2025年の中学入試から、今回は京都を代表する中高一貫の男子校、洛星中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2026年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.洛星中入試の特徴
洛星中の入試は統一入試日の初日(今年は1/18(土))に前期入試、しばらく空いて6日目(今年は1/23(木))に後期入試があり、受験チャンスが2回あります。
洛星中の受験は4教科型(国語・算数・理科・社会)か3教科型(国語・算数・理科)を事前に選択して出願します。出願後の変更はできず、他校によくあるような4教科と3教科とを比べて良い方を評価点とするアラカルト方式ではありません。
洛星中入試の大きな特徴は、受験教科の順番です。洛星は理科、国語、算数、社会の順で試験が行われます。この順番で行われる入試は近畿圏でもあまり見かけません。
最初に行われる試験はやはり緊張しますので、1教科目の理科でうまくスタートできると2教科目以降もリズムがよくなります。洛星中志望者は特に理科が得意だとより有利に受験できるかもしれません。
【前期入試】
前期入試の試験時間と配点は、国語と算数が各60分の120点、理科と社会は各50分の100点で合計440点満点の判定です。3教科型は合計点(340点満点)を440点満点に換算して判定します。
「前期入試」は洛星中を第一志望に考えている受験生はもちろん、洛南高附中(統一入試3日目が受験日)の併願校として受験する受験生も多いようです。
【後期入試】
後期入試の試験時間と配点は、国語と算数が各70分の120点、理科と社会は各40分の80点で合計400点満点の判定です。前期同様に3教科型は合計点(320点満点)を400点に換算して判定します。
「後期入試」は、灘や甲陽、東大寺、大阪星光など兵庫、奈良、大阪の最難関校の合否結果後です。この時点でまだ思った結果が出ていない受験生が殺到することになります。前期募集が165名なのに対し後期募集は35名ですので、毎年かなりハイレベルな狭き門の戦いとなります。
2.2025年の入試データ
(前年比)<人>
前期 募集人員 165名 |
種別 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率(倍) |
3科 |
109(-9) |
101(-8) |
48(-8) |
2.10(+0.15) |
|
4科 |
352(-1) |
347(+1) |
193(+4) |
1.80(-0.03) |
|
合計 |
461(-10) |
448(-7) |
241(-4) |
1.86(±0) |
後期 募集人員 35名 |
種別 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率(倍) |
3科 |
110(-21) |
103(-11) |
20(-3) |
5.15(+0.19) |
|
4科 |
160(+9) |
152(+10) |
19(+5) |
8.00(-2.14) |
|
合計 |
270(-12) |
255(-1) |
39(+2) |
6.54(-0.38) |
2024年度から前期の募集人員が180名から165名に、後期入試も45名から35名に減少しました。昨年は募集人員が減少したにもかかわらず、志願者数・受験者数は増加し、実質倍率が上がりました。
今年度の2025年は、受験者数が昨年よりわずかに減りましたが、大きな変化もなく実質倍率も例年に比べると高い水準でした。
今年度の前期理科試験は易化しましたが、昨年までの3年間の理科は難度が高く、点数の取り難い試験でした。そのため比較的点数が取りやすい社会を含む4科受験が増え、3科受験が減少する傾向にありました。今年の前期試験も3科受験は減少し、全受験生の22.5%に留まりました。
3.洛星中志願者の受験日程パターン
洛星中志願者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。
前受け校 |
・愛光(愛媛) ・北嶺(北海道) ・岡山白陵(岡山) ・岡山(岡山) |
|
1日目 1/18(土) |
2日目 1/19(日) |
3日目以降 1/20(月)~ |
<午前> ・洛星(京都)
<午後> ・東山(京都) ・明星(大阪) |
<午前> ・東山(京都) ・明星(大阪) ・立命館(京都)
<午後> ・高槻(大阪) ・西大和学園(奈良) |
・洛南高附属(京都) ・東大寺学園(奈良) ・帝塚山(奈良) ・同志社香里(大阪)
【4日目以降(1/16~)】 ・東山(京都) ・洛星(京都) |
洛星中を第一志望に考えている受験生の受験日程パターンとしては、統一受験日までに前受け校として、愛光、北嶺、岡山白陵、岡山など受験し、統一入試日午前の洛星中入試に臨みます。その日に2校受験するのなら、午後は東山、明星などが考えられるでしょう。
洛星の前期合格発表は2日目の17時なので、2日目まで受験が続きます。2日目の午前は東山、明星、立命館など、午後は高槻や西大和学園などが多いようです。夕方に合否を確認し、合格が決まればここで終了です。
合格でなければ、3日目にチャレンジとして洛南高附や東大寺を受験するか、やや手堅く帝塚山や同志社香里などを受験、4日目以降は東山など受験し、6日目の洛星後期でリベンジを図ります。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の洛星中合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
馬渕教室 |
成基学園 |
日能研 |
希学園 |
95(+3) |
80(+3) |
44(+3) |
24(+6) |
20(+6) |
京進 |
SAPIX |
能開センター |
進学館 |
|
13(-7) |
5(-2) |
4(-3) |
2(+1) |
|
昨年度から募集人員が前期と後期合わせて25名減少したことに伴い、昨年はどの塾も全体的に減少傾向でしたが、今年は各塾に大きな増減がなかった印象です。
昨年、馬渕教室から首位を奪還した浜学園が首位をキープ。今年は浜学園、馬渕教室共に3名増加しました。逆に昨年度全体的に減少傾向にあった中、京進は合格者数が9名も増えて今年度も期待されていましたが、また大きく減少に転じました。
5.科目別成績2025年データ
洛星中は合格者平均点の公表をしていませんので、今年の受験者平均点と得点率、前年比を下記にご紹介いたします。
(前年比)<点>
【前期】 科目 |
受験者平均点 |
受験者平均点の得点率 |
理 科 |
67.0(+5.8) |
67.0%(+5.8) |
国 語 |
59.8(-3.6) |
49.8%(-1.0) |
算 数 |
78.4(+2.0) |
65.3%(+1.6) |
社 会 |
73.0(+3.7) |
73.0%(+3.7) |
※配点は国語と算数は各120点、理科と社会は各100点
【後期】 科目 |
受験者平均点 |
受験者平均点の得点率 |
理 科 |
42.3(+1.4) |
52.9%(+1.8) |
国 語 |
74.4(+7.4) |
62.0%(+6.2) |
算 数 |
68.5(+5.2) |
57.1%(+4.3) |
社 会 |
47.8(-2.1) |
59.8%(-2.6) |
※配点は国語と算数は各120点、理科と社会は各80点
洛星中2025年の入試結果の中で、前期の国語の得点率の低さが際立っています。前期国語は3年連続での難化でした。前期試験では、国語以外がやや易化し、算数はここ数年の中では最も易しい試験となりました。
どこの学校の入試でも、社会科は比較的点数が取りやすい傾向にありますが、洛星の後期社会科は受験者平均点が6割にも達しない難度の高い試験でした。昨年も高難度でしたが、今年は昨年以上の高い難度となりました。社会科の入試でこれだけ得点率が低いのも珍しいことです。
6.2025年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の洛星中入試を参考に、前期入試を中心に来年度の教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
【試験時間・配点と構成】
洛星中の国語入試は、60分120点満点の試験で、問題用紙はB5の冊子形式、今年も昨年と同様の17ページでした。今年も例年通り大問2題構成で、大問1が長文読解、大問2が漢字の書き取り問題でした。
大問1の長文読解は近代文学からの出題が多く、今年は吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」でした。ちなみに昨年2024年は芥川龍之介の「鼻」、2023年は梶井基次郎の「夕凪橋の狸」、2022年は有島武郎の「一房の葡萄」、2021年は井伏鱒二の「山椒魚」、2020年は芥川龍之介の「トロッコ」でした。
大問1はたいへん多くの文字数を読むことになります。今年も昨年と同様に、問1は問題用紙10ページ目でようやく出てきました。大量の文字数に圧倒されないよう、長文に慣れておく必要があります。
【難易度】
洛星中2025年国語入試は、難度の高かった昨年よりもさらに難度が上がり、受験者平均点は得点率5割を割り込みました。昨年もここ数年で最も受験者平均点が低く難しい試験だったと紹介しましたが、今年はそれ以上でした。
【傾向と対策】
洛星中の国語大問1の長文読解の素材文にはやや偏りがあり、2012年から今年度まで、芥川龍之介の作品が3回、宮沢賢治が2回、井伏鱒二が2回出題されています。今年も含め多くは1900年代前半の文学が用いられています。
大問1の小問に語句の知識問題がありますが、とりわけ難度の高いものではないので、しっかりと得点源にしたいところです。
今年も大問1で「説明しなさい」という記述解答が5問ありました。全て字数制限がなく、解答用紙の空欄の行数を見て適切な字数を考えて書かなければなりません。
今年も2行、3行、5行などさまざまな解答欄がありましたので、解答欄を見てどのくらいの字数で書くべきかを判断し、その字数に合わせた記述ができるように訓練しておく必要があります。
記述解答で満点解答をするのはなかなか難しいと思いますが、要点を押さえた部分点が取れる記述ができるようにしておきましょう。
大問2は漢字の書き取り10問です。例年に比べると今年はやや難しかったかもしれませんが、大問2もしっかり点数を取り得点源としたいところです。洛星中を志望するならば、漢字や記述対策はしっかり行っておく必要があります。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
洛星中の算数入試は、60分120点満点の試験で、今年も大問6題構成、小問数20問強と例年並みの問題数でした。
問題用紙はB4用紙5枚のプリント形式で、算数にしては問題用紙が多いのも洛星中の特徴です。別にB4の解答用紙があり、解答のみを書く形式で途中式や解き方を書く欄はありません。
【難易度】
洛星中算数の前期入試は、ここ数年難化と易化を繰り返していました。昨年は一昨年より受験者平均点が10点以上上がり大きく易化しました。
今年度は難化すると予測されていましたが、今年も少しではあるものの受験者平均点が上がり、久しぶりの2年連続易化となりました。前期算数の受験者平均点が78.4点というのは、直近10年でも2番目に高い点数です。
【傾向と対策】
洛星中の算数入試は、例年20~25問ほどの出題数で、出題単元は図形問題が多めです。「平面図形」、「立体図形」、「速さ」の問題が毎年出題されています。
毎年大問1の計算問題から始まり、大問6のやや難度の高い図形問題で終わることが多く、前半は比較的易しく、後半に難度の高い問題が出題されるパターンが多い傾向にあります。
今年も前半の大問1~大問3までは比較的解き易く、洛星中志望の受験生ならば進めやすい問題だったでしょう。次の大問4の「年齢算」は、少し時間を費やしたかもしれません。今年は大問5の「速さ」の問題がオーソドックスで比較的易しく、大問6の「立体の切断」の問題がまた高い難度でした。
全体的に易しい問題から難しい問題という流れではありますが、今年度のよう途中にやや難しい問題が出題される場合もあります。今年は大問4を飛ばして大問5から解き進めたほうが点数に結びついたでしょう。問題の難易度の見極め、取捨選択する受験テクニックも必要です。
洛星中の解答は、途中式や解き方を書く欄のない、解答のみを書く形式です。解き方が正しくても、最後に計算間違いをして答えが合わなければ1点にもなりません。ちょっとしたケアレスミスで1問分の点数を丸ごと失います。
点数は概ね1問5点前後なので、この差はとても大きいものになります。普段からスピーディーかつ正確に解き進められるようしっかり練習しておきましょう。
※洛星中の算数は、ケアレスミスが許されない、正確な計算力、作業力が求められる試験となります。ケアレスミス対策については、下記のブログ「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
【試験時間・配点と構成】
洛星中の前期理科入試は、50分100点満点の試験で、今年の問題用紙はB4用紙5枚と別に解答用紙が1枚の合計6枚でした。昨年は問題用紙7枚だったので、2枚減りました。昨年は多くの文字数を読むことになりましたが、今年は緩和された印象です。
今年も例年通り大問4題構成で、物理、化学、生物、地学の各分野から1題ずつの出題でした。洛星中の各分野の出題順は年度により変わり、今年は化学→生物→物理→地学の順で出題されました。
ちなみに昨2024年は「生物→化学→地学→物理」の順、2023年は「地学→物理→化学→生物」の順でした。今年は昨年に比べ小問数も減り、例年と比較しても少ない問題数でしたが、単純な知識問題は大幅に減り、思考問題の割合が増えています。
【難易度】
洛星中の2025年理科入試は、物理と地学分野でやや難度が高かったものの、全体的にみると大きく易化した試験でした。例年物理分野は他の分野に比べると難度の高い傾向にありますが、どの分野の難度が高くなるのかは年度によって異なります。年度によっては化学分野で難度の高い計算問題が出題されることもありますが、今年はたいへん易しくなりました。
ちなみに2022年度の理科はたいへん難易度の高い試験で、2023年、2024年と易化して例年並みに戻りました。今年はまた難化か易化かと注目されましたが、2025年度は大きく易化し、例年と比較しても易しい試験内容となりました。
【傾向と対策】
今年は問題用紙の枚数が減って小問数も少なくなりましたが、これが来年も継続されるかはわかりません。どのような出題であっても慌てないように、小問数が多く難度の高い年度の過去問も演習しておきましょう。その際はきちんと時間を計って行ってください。
年度により多少変動はありますが、洛星中の理科は全体の約半分が計算問題という年度も多くあります。計算問題が多い試験であることも洛星中の理科入試の特徴の1つです。洛星中を受験するならば、早く正確な計算力が必須となります。
分野ごとの出題単元はさまざまで、物理分野では「力学」、化学分野では「気体・燃焼」、生物分野では「人体」の単元が頻出です。地学にはあまり単元の偏りがありません。幅広く学習しておきましょう。
今年は大きく易化し、大問1の化学分野でも小問1~4は簡単な記号選択問題でした。小問5も簡単な計算問題で、多くの受験生が時間をかけずに解き切れたと思います。大問3の物理と大問4の地学の後半の小問はやや難しい問題でした。
理科は洛星中入試の最初に受験する科目です。最初の教科で気持ちよく受験ができると、後に続く教科にもいい影響を及ぼします。朝一から全力で取り組めるようにしっかりと準備しておきましょう。
◆社会
【試験時間・配点と構成】
洛星中の社会科入試は、50分100点満点の試験で、問題用紙はB4用紙6枚と別に解答用紙1枚の合計7枚です。
今年は大問3題構成で、大問1が「新紙幣」を題材にした歴史の問題、大問2が「島根県」を題材にした地理・歴史・公民の融合問題、大問3が「甲子園球場」を題材にした地理・歴史の融合問題でした。
このような地理・歴史・公民の融合問題としてよく出題されますが、小問は歴史と地理分野の問題が多く、公民分野はやや少ない割合で出題されています。
解答用紙を見てもわかるように問題数がたいへん多く、今年も全部で70問以上ありました。しかし、単純な知識問題の用語選択や用語記述などが多く、問題数のわりには時間に追われることもないでしょう。
【難易度】
洛星中の2025年社会科入試は、例年並みの難易度でした。昨年の受験者平均点は69.3点と珍しく70点を割り込みましたが、今年は受験者平均点が73.0点と例年並みに戻りました。洛星中の社会科の受験者平均点は、例年70~75点くらいです。
【傾向と対策】
今年も小問数70問以上を50分で解き進めなければならない試験でした。1問1問にさほど時間がかかることもありませんが、この70問以上の問題数に慣れておく必要はあります。当然ですが、それなりのスピードは必要です。
今年もそうですが、問題用紙の始めに「特に指定がない場合、漢字で書ける部分はできるだけ漢字で書きなさい」という指示があります。人物や用語などは漢字で書けるようにしておきましょう。
解答方法は、時間のかからない用語記述や用語選択がほとんどですが、今年も大問1題につき2問、計6問だけ1行の短文記述解答がありました。難度はどれもさほど高くはない問題ですが、毎年出題がありますので記述対策も必要です。
直接問題には関係がなくても、時事ニュースからそれに関する地理や歴史の問題が出題されています。今年も「新紙幣の発行」「甲子園球場100周年」などのテーマからスタートしていました。
直接問題とは関係ないとはいえ、国内外で話題となった出来事を知っていると問題文も読みやすくなります。日ごろから新聞やニュースにも関心を向けておくようにしておきましょう。
何気ない親子の日常会話の中で、日々のニュースについて話ができると、受験勉強はもちろん、親子のコミュニケーションにもなりますので一石二鳥ですよ!
7.まとめ~洛星中合格への道~
洛星中入試は、昨年度から前期も後期も募集人員が減少しました。しかし、それに伴って受験者数が大きく減少することもなく、昨年は逆に増加、今年も昨年よりは減少しましたが、高い水準の受験者数を保っていて、実質倍率は2年連続で1.8倍を上回りました。
来年度もこの人気が継続してさらに狭き門となるのか、昨年や今年度の結果から敬遠して実質倍率が緩和されるのかは予測できません。どのような状況下でも最善の状態で受験に臨めるように、今からしっかり準備をしておきましょう。
洛星中は「キリスト教カトリック精神に基づく“全人教育”」を目標に、生徒の自主性を重んじた授業やクラブ活動、学校行事、宗教行事など「心と身体のバランスのとれた人間を育てる」教育を行っています。中高一貫ならではの特色ある教育や進路指導で高い進学実績があり、京都を代表する中高一貫の最難関男子校として知られています。
総合進学セミナーには洛星中に特化して指導できる講師も多く在籍しています。毎年のように洛星中志望の受験生を指導しているため、入試傾向にも精通しています。お子さま1人ひとりの現状を踏まえ、入試までの限られた時間を無駄のない効率的な指導で合格を目指します。
洛星中受験はもちろん、併願校の選定など、中学受験に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
洛星中対策ならお任せください!
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