2023年の中学入試から、今回は大阪星光学院中について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2024年の対策等について徹底解説いたします！

CONTENTS:

１．2023年度、大阪星光学院中入試の特徴

２．2023年の入試データ

３．大阪星光学院中志望者の受験日程パターン

４．大手塾別合格者数

５．科目別成績データ

６．2023年度入試からみる科目別の傾向と対策

　◆国語

　◆算数

　◆理科

　◆社会

７．まとめ～大阪星光学院中合格への道～

１．2023年度、大阪星光学院中入試の特徴

大阪星光学院中の入試は、I型（国語・算数・理科・社会の4科目型）、またはII型（国語・算数・理科の3科目型）のどちらかを選ぶことができます。

試験時間と配点は、国語と算数が各60分で120点、理科と社会は各40分80点の400点満点で、判定はそれぞれ以下の通りです。

<3科目型> 評価点

・国語・算数・理科の合計点×1.25

<4科目型> 評価点＝下記のうち最も高得点の点数

・国語・算数・理科・社会の合計点

・国語・算数・理科の合計点×1.25

・国語・算数・社会の合計点×1.25

合格判定に4科目型、3科目型の区別は行っていません。当然のことですが、最高点が3パターンから判断される4科目型受験の方が有利と考えられるでしょう。大阪星光学院中を第一志望に考えるのなら、やはり4科目型のほうがいいでしょう。

実際に、今年も受験者数695名のうち、4科目型受験者が517名、3科目型受験者が178名と約75％が4科目型での受験となりました。この比率はほぼ例年同程度で変わりありません。

２．2023年の入試データ

※（　）内は昨年比　<人>

志願者数は190名の募集に対し737名、受験者数は695名でした。昨年に比べるとやや増加しましたが、合格者も同様に増加しましたので実質倍率はやや減少しました。

毎年人数は上下しますが、大阪星光学院中の受験者は例年700名前後で安定しています。実質倍率も2.5倍前後と安定していて、大阪府の最難関男子校としての人気を保っています。

３．大阪星光学院中志望者の受験日程パターン

大阪星光学院中志望者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。

大阪星光学院中の受験日程パターンとしては、統一受験日前の前受けとして、愛光、岡山白陵、北嶺などが多く、そこで一つ合格を確保の上、統一受験日初日の午前中に行われる大阪星光学院中に臨みます。

大阪星光学院中の入試は初日午前の試験1回だけですので、併願パターンとしてはさまざまな方法が考えられます。他の最難関にチャレンジすることもできますし、手堅くワンランク下げた併願も可能です。

入学試験は4科受験でも14時頃には終わりますので、同日に2校受験するのであれば、そこから移動し清風、明星、帝塚山などを受験するパターンもあります。

2日目は、午前中に清風南海、須磨学園、明星、帝塚山、午後に西大和や高槻、須磨学園などが考えられます。

2日の午後に大阪星光学院中の合格発表がありますので、合格していればこれで終了です。合格しなかった場合は、3日目に東大寺学園や洛南高附にチャレンジするか清風、帝塚山2Bなどとなります。

4日目以降は清風南海、六甲学院、洛星、白陵、清風などを受験したパターンが多かったと思われます。

４．大手塾別合格者数

関西大手進学塾の大阪星光学院中合格者数は多い順に下記のようになりました。

（人）

2年連続で10名ずつ合格者数を伸ばしていた浜学園ですが、今年は13名減少しました。それでも100名の合格者を出し他塾を引き離しています。

大阪星光学院中に強い能開センターも浜学園に次ぐ合格者数を出していますが、昨年あった馬渕教室との差24名が今年は僅か4名差になっています。馬渕教室は昨年まで2年連続で減少していましたが、今年は盛り返してきています。

来年はこの2塾の合格者数がどうなるのか注目したいところです。希学園は灘、東大寺学園、甲陽学院、洛南高附に続き、大阪星光学院でも合格者数を伸ばしました。

５．科目別成績データ

大阪星光学院中合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差、合格者最高点と最低点を表したものが下記の表です。

　（前年比）<点>

（※国語、算数は各120点、理科、社会は各80点の400点満点）

大阪星光学院中の入試は2年連続で難化し、直近10年の中で最も総合点が低くなりました。

上記の表を見てもわかるように、特に理科の難化が顕著に見られました。算数はやや平均点が上がり、算数のみが昨年に比べ易化したように見えますが、昨年がたいへん難化した試験でしたので、今年が易しかったというわけではなく、やはりたいへん難しい試験でした。

総じて今年は4教科とも例年以上に難度の高い試験となりました。

６．2023年度入試からみる科目別の傾向と対策

今年度の大阪星光学院中入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します！

◆国語

【難易度】

大阪星光学院中2023年国語試験は、昨年に比べ大きく難化しました。受験者平均点は昨年より7点低く、過去10年で比較してもたいへん難しかった2018年に次ぐ平均点の低さでした。

【試験時間・配点と構成】

60分120点満点の試験で、問題用紙はB4用紙7枚。大問3題構成で、大問1と2は長文読解問題。文学的文章1題と説明的文章1題、大問3は知識問題で今年は慣用句でした。

記述解答の問題は字数制限のある4題とさほど多いわけではありませんが、一問一問の文字数が多いのも特徴的です。今年も60字以内の記述が2題、80字以内と100字以内の記述が各1題出題されました。

【傾向】

今年は大問1と大問2の中の小問で、漢字問題が合計10題出題されていますが、昨年に比べると小学生があまり使わない言葉が多く難化しています。

本文内の線が引かれたカタカナを漢字に直す形式なので、前後の文章の意味から類推できなくはありませんが、今年の「・・・こういうシザを持ってこられると、そこで・・・」の「シザ」は東大寺学園を想像する難易度でした。ちなみに答えは「視座」です。

ここ数年の予想配点は、記述が4割程度、知識問題が3割強、選択問題が3割弱となっています。長文読解問題で本文からの抜き出しのような解答はここ数年ありません。今年の難化の原因は記述と知識問題の難化でした。

【対策】

記述は配点も大きく、部分点も十分に加味されます。大阪星光学院中を志望するのであれば、要点を押さえて文字量をしっかり書けるように記述演習する必要があります。

これまで大阪星光学院中の漢字や知識問題はさほど難解な問題は出題されない傾向にありましたが、前述の通り今年はかなり難問が出題されています。漢字演習はこれまで以上に力を入れ、毎日5分でも行うように習慣づけると良いでしょう。

◆算数

【難易度】

大阪星光学院中2023年算数入試は、昨年に比べると易化しましたが、昨年がたいへん難度の高い試験でしたので、今年も例年に比べると難しい試験でした。

昨年は受験者平均点が58.1点と得点率が5割にも満たなかったのですが、今年は62.8点と得点率5割をわずかに上回ったものの、難度が高いことに変わりはありません。

【試験時間・配点と構成】

60分120点満点の試験で、問題用紙はB4用紙3枚、大問5題の構成は例年通りでした。

大問1は小問集合で小問1は計算問題です。大問1は比較的解きやすい問題が多いので、時間をかけすぎないように解き進めたいところです。

大問1は小問が5問で計算問題の他の4問のうち2問は平面図形、1問は場合の数にプラスもう1問という形式がここ5年ほど続いています。大問2～大問5までは立体図形、数論、速さなどが頻出しています。

【傾向と対策】

大阪星光学院中の算数は、基本1題を除いて解答のみを求める試験となっています。いくら解き方が正しくても計算ミスなどをしてしまえば1点にもなりません。ケアレスミスが許されない正確性が求められる試験です。

（※大きく差のつく算数は、小さなケアレスミスが命取りになりかねません。ケアレスミスについては下記のブログの「３．算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。）

　　　　　　　　　　　↓↓

『得点アップにつながる答案用紙の書き方！ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』

また、毎年1問だけ解き方を書かせる出題があります。正解にたどり着かなくても途中まででも書いていれば部分点が期待できます。普段から解き方を書く練習をしておき、どん欲に1点1点を取りに行きましょう。

全体的に平面図形、立体図形など図形問題の割合が多いのが大阪星光学院中の特徴でもあります。しっかりとした図形対策も必要です。

◆理科

【難易度】

大阪星光学院中2023年理科入試は、昨年に比べ受験者平均点も合格者平均点も10点以上下がり、大きく難化しました。昨年が比較的易しい試験でしたが、今年はここ数年で比較しても難しい試験でした。とくに今年は昨年に比べ計算問題の割合が高く、難度も高くなっていました。

【試験時間・配点と構成】

40分80点満点の試験で、問題用紙はB4用紙6枚。例年通り、物理・化学・生物・地学の各分野から1題ずつの大問4題構成でした。小問数は今年も含め例年30～40問程度です。

今年も理由を答える記述解答が出題されました。

【傾向と対策】

大阪星光学院中の理科は、試験時間が40分と他校に比べ短いので、1問ずつ時間をかけすぎないようにスピーディーに解き進めなければいけません。

知識問題の出題割合も他校に比べて多いので、知識問題を速やかに解答していき、計算問題の難問に時間を残せるように時間配分を考えながら進める必要があります。単純な知識問題も多いので、いかに素早く解答し、計算問題でしっかり時間を使えるようにするのがポイントです。

全般的に各分野における出題単元はあまり偏りがないので、過去問や問題集などで幅広く学習しておくようにしましょう。

◆社会

【難易度】

大阪星光学院中の2023年社会科入試は、受験者平均点も合格者平均点も昨年より下がり、4年連続で難化しています。

他校では3科、4科のアラカルト方式の場合、理科よりも社会の点数のほうが取りやすいことが多いのですが、大阪星光学院中については理科よりも社会の平均点のほうが低いこともよくあります。今年はほぼ同じような点数でしたが、過去10年のうち社会の平均点が低い年は4度あります。

大阪星光学院中が入試科目として社会科も重視していることがよくわかります。今後も社会科の難化が続くと、社会に勉強時間を割いて4科受験する受験生が少なくなるかもしれません。

【試験時間・配点と構成】

40分80点満点の試験で、問題用紙はB4用紙9枚と多くの文字数を読むことになります。

小問数は45～47問程度で、用語記述や用語選択などの知識問題が約半数あります。文章正誤問題の出題も多く、今年は18問と例年よりもさらに増しています。

歴史・地理・公民の各分野から出題がありますが、今年を含め例年歴史と地理分野の割合が高い傾向にあります。歴史と地理分野が出題全体の約8割強を占めていますが、ここ数年は公民分野の割合も少しずつ上がってきています。

【傾向と対策】

問題用紙9枚とボリュームがありますが、図や写真、表やグラフなどが多く、それらを見て解く問題も多くあります。図表の読み取りにも慣れておきましょう。

直近の災害等を踏まえ、災害に関する問題も増えていますので、しっかり対策しておきましょう。

選択問題は、「正しいものを選びなさい」という問題と「誤ったものを選びなさい」という問題が混在しています。問題文を的確に読み、ケアレスミスをしないように注意する必要があります。過去問演習をしっかり行って、大阪星光学院中の社会科問題に慣れておくようにしましょう。

７．まとめ～大阪星光学院中合格への道～

大阪星光学院中の入試は2年連続で難化が進み、今年度は例年に比べかなり低い得点での争いとなりました。来年は今年より易化するかもしれませんが、どうなるかは誰にも予測はできません。どのような試験であっても慌てずに受験できるよう、今からしっかりと準備しておくことが大切です。

大阪府内最難関男子校として人気のある大阪星光学院。毎年多くの男子生徒が受験しています。学校は大阪市内のほぼ中央に位置し、駅からも近く通いやすいことも人気の一つです。

学校は都会の中にありますが、和歌山や長野に研修施設を持ち、自然に触れながら勉強合宿など、さまざまな学校行事があることも魅力です。毎年東京大学や京都大学、医学部など最難関大学へ進学する卒業生を多く輩出しています。

小学生が自分1人だけで最難関中学の受験に取り組むのはたいへんだと思いますから、親御さまも一緒になって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめいたします。

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