2021年の中学入試から、今回は甲陽学院中学について振り返ります。今年度の受験データを細かく分析、各科目の傾向やポイント、2022年の受験対策等について徹底解説いたします!
CONTENTS:
1.甲陽学院中学2021年度入試の特徴
2.2021年甲陽学院の入試データ
3.大手塾別合格者数
4.科目別平均点
5.甲陽学院中学、科目別の傾向と対策
6.まとめ~甲陽学院中学合格への道~
1.甲陽学院中学2021年度入試の特徴
甲陽学院の入試は、毎年合格者平均点が低い難しい試験ですが、今年も合格者平均点が316.4点で得点率63.28%とやはり低く、難しい試験であったことがわかります。今年は最難関中学入試の多くが概ねやや易化しましたが、甲陽学院については難化した珍しい入試でした。
甲陽学院中学校の入試日程は下記の表の通り、灘中入試と同様に2日間入試で、国語・算数は2日間(2回ずつ)あり、各100点で200点、理科は100点の計500点満点の試験です。
1日目<甲陽> 1/16(土) |
2日目<甲陽><併願校> 1/17(日) |
3日目以降<併願校> (1/20~) |
国語(55分・100点) 算数(55分・100点) 理科(55分・100点) |
国語(55分・100点) 算数(55分・100点) |
・東大寺学園(奈良) ・洛南高附属(京都) ・六甲学院(兵庫) ・清風南海(大阪) ・洛星(京都) |
【午後】 ・西大和学園(奈良) ・須磨学園(兵庫) ・高槻(大阪) |
甲陽学院受験者の併願パターンは上記の表の通り、2日目の午後に西大和学園や須磨学園、高槻など、3日目に洛南高附または東大寺学園、4日目に清風南海や六甲学院、白陵というのが一般的です。
2.2021年甲陽学院の入試データ
(前年比)<人>
|
2019年 |
2020年 |
2021年 |
募 集 人 員 |
200 |
200 |
200 |
志 願 者 数 |
411(-12) |
410(-1) |
410(0) |
受 験 者 数 |
393(-9) |
383(-10) |
380(-3) |
合 格 者 数 |
220(-2) |
217(-3) |
215(-2) |
実 質 倍 率 |
1.79 |
1.76 |
1.77 |
甲陽学院の入試は灘中と同一試験日ということもあり、最難関校の中では比較的倍率は低く、例年1.7~1.8倍。今年度も1.77倍と例年並みの安定した人気と言えます。昨年と比べ受験者数が3人減りましたがほぼ横ばいです。
入試の難易度は安定してかなりの高さを保っていますから、最難関レベルであることに違いはありません。
3.大手塾別合格者数
関西大手進学塾の甲陽学院中学合格者数は多い順に下記の通りでした。
(前年比)<人>
浜学園 |
日能研 |
馬渕教室 |
希学園 |
68(-16) |
44(+6) |
36(+6) |
35(-7) |
進学館 |
SAPIX |
第一ゼミナール |
|
24(+9) |
13(+5) |
10(+2) |
|
今年も浜学園の合格者数が一番多かったですが、昨年の84名に比べ16名も減少しています。浜学園の一昨年の合格者数は99名でしたので、2年連続で合格者数を減らしとことになります。逆に日能研と馬渕教室は昨年比6名増加となりました。日能研と馬渕教室は浜学園とは逆に2年連続で合格者数を増やしました。兵庫県に強い進学館も9名増えて昨年比160%と大きく躍進しました。
4.科目別平均点
甲陽学院中学合格者の各教科の平均点と受験者平均点との差を表したものが下記の表です。
(前年比)<点>
|
受験者平均 |
合格者平均 |
合格者平均との差 |
国 語 |
109.0(-18.8) |
116.2(-17.3) |
7.2(+1.5) |
算 数 |
125.1(+14) |
143.8(+14.8) |
18.7(+0.8) |
理 科 |
52.1(-1.8) |
56.4(-2.2) |
4.3(-0.4) |
※国語、算数は各200点、理科は100点満点
今年の甲陽学院の入試は昨年と比べ、国語は1日目も2日目も難化、算数は易化、理科は昨年並みという結果でした。全体ではやや難化した試験でした。
受験者平均点と合格者平均点を比べてみると、他校と同様にやはり算数で大きく差が出ていることがわかります。易化したとは言え、算数の出来不出来が合否の結果に大きく影響します。甲陽学院を目指すなら、算数のレベルを相当上げておく必要があります。
しかし、灘中と比べると、算数を含め、国語や理科もさほど差が大きいとは言えません。ちなみに今年の灘中の受験者平均点と合格者平均点の差は2日間合計で国語は12.5点、算数は31.4点、理科は8.0点でした。
5.甲陽学院中学、科目別の傾向と対策
今年度の甲陽学院中学入試を参考に、教科ごとの傾向と対策をご紹介します!
◆国語
甲陽の2021年の国語入試は、受験者平均点が昨年と比べて18点以上も低く、難化しましたが、昨年の平均点が高すぎたこともあり、例年並みに戻ったとも言えるでしょう。
・形式
1日目も2日目も文学的文章読解と説明的文章読解の大問2題構成で、B4の問題用紙が2枚ですが、その用紙の3/4くらいの長文を読んで設問に答える形式となっています。
・漢字
漢字は単問ではなく、長文中の傍線部の文字を漢字に直すという出題形式で、これも例年通りでした。今年も最難関校にしてはさほど難易度の高い漢字はなく、全問正解しておきたい問題でした。
・記述
今年も8割以上が字数制限のない記述解答で記述力の有無が甲陽学院合格のキーになることは間違いありません。解答欄の枠の大きさから何字くらいで解答するのが適当なのかを判断する力も求められます。記述は満点が取れなくても部分点がもらえます。空白にしないことと部分点の取れる解答力を身につけなければいけません。
・読解
甲陽学院の読解では例年、いじめ、差別、転校などから友達関係、家族に関する文章を読ませ、深い心情を問う問題が頻出です。今年も淡い恋心をとらえなければならない読解があり、甲陽受験をする男子小学生にはやや難しかったかもしれません。
◆算数
甲陽の2021年の算数入試は、易化したとは言え、やはり大きく差の出る結果となりました。
・形式
形式としては、1日目と2日目の偏りがなく、2日とも同じような試験構成です。試験時間55分に対し問題数は14~15問程度と、1問当たりにかけられる時間は比較的長く、深く考えさせる問題が多いことがわかります。
・記述
今年も大問1以外は解き方を書かせる解答となっており、最後の答えが間違っていても部分点は大いに期待できますから、最後まで行きつかなくてもわかるところまで粘り強く答案を作成する力が必要です。
毎日の学習の中で途中の式や図などもしっかり書く練習をしておきましょう。
・頻出単元
「数の性質」「場合の数」「平面図形」「立体図形」「速さ」は頻出単元ですので、甲陽受験者はしっかりと準備しましょう。特に立体図形の切断と影の問題は頻出ですので、しっかり理解しておきましょう。作図力も採点時の評価対象となりますから、出題された図を読み取るだけでなく、自分で作図し解き進める力も身につけておきましょう。
・合否のポイント
出題順は難易度順ではありませんが、最終問題が難しいことが多い傾向にあります。今年も2日目の最終問題はやはり難しく、捨て問にできる問題でした。ただ、1日目は最後の問題はそれほど難しくなく、問題の取捨選択も合否を分けるポイントとなりますから、難易度を見極める力も必要です。
◆理科
甲陽学院2021年の理科入試は、昨年に続き、今年もたいへん難しい試験でした。前述の通り、合格者平均点ですら56.4点と6割にも届かない点数でした。
・形式
甲陽の出題形式は毎年同じで、大問6題構成で1番が生物分野。他の5問は順不同で物理分野から2題、化学分野から2題、地学分野から1題となっています。
「生物・地学」の分野は「物理・化学分野」に比べ難易度は低めなことが多いので、そこでしっかり点数を取っておきたいところです。
・頻出単元
物理なら力学と電気、化学は中和と溶解度が頻出単元です。今年も昨年同様約半分が計算問題でした。ただ、特別複雑な計算問題は少ないです。
・合否のポイント
毎年捨て問にできるような超難問が出題されています。問題の見極め、取捨選択がしっかりできるかどうかも合否を分けるポイントとなります。そもそも甲陽の理科はたいへん難しいため、点差はつきにくい科目ではあります。
6.まとめ~甲陽学院中学合格への道~
今年の中学受験は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前代未聞の入試となりました。
来年2022年の受験がどうなるかは誰にも予測できませんが、通常通り行われるものとして今から準備していきましょう。
灘中と並び、関西圏の最難関中学と位置付けられている中高一貫の男子校の甲陽学院中学。灘とはまたひと味違う自由な校風と、きめ細かいサポートや学習指導で昔から人気のある伝統校です。
このような最難関校を小学生が自分1人で受験勉強するのはとてもたいへんだと思います。どうか親御さまもいっしょになって真剣に受験に取り組んであげてください。どう対策していけばいいか不安に感じたら、志望校に特化したアドバイスができる受験のプロに早めに相談することをおすすめします。