2025年の中学入試から、大阪府でもトップクラスの進学実績を誇る共学校、清風南海中学校について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2026年の対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.清風南海中入試の特徴
【入試の種類】
清風南海中の入試は、統一入試日2日目に行われる「A入試」と4日目に行われる「B入試」の2種類の入試があります。昨年度までは英語検定資格に対し加点のある「SG入試」もあり3種類でしたが、今年度より「SG入試」がなくなりました。
「A入試」は統一入試日2日目(今年は1/19日曜日)の午前中に行われ、専願受験か併願受験かを選びます。専願受験は、コースを問わず合格したら必ず入学することを約束するもので、10点加点して判定されます。
また、英語検定による加点制度は縮小され、「A入試」の専願受験に限って適用されます。英検2級で10点、英検準1級以上で20点などと細かく規定されていますので、詳細は入試要項をご確認ください。
「B入試」は統一入試日4日目(今年は1/21火曜日)の午前中に行われます。B入試にも加点制度があり、A入試を受験し「スーパー特進コース」の合格基準点に達しなかった受験生がB入試を受験すれば、B入試の成績に10点加点されて判定します。
【清風南海のコース】
清風南海中には、「スーパー特進コース」と「特進コース」があり、スーパー特進コースで受験して不合格だった場合でも、特進コースの基準に達していれば廻し合格があります。
スーパー特進コースを選択する受験生が多いのですが、成績順にコースが決まるので、特進コースで受験しても成績が良ければ一旦はスーパー特進コースでの合格となります。最終的にどちらのコースで入学するかは選択できます。
【試験時間と配点・評価点】
A入試とB入試はどちらも試験科目は、4教科型受験(国語・算数・理科・社会)または3教科型受験(国語・算数・理科)のどちらかを出願時に選択します。試験時間と配点は、国語と算数が各60分で120点、理科と社会が各40分で80点の合計400点満点で判定します。評価点の計算方法は以下の通りです。
<4教科型> 評価点=下記①~③のうち最も高得点の点数
① 国語・算数・理科・社会の合計点
② 国語・算数・理科の合計点×1.25
③ 国語・算数・社会の合計点×1.25
<3教科型> 評価点
・国語・算数・理科の合計点×1.25
2.2025年の入試データ
(前年比)<人>
|
募集人員 |
志願者数 |
受験者数 |
合格者数 |
実質倍率(倍) |
|
A入試 |
S特 |
90 |
858(-6) |
837(-6) |
246(+53) |
3.40(-0.97) |
特進 |
130 |
242(-9) |
1.72(-0.18) |
|||
B入試 |
S特 |
20 |
916(-55) |
476(-73) |
105(-4) |
4.53(-0.51) |
特進 |
30 |
89(-62) |
2.45(-0.34) |
|||
計 |
270 |
1,774(-61) |
1,313(-79) |
682(-22) |
1.93(-0.05) |
※特進コースの実質倍率は、S特進と特進の合格者数の合計から算出しています。
2025年の清風南海中入試は、受験者数がA 入試でわずかに減少、B入試では大きく減少しました。昨年はA入試もB入試も志願者数、受験者数共に大きく増加していましたが、今年は減少に転じました。
今年度からSG入試がなくなり、その分A入試での募集人員が増えました。それに伴いスーパー特進の合格者数が昨年より50名以上増えましたので、A入試のS特進の実質倍率は大きく下がりました。
B入試の募集人員は変わっていませんが、受験者数が73名も減少したにもかかわらず、スーパー特進の合格者数は昨年より微減したもののほぼ同数で、こちらも実質倍率が大きく下がりました。
3.清風南海中志願者の受験日程パターン
清風南海中志願者の受験日程パターンを表したものが下記の表です。
前受け校 |
・愛光(愛媛) ・岡山白陵(岡山) ・岡山(岡山) ・北嶺(北海道) |
|
1日目 1/18(土) |
2日目 1/19(日) |
3日目 1/20(月) |
・大阪星光(大阪) ・高槻(大阪) ・清風(大阪) ・明星(大阪) ・四天王寺(大阪) ・帝塚山(奈良) ・帝塚山泉ヶ丘(大阪) |
<午前> ・清風南海A(大阪) <午後> ・西大和学園(奈良) ・高槻(大阪) ・帝塚山泉ヶ丘(大阪) |
・東大寺学園(奈良) ・清風(大阪) ・帝塚山(奈良) ・大阪桐蔭(大阪) ・智辯和歌山(和歌山) 【4日目以降(1/21~)】 ・清風南海(大阪) ・大阪桐蔭(大阪) |
清風南海中を第一志望に考えている受験生の併願パターンは、統一受験日前に前受けとして愛光、岡山白陵、岡山、男子なら北嶺などを受験します。
統一受験日初日は男子なら大阪星光、高槻、清風、明星、帝塚山泉ヶ丘など、女子なら四天王寺、高槻、帝塚山、帝塚山泉ヶ丘などを受験し、2日目の清風南海A入試に臨みます。同日に2校受験する場合は、午後に西大和、高槻、帝塚山泉ヶ丘などを受験するパターンが多いようです。
3日目に清風南海A入試の合格発表が午前9時(※昨年までは14時)にあるので、3日目の午前まで受験し、その後に合否確認をするパターンが多いかと思います。
3日目に受験するのなら、住んでいる地域によって帝塚山、大阪桐蔭、智辯和歌山などを受験、男子なら東大寺学園に挑戦、または清風なども考えられるでしょう。
3日目に合格が確認できればここで終了となります。そうでなかった場合は翌日4日目午前の清風南海B入試へと進むことになります。また、午後に大阪桐蔭を受験する生徒もいます。
4.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の清風南海中合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
能開センター |
馬渕教室 |
希学園 |
244(-6) |
195(-44) |
128(-6) |
50(-5) |
日能研 |
第一ゼミナール |
進学館 |
SAPIX |
31(-22) |
20(-7) |
5(-1) |
4(-7) |
今年度から清風南海中のSG入試がなくなり、合格者数が昨年に比べ50名も減少したこともあり、各塾の合格者数も軒並み減少しました。
南大阪に強い能開センターは、2年前まで合格者数トップを守っていましたが、昨年浜学園が合格者数を50名以上も増やしてトップとなりました。今年はどこも合格者数が減少していますが、浜学園は減少を6名に留めたのに対し、能開センターは44名も減少したので昨年よりもその差が広がりました。
そうはいっても、清風南海中の合格者を毎年200名近く出している能開センターは、やはり清風南海に強い塾といえます。今年は差を離されての2位となり、不本意な結果だったのではないでしょうか。
5.科目別成績データ
清風南海中2025年の各試験の教科ごとの受験者平均点と合格者平均点、スーパー特進コースの合格者平均点は下記の通りです。
<点>
入試・教科 |
受験者平均点 |
合格者平均点 |
スーパー特進 合格者平均点 |
A入試・国語 |
71.5(-1.6) |
77.4(-2.5) |
81.6(-1.9) |
A入試・算数 |
79.0(+2.7) |
87.6(+1.7) |
93.7(-1.5) |
A入試・理科 |
47.8(-8.4) |
54.1(-8.5) |
58.8(-8.1) |
A入試・社会 |
49.1(+5.1) |
53.0(+4.3) |
54.9(+3.1) |
B入試・国語 |
76.1(+1.4) |
85.3(+2.4) |
87.5(-1.7) |
B入試・算数 |
67.2(-16.8) |
82.1(-14.3) |
89.8(-15.0) |
B入試・理科 |
45.9(-17.1) |
52.4(-17.1) |
55.5(-17.7) |
B入試・社会 |
48.7(-6.0) |
53.1(-6.2) |
54.5(-7.3) |
(※国語、算数は各120点満点、理科、社会は各80点満点)
【合格者最低点】
清風南海中2025年の各試験、各コースの合格最低点は下記の通りでした。
(前年比)<点>
A入試 |
B入試 |
||
スーパー特進 |
特 進 |
スーパー特進 |
特 進 |
280 (-8.0) |
253.75 (-3.75) |
280 (-35.0) |
261.25 (-23.75) |
6.2025年度入試からみる科目別の傾向と対策
今年度の清風南海中A入試を中心に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
【試験時間・配点と構成】
60分120点満点の試験で、例年通りの大問4題構成でした。今年も例年通り、長文読解2題と詩と漢字の書き取りの4題で、大問1と2の長文読解は物語文と論説文の2題でした。
解答形式の割合も例年あまり変わらず、概数ですが知識問題は全体の3割程度と他校と比べると多いほうかもしれません。記述解答は大問1~3の中で1問ずつ出題されます。その他はほとんどが記号選択です。
【難易度】
清風南海中の2025年国語A入試は、2年連続の難化で、直近の5年間で最も難度の高い試験となりました。
清風南海中の国語は、例年受験者平均点が78点(得点率65%)前後ですが、今年は71.5点(得点率59.6%)なので、例年に比べ難度が高いことがわかります。それでも、他の難関校のように驚くほどの難度になることはありません。
【傾向と対策】
清風南海中受験者にとって、大問4の漢字の書き取り問題はさほど難易度が高いわけではないので、ここはしっかり得点源にしておきたいところです。ただし、清風南海中の漢字では、特に「トメ」や「ハネ」などまで厳しく見られます。細かいところまでしっかり書けるよう意識して練習しておきましょう。
漢字以外の知識問題は、今年も例年通りことわざ、慣用句、和語が出題されています。知識問題は出題単元が偏っていますので、対策はしやすいと思われます。
大問1と2の長文読解と大問3の詩では、小問の中に各1問記述解答があります。今年も大問1で70字、大問2で50字と長文記述の解答がありました。記述は配点も大きいのでしっかりと対策しておきましょう。
大問3の記述は例年難問が多く、今年も難問でした。満点解答はできなくても部分点が期待できますし、配点も大きいので、いくら難しいと思っても白紙解答だけは避けましょう。入試はどん欲に1点を取りにいく姿勢が大事です。
他校ではあまりないかもしれませんが、毎年大問3で出題される詩や頻出の短歌や俳句などは、清風南海中を志望するのであれば対策必須です。しっかり演習しておきましょう。
◆算数
【試験時間・配点と構成】
60分120点満点の試験で、例年通りの大問5題構成でした。今年も含め例年、大問1が計算問題、大問2が小問集合で大問4~5に1問だけ解き方(途中式)を書く出題があります。昨年度までは大問5の最後の問題が解き方を書かせる問題でしたが、今年は大問4で出題されています。
【難易度】
清風南海中の2025年の算数入試は、概ね例年並みの難易度でした。2021年度がたいへん易しい試験で、翌2022年には大きく難化し、例年と比べても難度の高い試験となりました。翌2023年以降から今年度まで少しずつ易化していて、概ね例年並みの難易度となっています。
【傾向と対策】
全体的に前半に易しい問題が多く、後半に難問が多い傾向にあります。前半でミスなく確実に点数を取ることが大切です。とくに清風南海中受験生ならば、大問1の計算問題での失点は避けなければなりません。確実に得点源となるようにしましょう。
大問2の小問集合はさまざまな単元からの出題があり、今年もそうですが「平面図形」や「立体図形」の問題が頻出しています。大問2の小問4の「場合の数」と小問5の「平面図形の移動」の問題がやや難度が高かったと思われますが、スーパー特進コース志望の受験生ならばしっかり得点しておきたい問題でした。
後半の大問3~5では、例年「平面図形」「立体図形」「速さ」の問題が頻出していますが、今年は立体図形の出題はなく、大問3が平面図形、大問4が速さ、大問5は思考力を要する速さの問題でした。
後半の大問3~5は各大問の中に小問が4、5問ずつくらいあり、いずれも小問1と2は易しい問題です。どの大問でも小問の後半が難しいと感じたら、次の前半の小問をしっかり取るようにするなど、上手に時間を使って確実に点数を取り進めていくことが大切です。
清風南海中算数の大きな特徴は、例年円周率に「3.14」を使わず、「22/7」を使うように指示があることです。一般には円周率に3.14を使うことがほとんどなので、ふだんのクセで3.14を使って計算してしまわないように十分注意しましょう。
当然のことですが、答えしか書かない解答形式は、3.14で計算するのと22/7で計算するのとでは答えが変わってくることになり、解き方は正しくても1点ももらえなくなります。清風南海中を志望する受験生はもちろん、併願校として受験する場合にも過去問でしっかり演習し、22/7で計算することに慣れておくようにしましょう。
※解答のみを求める試験ではケアレスミスが命取りになります。ケアレスミス対策については、当ブログの「3.算数でよくあるケアレスミスとその対処法」でご紹介していますのでご参照ください。
↓↓
『得点アップにつながる答案用紙の書き方!ケアレスミスをしやすいタイプと対処法』
◆理科
【試験時間・配点と構成】
40分80点満点の試験で、今年も例年通りの大問4題構成でした。今年度も物理、化学、生物、地学の各分野から1題ずつの出題で、配点はほぼ4分野均等です。問題用紙は冊子形式で、今年は昨年より2ページ増えて14ページでした。
【難易度】
清風南海中の2025年理科入試は、やや難しい試験でした。2023年、2024年とやや易しい試験が続いたので、今年度は大きく難化し、例年と比べてもやや難しい試験となりました。
【傾向と対策】
試験時間は40分と短いのですが、今年度も問題数は30問強とさほど多くはないので、それほど慌てる必要はありません。しかし、今年は前半から難度が高く、時間配分に少し苦労したかもしれません。
問題用紙14ページと多く感じるかもしれませんが、決して文章量が多いわけではないので威圧感はありません。ただし、近年問題文が長文化する傾向にあるので、文章をスピーディーに読む読解力をつけておくに越したことはないでしょう。
各分野における出題単元はさまざまで、あまり偏りはありませんが、物理分野ではここ数年「力学」と「電気」の単元が交互に出題されています。今年は電磁石でしたので、来年度は力学の可能性が高いです。化学分野では今年も出題された「化学変化」の単元が頻出しています。
生物の分野では、ここ数年「植物」と「動物」の単元が交互に出題されています。今年は「昆虫(ミツバチの8の字ダンス)」の単元だったので、来年は植物の可能性が高いでしょう。
今年もそうですが、毎年1問1答的な単純な知識問題も出題されます。知識問題では時間をかけずに確実に得点する必要があります。また、毎年グラフ・表の読み取りや計算問題が出題されますが、今年は化学と地学分野で出題されました。計算問題はどうしても時間を要しますので、時間配分には気をつけましょう。
来年度は物理分野で力学の単元からの出題が予想されますので、計算問題は必ず出題されます。差がつきやすい問題となりますので、過去問などでしっかり対策しておきましょう。
◆社会
【試験時間・配点と構成】
40分80点満点の試験で、昨年度より大問4題構成なりました。2023年までは大問5題構成でした。大問1が地理、大問2と3が歴史、大問4が公民分野の4題構成も昨年と同様でした。問題用紙は冊子形式の19ページです。
【難易度】
清風南海中の2025年社会科入試は、概ね例年並みの難易度でした。昨年は社会科にしては難度が高く、受験者平均点が44.0点(得点率55%)でしたが、今年は難度が緩み、受験者平均点が49.1点(得点率61.4%)となり、概ね例年並みとなりました。
【傾向と対策】
小問数は例年30問程度で、地理、歴史、公民の各分野がほぼ10問ずつの均等配点となっています。解答形式は記号選択が多く、2つ以上の事柄に対しての正誤や用語の正しい組み合わせを問う選択が多いので、選択肢の内容をしっかり読まないと解けないようになっています。
試験時間が理科同様に40分と短い中で、19ページの問題用紙を細かいところまでしっかり読むのはかなりのストレスになります。過去問などで演習をこなし、清風南海の問題に慣れておくようにしましょう。
用語解答では、「漢字2文字で答えなさい」のような漢字指定が多く出題されます。今年も「蒙古」「隣組」「行政」などが出題されました。しっかりと漢字で書けるように普段から書いて覚えるようにしましょう。
地理分野では、資料の読み取りや地形図が頻出しています。今年は出題されませんでしたが計算問題が出題されることもあります。過去問で傾向を知っておくと、本番で慌てなくてすみます。対策を怠らないようにしましょう。
清風南海中の社会科入試は、問題数が多いわけではありません。つまり、1問1問の配点が大きいということです。ちょっとした文章の読み落としなどで1問ミスすると、それだけで3~5点差がついてしまいます。
社会は本番で最後に受ける教科です。それまでに国語、算数、理科と受験して疲れていると思いますが、最後まで集中力を切らさずに社会科に立ち向かいましょう。ここで集中力が保てるかどうかも合否を分ける大きなポイントになりますよ。
7.まとめ~清風南海中合格への道~
清風南海中は、今年受験者数がやや減少したものの、南大阪を中心に優秀な生徒が集まり、生活指導も徹底しているので、安心して通わせることができると評判の人気校です。
仏教を中心とした宗教による教育で校則がやや厳しいことでも有名な清風南海中学校。中・高の6年間を1つの流れとした独自のカリキュラムと「授業第一主義」を公言し、週39時間授業や夏期勉強合宿などを実施している男女共学校で、大阪府でもトップクラスの進学実績を誇る名門進学校です。
総合進学セミナーには清風南海中に特化して指導できる講師も多く在籍しています。毎年のように清風南海中志望の受験生を指導しているため、入試傾向にも精通しています。お子さま1人ひとりの現状を踏まえ、入試までの限られた時間を無駄のない効率的な指導で合格を目指します。
清風南海中受験はもちろん、併願校の選定など、中学受験に関するお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
清風南海中対策ならお任せください!
保護者の方の疑問にお答えし、不安を解消する