受験生の食事〜脂質編〜

  • 2021.06.28
  • 受験レシピ

脂質=脂肪と聞くと、体にとっては邪魔物といったイメージが強いのではないでしょうか?


女性にとってはダイエットで一番落としたいものでありますし、近年問題となっている生活習慣病も、脂質過多が原因で引き起こされているものも多くあります。

しかし、脂肪は私たちが生きていく中でなくてはならないもので、それは受験勉強においても大きな働きを担っています。






◎脂質の重要性


・エネルギーの貯蓄や体温維持

脂肪は、他の栄養素(糖質・タンパク質など)に比べて、倍以上のエネルギーを含む栄養素であるため、人間の体はいざという時に備えて脂肪を体内に蓄えています。
体内では中性脂肪として腹腔内に蓄えられ体温維持や、臓器の保護などの役割を果たしています。
しかし、中性脂肪が増えすぎると、脂質異常症や動脈硬化など様々な病気の原因となります。
 

・細胞膜や脳神経細胞を作る材料

脂質は体内において、多くは細胞を形作る細胞膜に含まれています(例外として、脂肪細胞では細胞内に蓄えられている)。
神経細胞などを構成する細胞の膜も脂質によって出来ており、それらの細胞は古くなったものが毎日少しずつ新しいものへと作り変えられる代謝を繰り返しています。
そのため、私たちは常に食べ物からその材料となる脂質を摂取することで、細胞のメンテナンスが正常に行われていくのです。
 

・血液成分やホルモンの材料

赤血球や白血球の膜も脂質で構成されており、血漿成分にも脂質が含まれています。
また、脂肪細胞から様々なホルモンが分泌されており、脂質はホルモンを作る上で欠かせない栄養素です。
 

・脂溶性ビタミンの吸収を促す

水に溶けにくく、油に溶けやすい性質を持っているビタミンA、D、E、Kといったビタミンは、脂肪(油)を含む食物と一緒に摂取することで体内で吸収されやすくなります。
また、これらの脂溶性ビタミンは体内に入ると主に脂肪組織や肝臓に蓄えられます。




◎脂質(脂肪酸)の種類


脂質は様々な形で、私たちの体内や食物中に存在しています。それら様々な脂質を構成している重要な要素が脂肪酸です。
脂肪酸は化学構造の違いによって多くの種類があり、それぞれの性質も異なっていますが、大きく以下のように分類することができます。

・飽和脂肪酸

常温で固形の脂で動物性脂質に多い(バター、牛・豚・鶏肉の脂 など)。
摂りすぎると血中コレステロール濃度などが上がり、動脈硬化や脂質異常症などの病気を引き起こす。

・一価不飽和脂肪酸

代表的な脂肪酸にオレイン酸があり、オレイン酸は体内でも合成され、血中の悪玉コレステロール濃度を下げる作用がある。
オリーブオイル、なたね油などの動植物油脂に多く含まれている脂肪酸。

・多価不飽和脂肪酸(必須脂肪酸)

常温で液体の脂で、人の体で作ることができず食物から摂取しなければならない脂肪酸(必須脂肪酸)である。
植物や魚(青魚)の脂に多く含まれる脂肪酸で以下のような種類がある。

ω6(n-6)系脂肪酸

代表的な脂肪酸にリノール酸があり、血中の総コレステロール濃度を下げる作用があるが、摂取過多では善玉コレステロール濃度も低下させる。
ごま油や卵、肉、魚と幅広く含まれているため、積極的に摂取を意識しなくても良い。

ω3(n-3)系脂肪酸

代表的な脂肪酸にα-リノレン酸があり、α-リノレン酸は体内に入ったあとEPA(エイコサペンタエン酸)、さらにDHA(ドコサヘキサエン酸)へと変化する。
植物由来のえごま油や亜麻仁油、青魚の脂に多く含まれている。
α-リノレン酸=血中総コレステロール濃度を低下させる作用
EPA・DHA=中性脂肪の低下、脂質異常症を予防、血栓予防効果

 

◎受験勉強における脂質の働き


・脳の約6割が脂肪でできている

体内において脳神経組織は脂肪組織に次いで多量の脂質を含んでおり、脳全体で見ると約5~6割を脂肪が占めているほど、脳は多くの脂肪を含んだ組織になります。
特に、成長期の子供においては脳内の神経細胞の発達に脂質が非常に重要になってきます。
また、血流にのって脳まで運ばれてきた酸素や栄養素の中でも、脳内に入れるのは脳の神経活動のエネルギー源となるもののみです。
その限られた中の一つが脂肪酸のDHAやEPAであり、それらは脳や網膜などの組織を構成する成分でもあることから、脳や神経組織の発育や機能維持に効果が期待されています。


<レシピ>
 

〜ご飯がススム!鯵の香味野菜漬け〜



【材料】(2人分)

・鯵……1尾(3枚おろし)
 (もしくは、鯵の刺身)
・長ネギ……1本(白い部分)
・ニンニク……1片
・しょうが……1片
・大葉……10枚
▼▼▼ A ▼▼▼
・コチュジャン……小さじ1
・甜麺醤……小さじ1/2
・しょうゆ……大さじ1と1/3
▲▲▲ A ▲▲▲
・ごま油……大さじ1
・白ごま……小さじ1


【作り方】

① ボウルにAの調味料を入れて、よく混ぜ合わせる。
② 長ネギ、ニンニク、しょうが、大葉をみじん切りにする。
③ フライパンにごま油を入れ、大葉以外を入れて中〜弱火で炒める。
  (焦がさないように混ぜながら)
④ 長ネギがしんなりとしてきたら、大葉を加えて軽く炒めて火を止める。
のボウルの中に炒めた香味野菜を入れてよく混ぜ合わせて、常温まで冷ます。
⑥ 鯵を細切りにする。(あらかじめ細切りされたお刺身を使っても良い)
⑦ 細切りにした鯵に、を加えて混ぜ合わせたら出来上がり。
 



今の時期に旬を迎える鯵は脂がのっており、旨味も強くお刺身など生で食べるにはとても適しています。
鯵の脂には必須脂肪酸であるDHA、EPAが豊富に含まれています。
DHAは酸化しやすい性質がある為、特に鮮度のいいものを脂ごと食べられるお刺身などで効率よく摂取する事ができます。

少し生臭さなどが気になる方も、このように香味野菜や調味料を合わせることで美味しく食べられますし、殺菌効果のある香味野菜は食中毒などが気になるこの時期にはおすすめの食材です。



・食事から摂取する脂質が脳機能に影響する

体内で作ることのできない脂肪酸を必須脂肪酸(食物から摂取しなければならない)といい、ω6系やω3系脂肪酸が含まれます。
脳の約6割は脂肪でできていると言いましたが、その中でも必須脂肪酸は、脳や神経系に大きな影響を与えます。
脳内で新しい神経細胞が作られていく際にも脂肪は必要で、この神経細胞が新しく作られていくことにより学習機能や記憶力が維持されています。
しかし、この神経細胞が新しく作られる働きはストレスや加齢とともに低下することが分かってきているため、生活環境やライフステージに合わせて必須脂肪酸を意識して摂取することが重要です。
 

・脳内のスムーズな神経伝達を助ける

脂質により構成されている細胞膜から代謝・分泌される物質によって、細胞間で様々な情報伝達がなされています。
脳の記憶や学習をつかさどる海馬においても、この細胞膜から分泌される物質により興奮性神経伝達物質が放出され、脳の働きが高まります。
それらは脂質無くして働くことはできないため、もし、脳内で脂肪が不足すると、情報伝達の速度は落ち、頭の回転も鈍くなることが考えられます。



飽食の現代において普通に食生活を送っていれば脂質が不足することは少ないのですが、無理なダイエットや偏食、乱れた生活などによって不足を引き起こすこともあります。

一方で、脂質の過剰摂取にも気をつけなければならず、日頃から摂り過ぎになりがちな飽和脂肪酸は抑え、食物から摂取しなければならず身体にとっても必要な必須脂肪酸を意識していくことが大切です。


<レシピ>
 

鮭とアボカドの中華風南蛮和え



【材料】(2人分)

・鮭……2切
・アボカド……1/2個
・ミニトマト……6個
・玉ねぎ……1/4個
▼▼▼ A ▼▼▼
・おろしニンニク……小さじ1/4
・おろししょうが……小さじ1/4
・酢……大さじ1
・砂糖……大さじ1
・しょうゆ……大さじ1
・ごま油……小さじ1
・塩……少々
▲▲▲ A ▲▲▲
・片栗粉……適量
・揚げ油……適量


【作り方】

① 小鍋にAの調味料を入れ、弱火にかけて砂糖が溶けたら、火を止め常温に冷ましておく。
  (沸騰させないように短時間で)
② 鮭は骨を取り、塩を振った後1〜2分ほど置き、出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取る。
  その後、一口大に切って、片栗粉をまぶし、少なめの油で全体を揚げ焼きにする。
③ 玉ねぎはみじん切りにしてラップをかけ、電子レンジで600W・1分ほど加熱する。
④ アボカドは1cm角に切り、ミニトマトは半分にきる。
Aの調味料と、鮭、アボカド、ミニトマト、玉ねぎを全て合わせて和えたら出来上がり。
  *大人の方は、最後にお好みで七味唐辛子を少しかけるのもオススメです。
 



鮭には必須脂肪酸であるDHAやEPAが豊富に含まれているだけでなく、脳内や目の中でも抗酸化作用を発揮するアスタキサンチンという成分も含まれています。

また、一緒に合わせたアボカドも果肉の約20%が脂質という高脂質食物ですが、そのほとんどが不飽和脂肪酸であり、中でもオレイン酸(一価不飽和脂肪酸)を多く含んでいます。

一見すると、脂質が多くこってりとしそうな料理ですが、酢やトマトといった酸味のある食材と合わせることでさっぱりと味が引き締まり、また冷めても美味しく頂けます。

 

 

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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