受験生の食事 合格の鍵を握る栄養素⑤〜糖質の摂り方〜

  • 2022.06.28
  • 受験レシピ

受験生にとって、勉強をするエネルギー源となる食事は欠かせません。
その中でも、糖質は脳のエネルギー源となるだけでなく、その摂り方によっては気力や集中力などをも左右し、受験勉強にも大きく関係してくる栄養素です。

また、糖質は成長期にある子どもにとっては欠かせない重要な栄養素でありますが、一方で飽食の現代の日本では糖質依存の高い食生活や摂取過剰から引き起こされる健康問題も増えてきています。(小児生活習慣病、精神疾患 など)



今回は、そのような糖質のメリット・デメリットを知った上で、上手に毎日の食事に糖質を取り入れていくための工夫をご紹介したいと思います。



◎糖質のメリット・デメリット

<メリット>

糖質は、栄養素の中で最も素早くエネルギーを生産する特徴を持っています。

そのため、成長期にある子供や痩せの人、体を大きくしたいアスリートなどにおいては、他の栄養素(たんぱく質、脂質 など)をエネルギーではなく体の成長(人体構成)に効率よく使えるためにも、エネルギー源としての糖質の摂取は重要です。

また、糖質は脳や神経組織、赤血球などのエネルギー源ともなりやすいことに加えて、分解されグリコーゲンとなると筋肉に貯蔵されるため筋肉量や体力をあげる際にも糖質は必要となってきます。

<デメリット>

一方で、糖質が体内で過剰になると脂肪細胞に中性脂肪という形で蓄えられ、肥満や生活習慣病の一因となります。

また、糖質は血糖値をあげる唯一の栄養素と言われています。そのため、糖質の摂り方や量によっては高血糖や低血糖が引き起こされ、そこから様々な不定愁訴(頭痛、肩こり、冷え、だるさ、疲れやすい、日中の眠気、老化 など)や疾患(糖尿病、血管疾患、がん など)のリスクへと繋がってきます。

 

◎糖質は勉強に必要不可欠?!

脳の唯一のエネルギー源と言えば「糖質(ブドウ糖)」と言われてきました。
ブドウ糖は糖質が分解されたものであり、勉強で疲れて集中力が落ちてきた際などには甘いものや、おにぎり、パン、うどんといった軽い補食・夜食を食べた経験のある人もいると思います。

確かに糖質には体内で素早く吸収され脳や体のエネルギーに変わるといった特徴があり、勉強で疲れた脳のエネルギーチャージとして活用しやすいですが、その一方で糖質は血糖値を上げやすいといった側面もあります。
糖質の摂取により血糖値が急激に上がると、その反動で急激に血糖値が下がり低血糖が引き起こされることがあります。

これにより、かえって集中力・思考力・記憶力が低下したり、食後の眠気に襲われたりすることも多々あります。
また、血糖値が下がらなくても血糖を維持するために交感神経の緊張状態が続くことで、そわそわ落ち着かない気分なども引き起こされてきます。

これらは、普段から甘いお菓子やジュース(清涼飲料水)、白米、パン、麺などの精製された糖質(炭水化物)を多く摂っている人においては特に注意が必要です。
勉強の合間の補食や・夜食においても精製された糖質ばかりに頼るのではなく、野菜やたんぱく質などの他の栄養素も取り入れるよう心がけてください。

*脳のエネルギー源となる栄養素にはブドウ糖の他に、脂質が分解されてできる「ケトン体」という栄養素もあります。
しかし、糖質中心の食生活をしている人では「ケトン体」を体内でエネルギー源として利用することはほとんどできません。



◎血糖値をあげない糖質の摂り方の工夫

では、どのように糖質とうまく付き合っていけば良いのでしょうか。
それには、上記で書いてきたような糖質のデメリット、特に血糖値の急上昇・急低下を引き起こさないように工夫していく必要があります。

<血糖値を上げない工夫ポイント>

◇食べる順番

食材の食べる順番によって、血糖値の上がり方は大きく変わってきます。血糖値を上げる糖質は、最後に食べるようにしましょう。

海藻・野菜 → タンパク質(主菜:肉魚・卵・豆類) → 糖質


◇緩やかに血糖値をあげる糖質

糖質を多く含む食物であっても、その種類によって血糖値の上がり方に違いがあります。

・血糖値を上げやすい糖質を多く含む食物
お菓子、甘味料、ジュース(砂糖、果糖ブドウ糖溶液などが多く使用されているもの)、白米、パン、麺(精製された穀物が使われているもの)

・糖質を多く含む食物の中でも比較的緩やかに血糖値を上げる食物
芋類、豆類、かぼちゃ、果物 など →これらは、糖質の他に食物繊維やビタミン、ミネラルなども含まれているため、上手に取り入れましょう。

◇糖質だけで食べない

糖質単体で食べることで血糖値は大きく上がります。
しかし、たんぱく質や食物繊維など他の栄養素を含む食物と一緒に食べる(あるいはそれらを食べた後に糖質食物を食べる)ことによって、血糖値の上昇は緩やかに抑えられます。
 

受験生は日々の勉強で使うエネルギーに加え、成長期にあるため体を大きくするための多くのエネルギーも必要です。
そのためには、糖質は欠かせない重要な栄養素であります。
健やかな成長や健康と共に、受験勉強や本番で力を発揮できるように、その量や摂り方を今一度振り返ってみてください。
 


<レシピ>
 

〜豚と薬味のサラダそば〜



【材料】(2人分)

・そば(乾麺)……2人分(120~160g)
・豚肩ロース(薄切り)……150~200g
・片栗粉……小さじ1/2
・水菜……3束(50g)
・玉ねぎ……1/8個
・みょうが……1/2個
・大葉……5枚
▼▼▼ A ▼▼▼
・梅干し(はちみつ梅)……2個
・みりん……大さじ2
・しょうゆ……大さじ1
・おろしニンニク……小さじ1/2
▲▲▲ A ▲▲▲
・めんつゆ……適量
・天かす(お好みで)……適量


【作り方】

① 小鍋に豚肉を茹でるお湯と、大きめの鍋にそばを茹でるお湯を沸かす。

② 水菜は洗って食べやすい長さに切る。玉ねぎは薄くスライスして、水にさらしてざるにあげてキッチンペーパーなどで水気を絞っておく。
みょうがと大葉は、千切りにする。

③ 梅干しの種を除いて包丁で細かく刻み、ボウルにAの調味料と一緒に入れてラップをかけて600Wの電子レンジで30秒加熱する。

④ 豚肩ロースに片栗粉をまぶして、沸騰したお湯に一気に入れて豚肉に火が通り色が変わるまで箸でほぐしながら茹でる。
茹で上がったら、ざるにあげて水分と粗熱をとる。

⑤ ③の梅ソースと豚肉、水菜、玉ねぎ、みょうが、大葉をよく混ぜ合わせる。

⑥ 沸騰したお湯にそばを入れて茹で、水でしっかり締めて水気をきる。

⑦ 器にそばを盛り、その上に⑤の具材を乗せてお好みで天かすをかけ、食べる直前にめんつゆをかけたら出来上がり。
 

そばは、穀類や麺類といった炭水化物の中でも比較的糖質が少なく、タンパク質や食物繊維が多く含まれた食材です。
これにタンパク質とビタミンB群(糖質をエネルギーに変える際に必要なビタミン)を豊富に含む豚肉と、食物繊維に富んだ水菜や薬味を合わせることで、血糖値の急上昇を抑える事が出来ます。これにより、食後の集中力や学習効率の向上や、眠気防止にもつながります。
暑くなってくるこの季節、さっぱりと食欲のそそるサラダそばはおすすめです。

 

〜肉味噌大豆とえびとじゃがいもの2種のレタス包み〜



【材料】(4人分)

・レタス……適量

(肉味噌大豆①)
・蒸し(ゆで)大豆……50g
・ひき肉……100g
・玉ねぎ……1/4個
・しょうが……1/2片
・にんにく……1/2片
▼▼▼ A ▼▼▼
・味噌……小さじ1
・砂糖……大さじ1/2
・みりん……大さじ1/2
・酒……大さじ1
▲▲▲ A ▲▲▲

(えびとじゃがいも②)
・むきえび……60g(7~8尾)
・じゃがいも……50g(小1個)
・玉ねぎ……1/4個
▼▼▼ B ▼▼▼
・コチュジャン……小さじ1/2
・はちみつ……小さじ1
・酢……小さじ1
・しょうゆ……大さじ1/2
・酒……大さじ1
▲▲▲ B ▲▲▲


【作り方】

<肉味噌大豆>

① 玉ねぎとしょうが、にんにくはみじん切りにする。

② フライパンに少量の油をひき、しょうがとにんにくを入れて火をつけ、香りがたってきたら玉ねぎ、ひき肉、大豆を入れて火が通るまで炒める。

③ そこに、Aの調味料を入れてよく炒め合わせる。 (お好みで水溶き片栗粉でとろみをつけてもOK)

<えびとじゃがいも>

① むきえびは5mmほどの大きさに切り、じゃがいもも5mm角に切る。
玉ねぎはみじん切りにする。

② フライパンに少量の油をひいてえび、じゃがいも、玉ねぎを入れてじゃがいもに火が通るまでよく炒める。

③ そこにBの調味料を入れてよく炒め合わせる。

<仕上げ>

① レタスを洗ってよく水気を切ったら、適当な大きさにちぎり器のようにしてその上に肉味噌大豆とえびとじゃがいもを乗せたらできあがり。
*お好みで千切りのキュウリや、白髪ネギ、かいわれ大根などを添えても美味しいです。
 

糖質である豆や芋類も、タンパク質のお肉や魚介、野菜と一緒に食べることで血糖値の急な上昇を抑えるとともに、1品でたくさんの食物を摂取でき栄養バランスも整います。
また、生野菜が苦手なお子さんでも、味のしっかりついた具材と一緒にすることで、とても食べやすくなりますので是非作ってみて下さい。

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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