子供との生活の中で、朝型の生活を心がけている人も多いと思います。
早寝早起きや、休日もリズムが崩れないようにすることなど、朝型の生活リズムにするために意識・工夫できる事は日常生活の中にたくさんあります。
その中でも食事においては、とくに朝食が1日の生活リズムや活動に及ぼす影響はとても大きいです。
これまでも、受験生の朝食の重要性について何度か紹介してきましたが、今回は、「朝の体の状態」にスポットをあて、それにあった朝食のポイントをご紹介していきたいと思います。
◎朝に足りないものを考える
私たちの体は夜寝ている間も生命活動(呼吸、体温、心拍の維持など)や、細胞の修復・合成、免疫機能の調整、記憶の整理などさまざまな活動を続けています。
一方で、寝ている時間は(子供であれば約8~10時間もの間)、絶食状態が続くため、体はその間活動に必要な栄養素を供給できないままでいます。
そのため、体は夕食時に摂取した栄養を使い果たすと、体内の筋肉や脂肪を分解し不足を補い続けます。
そして、朝目覚めたときには体内は空っぽの飢餓状態になっていることは想像に難くないと思います。
その中でも、エネルギーとタンパク質の枯渇は深刻で、朝食での補給が非常に重要になってきます。
◆タンパク質(アミノ酸)
タンパク質は、エネルギー(グルコース)や脂肪と異なり体内に貯蔵しておくことが出来ません。
そのため、就寝中は夕食から摂取したタンパク質を使い切ると、体内ではアミノ酸が不足しがちな状態が続きます。
(筋肉を分解してアミノ酸供給もされますが、筋肉量の少ない子供や高齢者などでは不足しがちな状態が続きます。)
タンパク質(アミノ酸)は寝ている間に分泌される、成長ホルモンやメラトニン、記憶の定着などに働くドーパミンなどの材料として必要量も多くなります。
また、朝は体内でのタンパク質吸収が上がりやすく、アミノ酸の代謝も盛んに行われるため、このタイミング(朝食)でのタンパク質摂取はまさにゴールデンタイムとも言えます。
そのため、朝に最も欠乏状態がひどく、1日の活動に大きな影響を及ぼすタンパク質は朝食で必ず摂取したい栄養になります。
◆エネルギー
就寝中も私たちの身体は生きるための活動を続けているため、そのためのエネルギーも当然必要になってきます。
多くの人にとってこのエネルギーになるのが、体内のブドウ糖であり、主に食事から摂取した炭水化物やタンパク質が分解されて生成されます。
ブドウ糖は肝臓や筋肉にも少量蓄えられています。就寝中に夕食から摂取したエネルギーを使い果たすと、次に貯蔵エネルギーを使い活動を維持するため、タンパク質同様、朝起きると体内のエネルギーはほぼ残っていません。
加えて、体は朝目覚めるとその日の午前中の活動のエネルギーも必要とするため、朝食でそれらを十分に補う必要があります。
これらのことから朝食では、タンパク質やエネルギーをしっかりと補給できるメニューや食材の組み合わせを意識することが重要になってきます。
<レシピ>
~夏場の朝食にも!鶏と卵のあんかけ丼~
【材料】(4人分)
- ・ささみ…2本
- ・卵……2個
- ・白ねぎ……1/2本
- ・たけのこ……50g
- ・ごはん……適量
- ▼▼▼ A ▼▼▼
- ・白だし……大さじ2
- ・しょうゆ……大さじ1
- ・みりん……大さじ1
- ・水……300ml
- ▲▲▲ A ▲▲▲
- ▼▼▼ B ▼▼▼
- ・片栗粉……大さじ1
- ・水……大さじ2
- ▲▲▲ B ▲▲▲
【作り方】
- ① 小鍋にお湯を沸騰させ、ささみを入れて10秒程したら火を消し、そのまま20分程置いたら手でさきほぐす。
白ねぎは粗みじん切りにし、たけのこは千切りにする。 - ② 鍋に油小さじ1(分量外)をひき熱したら、白ねぎとたけのこを入れて白ねぎがしんなりするまで炒める。
- ③ そこにAを入れてひと煮たちさせ、ささみを加えて全体をよくかき混ぜる。
- ④ 火を止めてBの水溶き片栗粉でとろみをつけたら、再び火をつけて沸騰してきたら卵を溶いて全体に回し入れ、ふんわり固まったら火を止める。
- ➄ 器にごはんを盛り、その上に④をかけたら出来上がり。
*大人の方はお好みでわさびを添えても美味しく召し上がれます。

タンパク質豊富なささみや卵をごはんに合う和風あんにし、食欲のない朝でも食べやすい一品にしました。
あんは前日などに作り冷やして、温かいご飯の上にかけても美味しく、夏場の暑い時期の朝食にもぴったりですので、是非一度作ってみて下さい。
◎水分補給の朝
エネルギーやタンパク質と同じくらい、朝に枯渇しているのが「水分」です。
就寝中は絶食状態が続くため、朝目覚めたときの体は脱水に近い状態です。
そのため朝の水分補給は欠かせないのですが、それだけでなく、朝に水分を補給することで自律神経の切り替わりがスムーズになり、胃腸の蠕動運動が促され排便もスムーズになります。
ただ、水分といっても糖質を含むジュースや、カフェイン・タンニンなどを含み利尿作用のあるコーヒーやお茶、消化に時間のかかる牛乳などではなく、すぐに水分として吸収される水がおすすめです。
また、飲み過ぎや過度に冷たい状態のものはかえって体に負担をかけるため、コップ1杯(200ml)程度の常温(または、白湯)の水を朝食前に摂取することがおすすめです。
◎基本はやさしい朝ごはんを!
就寝中は副交感神経が優位になり体はリラックスモードになりますが、朝目覚めると交感神経が優位になり体は活動モードへと切り替わります。
この交感神経が優位な状態になると消化器の消化運動は抑制されるため、朝の胃や腸の働きはあまり活発ではありません。
それに加えて、朝に食欲が湧かないという人も多いため、消化・吸収に負担のかかりにくいやさしい朝ごはんを意識することも重要です。
また、朝の食事や水分の摂取は、胃や腸を刺激して大腸が動き出し排便リズムを作る「腸活」の面でも重要であるため、朝ごはんには食物繊維もしっかり摂取したいです。
◎起きたら1番にすることとは?
朝食や水分補給が重要と紹介しましたが、それ以前に朝起きてまずやるべきことがあります。
それは『歯磨き』です。
前日の夜に歯磨きをして就寝しても、夜寝ている間に私たちの口腔内にはさまざまな菌が増殖しています。
その状態のまま朝起きて飲食をすると、口腔内の菌も一緒に飲み込むことになるため、腸内環境や体にとってさまざまな悪影響が及ぼされます。
せっかくの朝食が、かえって体の不調に繋がるかもしれないのです。
そのため、まず朝起きたら飲み物などを口にする前に、歯磨きや口をゆすぐ習慣をつけることが非常に重要です。
<レシピ>
~焼きなすと玉ねぎのスープ~
【材料】(4人分)
- ・なすび…小2本(約160g)
- ・玉ねぎ……1/2個
- ・じゃがいも……小1個(約60g)
- ・豆乳……200ml
- ・水……200ml
- ・バター……5g
- ・塩……小さじ2/3
【作り方】
- ① なすびは軽くフォークで全体に穴をあけ、グリルなどで全体を焼き、皮をむいておく。
- ② 玉ねぎとじゃがいもは薄いくし切りに、じゃがいもは水にさらす。
- ③ 鍋にバターを入れて火にかけ溶かしたら、玉ねぎを加えて全体がしんなりするまでよく炒める。
- ④ 水気をきったじゃがいもと水を加えて、じゃがいもが柔らかくなるまで中~弱火にかける。
- ➄ ①の焼きなすと豆乳、塩を加えてハンドミキサーなどで滑らかになるまで攪拌する。
- ➅ 最後に塩(分量外)で味を調えたら出来上がり。

朝には食べやすく、消化・吸収に負担がかからず、しっかりと水分が摂れるスープがおすすめです。
夏場に旬を迎えるなすびは、水分や食物繊維に加えて夏場の汗などで失われやすいカリウムも豊富に含まれています。
スープは冷やしても玉ねぎの優しい甘さが引き立ち、美味しく食べられます。