
神戸女学院中受験はもちろん、併願校の選定など、中学受験全般に関するお悩みなどがありましたら、お気軽にご相談ください。
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