2025年の中学入試から、今回は兵庫県有数の進学校で中高一貫男子校の六甲学院中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2026年の対策について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.六甲学院中入試の特徴
◆日程と配点
六甲学院中の入試は統一入試日(今年は1/18土曜日)の午前にA日程入試、2日空いて4日目(今年は1/21火曜日)の午前にB日程入試が行われ、2回のチャンスがあります。A日程入試は国語・算数・理科の3教科、B日程入試は国語・算数の2教科受験となります。
試験時間と配点は、A日程の国語と算数が各60分の120点、理科が50分80点の計320点満点で判定されます。B日程は、国語と算数が各60分の120点、計240点満点で判定されます。
(※昨年まではA日程、B日程ともに国語と算数が60分150点、理科が50分100点で、A日程が400点満点、B日程が300点満点でしたが、今年度より変更となりました)
◆今年度からの変更点
六甲学院中の入試は配点の他にも、今年度から変更になった点があります。AB両日程に出願・受験した場合、たとえA日程で不合格となっても、B日程で合計点にプラス10点付与されるようになりました。六甲学院中を第一志望に考えている生徒にとっては嬉しい加点制度です。
A日程入試は、六甲学院中を第一志望に考えている受験生がほとんどです。一方、B日程入試は、A日程で六甲学院中に合格できなかった受験生の他に、灘、甲陽、大阪星光学院、須磨学園などを第一志望に考えていた受験生の併願校にもなっていて、A日程入試と比べ、毎年ハイレベルな戦いとなっています。
六甲学院中を第一志望にするならば、何としてもA日程で決めておきたいところですが、前述の通り、今年度からA日程受験者はB日程試験で10点付与されるようになりましたので、「何としても六甲学院中」と考える生徒にとっては、ハイレベルながらも有利になりました。
2.2025年の入試データ
(前年比)<人>
|
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率 |
A日程 |
140 |
281(-13) |
269(-6) |
154(-8) |
1.75(+0.05) |
B日程 |
50 |
633(+11) |
307(-11) |
175(-14) |
1.75(+0.06) |
六甲学院中の入試は、今年度から募集人員が変更になりました。昨年度までは、A日程が145名、B日程が40名の合計185名の募集人員でしたが、今年度からA日程が140名、B日程が50名の合計190名の募集に変わりました。
2025年のA日程入試は、2年連続で志願者数、受験者数ともに減少しましたが、合格者数も減少しましたので、実質倍率は1.75倍と昨年より少し上がりました。例年、実質倍率は1.7倍前後なので、今年も概ね例年並みの実質倍率でした。
B日程入試は、昨年まで3年連続で受験者数が増加していましたが、今年は11名減少しました。今年から10名募集人員が増えたB日程でしたが、合格者数は14名も減り、実質倍率は2024年や2023年より高くなりました。
募集人員は昨年に比べ、A日程は5名減少し、逆にB日程は10名増加しましたが、A日程の募集人員が140名なのに対し、B日程は50名と少ないので、六甲学院中を第一志望に考えているのであれば、やはりA日程入試で決めておきたいところです。
3.六甲学院中志願者の受験日程パターン
六甲学院中志願者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。
前受け校 |
・愛光(愛媛) ・岡山(岡山) ・岡山白陵(岡山) |
|
1日目 1/18(土) |
2日目 1/19(日) |
3日目 1/20(月) |
<午前> ・六甲学院A(兵庫)
<午後> ・滝川(兵庫) ・滝川第二(兵庫) ・夙川(兵庫) ・甲南(兵庫) ・明星(大阪) ・清風(大阪) |
<午前> ・須磨学園(兵庫) ・淳心学院(兵庫) ・雲雀丘学園(兵庫) ・明星(大阪) <午後> ・高槻(大阪) ・須磨学園(兵庫) ・三田学園(兵庫) ・滝川(兵庫) ・甲南(兵庫) |
・夙川(兵庫) ・滝川(兵庫) ・淳心学院(兵庫) ・清風(大阪) 【4日目以降(1/21~)】 ・六甲学院B(兵庫) ・関西学院(兵庫) ・三田学園(兵庫) ・滝川(兵庫) ・甲南(兵庫) ・神戸大附属(兵庫) |
■前受け
六甲学院中を第一志望に考えている受験生は、統一受験日前に前受けとして、愛光、岡山、岡山白陵などを受験し、統一受験日初日午前に六甲学院A日程を受験することが多いようです。
■1日目
初日の六甲学院A日程の受験後、同日午後に2校目を受験するのであれば、午後に滝川、滝川第二、夙川、甲南、明星、清風などとなるでしょう。
■2日目
A日程の合格発表は2日目の午前11時なので、2日目の午前までは受験することになります。2日目の午前に、須磨学園、淳心学院、雲雀丘学園、明星などを受験するパターンが多いようです。
六甲学院A日程の合否を確認し、合格していれば終了ですが、そうでない場合は、午後に高槻、須磨学園、三田学園、滝川、甲南などを受験できるでしょう。
■3日目~
3日目に受験をするなら、夙川、滝川、淳心学院、清風などで、4日目の六甲学院B日程入試でリベンジを図ります。
B日程は灘や甲陽学院を志望していた受験生も多く、例年たいへんハイレベルな戦いとなります。しかし、今年度からA日程受験者には10点の加点があります。10点のアドバンテージを持って再挑戦をするか、B日程を回避し、手堅く関西学院、三田学園、滝川、甲南、神戸大附属などを受験するのか、判断が分かれるところでしょう。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の六甲学院中学校2025年合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
日能研 |
希学園 |
馬渕教室 |
進学館 |
113(-9) |
67(+7) |
56(+2) |
52(-8) |
28(-11) |
SAPIX |
第一ゼミナール |
能開センター |
久保塾 |
|
9(-1) |
4(-8) |
3(±0) |
2(-3) |
|
今年度はA日程もB日程も合格者数が減少したので、ほとんどの塾で合格者数が減少しています。そのような中で、日能研と希学園は合格者数を伸ばしました。トップの浜学園からは大きな差をつけられているものの、昨年日能研と同数で2位だった馬渕教室よりも上位となりました。
今年度、多くの難関中学校入試で目覚ましい躍進を見せている進学館ですが、六甲学院中の合格者数に関しては減少しています。
5.科目別成績データ
六甲学院中2025年入試合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
【A日程入試】
( )内は昨年比 <点>
科 目 |
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 |
66.7(-9.5) |
72.4(-11.1) |
5.7 (-1.6) |
算 数 |
48.4(-47.1) |
59.9(-48.9) |
11.5 (-1.8) |
理 科 |
52.3(-5.3) |
58.6(-4.8) |
6.3(+0.5) |
A日程合計 |
167.3(-62.0) |
190.9(-64.8) |
23.6(-2.8) |
(※国語、算数は各120点、理科は80点の合計320点満点)
【B日程入試】
科 目 |
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 |
58.4(-21.7) |
67.8(-21.3) |
9.4 (+0.7) |
算 数 |
61.4(-14.3) |
82.8(-17.5) |
21.4 (-1.8) |
B日程合計 |
119.8(-36.0) |
150.6(-38.7) |
30.8(-1.1) |
(※国語、算数は各120点の合計240点満点)
今年の六甲学院中入試は、全体的に点数が大きく下がって難化したように見えますが、これは今年度より配点が変更になったためで、必ずしもすべてが難化したわけではありません。詳細は次の「6.科目別の傾向と対策」をご参照ください。
6.2025年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の六甲学院中A日程入試を中心に、教科ごとの傾向と2026年に向けての対策をご紹介します。
◆国語
【試験時間・配点と構成】
今年度から60分120点満点(昨年までは150点満点)の試験になりました。問題構成は例年通り大問3題構成で、大問1と大問2が長文読解問題、大問3が漢字の書き取り問題でした。大問2題の長文読解も例年通り、大問1が論説文、大問2が物語文でした。
【難易度】
六甲学院中の2025年A日程国語入試は、受験者平均点の得点率が55.6%、合格者平均点の得点率が60.3%と例年よりやや難しめの難易度でした。昨年は、受験者平均点の得点率が50.8%、合格者平均点の得点率でも55.7%とたいへん低く、難度の高い試験内容でした。今年は昨年よりはやや難度が緩んだ形です。
昨年は長文記述で、80字以内と70字以内が1題ずつ、60字以内が2題の計4題出題されましたが、今年の長文記述は60字以内2題のみで、他はすべて短文記述でした。また、大問2の物語文は5000字以上の文章量で昨年並みでしたが、大問1の論説文の文章量が昨年の3/4ほどに減少しました。これらが昨年と比べ多少難度が緩和された要因かと思われます。
【傾向と対策】
2019年以前は大問4題構成でしたが、2020年以降は今年度を含め大問3題構成が続いています。昨年ほどではないものの、今年も大問1と大問2の文字量が多く、合わせて8000字ほどの文章量を読むことになります。六甲学院中の国語は、たくさんの文字数を読む、読解スピードが求められる試験です。
解答は記述解答が多く、全体の5~6割ほどを占めます。解答字数も近年は短いものから80字以内と長短さまざまなので、長文をしっかり書きこなす力と要点を短くまとめる力の両方が必要です。
記述解答は完璧な解答でなくても、部分点がもらえる可能性が十分にあるので、白紙解答にならないようにすることがとても大事です。手が止まって時間ばかり使ってしまうと、六甲学院中の国語で合格点を取るのは難しくなります。
記述問題はまず手を動かして解答を作成し、後で見直して必要であれば手直しするようにしましょう。このような記述対策は必須ですから、過去問などでしっかり行っておきましょう。
大問3の漢字の書き取りは、灘中や東大寺学園中のように超難問が出題されることはありません。ここは確実に得点源にできるよう、漢字練習も怠らないようにしましょう。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
国語と同様に昨年度まで60分150点満点の試験が、今年度から60分120点満点の試験に変更となりました。また、昨年度までは大問9題構成でしたが、今年は大問8題構成となり、小問数もやや減少しました。
前半の大問1~5は解答のみで、後半の大問6~8は解き方を書かせる問題でした。前半は解答のみで、後半に解き方を書かせるという解答方式は例年通りです。
【難易度】
六甲学院中の2025年算数入試は、予想通り難化しました。六甲学院中の算数の特徴は、例年受験者平均点が得点率50%をやや下回るロースコアの勝負なのですが、昨年2024年度は、受験者平均点の得点率が63.7%と例年になく易しい試験でした。
今年度の難化は予想通りでしたが、受験者平均点の得点率が40.3%と予想以上の難化となりました。合格者平均でも得点率49.9%と5割を下回るほどでしたので、たいへん難しい試験であったことがわかります。
来年は今年より易化するだろうとは思いますが、やはりロースコア勝負となることは間違いないでしょう。
【傾向と対策】
2025年の今年度から配点が変わり、大問数も1問減りました。来年度も問題数としては今年度並みと思われます。
例年、六甲学院中の算数は前半に易問が多く、後半に難問というパターンが多い傾向にありますが、今年は必ずしも前半の解答のみの問題が簡単で、後半の解き方を書かせる問題が難しいというわけではありませんでした。
後半大問6から大問8の解き方を書かせる問題であっても、今年度の大問6と大問8は比較的易しい問題でした。逆に大問2の図形の問題はやや難度が高かったと思われます。このように難度の高い問題と低い問題が前半から後半までばらばらにちりばめられています。
難問に時間を費やしすぎると、後半の易しい問題を解き切る時間がなくなってしまいます。六甲学院中のようにロースコア勝負となる学校では、点数が取れる問題をしっかり見極めて点数を取り切ることが大切です。
難問だと思ったら飛ばして後回しにする、場合によっては捨て問にするなど解き進める順番や問題の取捨選択も合否を分ける大きなポイントになります。
大問数は変わりましたが、大問1の最初に計算問題が2題出題されるという始まりは例年通りでした。この2問は絶対に落としてはいけません。出題単元は他の学校に比べて偏りが少なく、どの単元から出題されるのかは予想し難い試験です。
大問1の計算問題以外には「平面図形」と「速さ」「規則性」などが比較的多く、2023年までは出題が続いていた「立体図形」は2年連続で出題がありませんでした。
六甲学院中の入試要項には、持ち物にコンパスと定規が指示されています。それは作図をする可能性があるということです。正しい作図ができるように、対策しておきましょう。
後半の解き方を書かせる問題は配点も大きくなるので、普段から解き方を書きながら解き進める練習をしておきましょう。逆に前半は解答のみを書く形式ですので、どれだけ正しい解き方をしていても、計算ミスや転記ミスなどのケアレスミスをしては1点にもなりません。
ロースコアの試験なので、ケアレスミスによる失点は致命傷になります。塾の復習テストなどでも時間を有効に使い、見直しを忘れず、絶対にケアレスミスをしないという厳しさで臨むようにしましょう。
※六甲学院中の算数は、いかに前半で失点しないかがとても大事です。ケアレスミス対策は必須となりますので、過去に掲載しました当ブログ「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」をご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
【試験時間・配点と構成】
昨年度まで50分100点満点の試験が、今年度から50分80点満点の試験に変更になりました。試験構成は例年通りの大問4題構成で、小問数は40問強とやや少なめでした。例年、小問数は50問前後です。
今年も例年通り、大問4問は、物理・化学・生物・地学の各分野から1題ずつ、配点もほぼ4分野均等で偏りがなくバランスよく出題されていました。
【難易度】
六甲学院中の2025年理科入試は、ここ数年で最も易しい試験でした。六甲学院中の理科は例年受験者平均点の得点率が55%前後、合格者平均点の得点率が60%前後ですが、今年度の受験者平均点の得点率は65.4%で、合格者平均点の得点率は73.3%でした。例年になく易しい試験となりました。
【傾向と対策】
六甲学院中の理科は、あまり見慣れない題材からの出題があります。今年の化学や生物分野の問題もそうでしたが、知らないと解けないわけではなく、問題文の中にヒントがあって、きちんと読めばこれまで学習した知識で解けるようになっています。長い問題文ではありますが、的確に読み進められるようにしましょう。
数年前までは、作図やグラフを描く解答もありましたが、ここ数年それはなくなり、その代わりに記述解答が数問出題されています。ここ数年の過去問などを含め、記述解答にも慣れておきましょう。また作図やグラフもまた復活するかもしれませんので、少し前の過去問にも目を通しておきましょう。
毎年、物理・化学・生物・地学の各分野からほぼ均等に出題がありますが、各分野内における出題単元は例年さまざまで、あまり偏りがありません。強いてあげるなら、物理分野の力学の単元、地学分野の天体の単元がやや多めではあります。いずれにしても、六甲学院中の理科入試は、苦手単元を作らないようにしておくことが大事です。
7.まとめ~六甲学院中合格への道~
六甲学院中は、カトリック教会の一修道会イエズス会を経営母体として設立しました。高校入試のない完全型の中高一貫男子校で、神戸の街を見下ろす伯母野山の自然に恵まれた絶好の学習環境にあり、古風でやや厳しい校則がある兵庫県有数の進学校として有名です。
総合進学セミナーには六甲学院中に特化して指導できる講師も多く在籍しています。毎年のように六甲学院中志望の受験生を指導しているため、入試傾向にも精通しています。お子さま1人ひとりの現状を踏まえ、入試までの限られた時間を無駄のない効率的な指導で合格を目指します。
六甲学院中受験はもちろん、併願校の選定など、中学受験に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
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