「算数」は中学受験における最重要科目です。「中学受験は算数で決まる!」とも言われるほどで、算数力の強化は必須です。そこで今回は、「知っておくと役に立つ3つの計算式」をご紹介します!
CONTENTS:
1.覚えておくと便利な計算式とは?
2.「円周率九九」計算
3.「平方数」計算
4.「三角数」計算
5.計算暗記する際の注意点
6.まとめ~親の関わり方
1.覚えておくと便利な計算式とは?
中学受験の算数で、「成績がなかなか上がらない」「試験時間内に終わらない」「ケアレスミスが多い」などといったお悩みはないでしょうか。
そのようなお子さまにおすすめしたいのが、「受験に役立つ便利な計算式」で、進学塾などではよく教わる「中学受験テクニック」のひとつです。一般の公立学校ではまず教わることはないでしょう。
算数のテストで、毎回のように計算間違いをしてしまう生徒がいます。そのような生徒のテスト用紙を見ますと、余白に書かれている計算式の書き方が雑で、どこに何を書いたかがわからなくなったり、そもそも字が汚くて自分で書いた数字を読み間違えたりしています。親御さまからすると腹が立つやらあきれるやら、情けなく感じるかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、いちいち計算しなくても、よく使う計算式を丸暗記して覚えてしまう方法です。とくに中学受験でよく出る計算を覚えておけば、ある程度のミスを軽減することができ、計算のスピードアップにもなります。
今回ご紹介するのは、「知らなくてもいいけど知っておくと便利な計算」で、以下の3つです。
①「円周率九九」計算
②「平方数」計算
③「三角数」計算
上記3つの計算は、どれも中学受験に役立つもので、使用頻度の高い覚えて欲しい順にご紹介しています。すでに進学塾などで覚えるように言われているかもしれませんし、あえて覚える必要はないと言われているかもしれません。いずれにせよ、「知っていて損はない」ので、できたら覚えてみてくださいね。
2.「円周率九九」計算
最初に覚えて欲しいのは、「円周率の九九」と称されることもある、「3.14×1桁自然数」の計算です。
中学受験の試験では、円周率3.14の掛け算を必要とすることが多々あります。それをいちいち筆算で計算しているより、1~9までの解を丸暗記してしまったほうがずっと早く計算できます。
覚え方は、小学2年生で習った「九九」と同じです。2年生の時、1の段から9の段まで、さんざん覚えさせられましたよね。それに「3.14」の段もつけ足してみましょう。
3.14×1=3.14 3.14×2=6.28 3.14×3=9.42
3.14×4=12.56 3.14×5=15.7 3.14×6=18.84
3.14×7=21.98 3.14×8=25.12 3.14×9=28.26
小数の計算なので、一見ややこしくて難しそうに感じますが、九九を教わった時のように、毎日ことあるごとに「3.14 6.28 9.42・・・」と復唱してみてください。早ければ案外一週間くらいで丸暗記できるものですよ!
中学入試の算数では、図形問題が頻出しています。円やおうぎ形が出てくると円周率の掛け算が必要になります。毎回筆算をして計算していると、計算間違いをしたり自分の書いた字を読み間違えたりしがちです。
もっとも「3.14×1桁の数字のような簡単な問題ばかりじゃない、3.14×2桁や3.14×3桁の計算もたくさんあるので、1桁だけ覚えても意味がない」と思われるかもしれません。しかし、2桁の計算をすることを考えてみてください。
例えば、「3.14×78」という計算をするとしましょう。
筆算では、
となりますよね。
この時、途中計算の3.14×8と、3.14×7の計算が、25.12と21.98とわかっていれば、いちいち計算しなくても、一桁ずらして書いて足すだけで簡単に計算できるということになります。同様に、3桁なら覚えた3つの数字を足すだけですから、普通に筆算するよりかなり速く計算できますし、ミスも防げます。
中学生になると算数から数学に変わり「文字式」を習うようになります。それに伴い、図形問題も円周率は3.14ではなく、「π(パイ)」を使うようになります。ですから、いま3.14の九九を覚えても、中学受験以降はあまり役に立たないのも事実です。
しかし、面白いもので、中学受験で必死に覚えたことは大人になっても忘れないものです。当セミナースタッフも、同じ中学受験をした仲間と40歳を過ぎて久しぶりに会ってこの円周率九九の話になり、互いに3.14の九九をスラスラ言えたのには、驚きと同時に笑ってしまったことがありました。少なくとも話題にはできますし、覚えておいて損はないと思いますよ!
3.「平方数」計算
次に覚えておくと便利なのは、「1から19までの平方数」の計算です。
平方数とは、同じ整数を2回掛けた積のことをいいます。
1×1=1 2×2=4 3×3=9 と始まり、
9×9=81 10×10=100 と続いて、19まで覚えます。
11×11=121 12×12=144 13×13=169
14×14=196 15×15=225 16×16=256
17×17=289 18×18=324 19×19=361
塾などで15×15くらいまでは覚えるように言われて、実際に覚えている生徒もいるかもしれません。それでしたら、あと4つですからそれほどたいへんではないでしょう。
イギリスの小学生が覚える九九は9×9ではなく、12×12までですし、いま話題のインド式計算による九九は19×19までです。
それに比べれば、19までの段すべてを覚えるのではなく平方数だけですから、さほど難しくもないでしょう。
19×19まですべてはたいへんですが、イギリスのように少なくとも12×12までとか、平方数だけでも19×19まで覚えておくと、さまざまな計算問題で役立ったり規則性や数論の問題でヒントになったりします。
文章題にしても問題文の中に2.89や36.1のような数字が出てきた時に、17や19の数字が関係するのかなと頭をかすめるようになったら大したものです。算数が楽しくなり、より好きになれるでしょう。また、前述の円周率九九とは違い、平方数の計算は大人になってからもさまざまな場面で使えて、かなり便利だと思いますよ!
4.「三角数」計算
最後にもう一つ、覚えておくと便利な計算に、1から20までの「三角数」と呼ばれるものがあります。
下記のよう1から順に自然数を足していくものですが、これを20まで覚えます。
1+2=3 1+2+3+=6 1+2+3+4=10 ………
1+2+……18+19=190 1+2+……19+20=210
前述の平方数と同様に、三角数の計算を覚えておくことにより計算が早くなったり、規則性の問題などを解く上でのヒントになったりします。
もちろん、この問題は、
(1+□)×□÷2
という公式で習っているとも思います。
当然これで計算すれば、わざわざ覚える必要はないのですが、計算ミスをしたり、時間がかかったりしてしまいます。三角数の計算も中学入試で頻出ですので、20までくらいは覚えておくと、さっと解き進めることができ、時間にも余裕をもつことができます。
上記3つのどの計算も絶対に覚えなければいけないというものではありません。できたらでいいので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
5.計算暗記する際の注意点
最難関中学を受験する生徒の中には、前述3つの計算式を覚えようと意識しなくても多くの問題を解いているうちに勝手に覚えてしまったという生徒もいます。そのような生徒からしてみると、何を今さらと思うかもしれません。
しかし、ほとんどの生徒はそこまで到達していません。逆にいうと、それだけにチャンスでもあります。これらの計算を覚えておくと、算数では多くの場面で時間短縮とミスの軽減を図ることができます。その分ライバルに差をつけることができるのです。
もちろん、覚えていなくても計算すればいいだけですから、強制的に覚える必要もありません(その分計算がスムーズにできるようにはしておきましょう)。無理に覚えさせようとするのは逆効果になりますから注意してください。
杓子定規に「ぜんぶ覚えなければならない」と強迫観念のようになってしまい、いざ試験本番で「覚えてないからもうダメだ」となってしまっては本末転倒です。忘れてもぜんぜん構わない計算式ですから、ぜんぶ覚えられたら「ラッキー!」「すごい!」くらいに思うようにしましょう。
注意点をまとめると以下のようになります。
・無理強いするのは逆効果!
・「覚えるべき」、ではなく、「覚えられたらラッキー」という感覚で!
・忘れてしまっても、慌てずすぐに計算できるようにしておきましょう!
6.まとめ~親の関わり方
前述のとおり、これら3つの計算式は絶対に覚えなくてはいけないものではありません。しかし、すべて覚えられたら、人前で筆算をせず暗算で答えることができ、一目置かれる存在になるでしょう。
周りから「すごい!」などと言われると、覚えるスピードは加速します。少しずつでも覚えられたら、親御さまもその都度褒めてあげてください。
小学生は中高校生に比べ、「もっと褒められたい」、「もっとすごいと思われたい」という気持ちが旺盛です。できるだけ褒めて応援してあげるようにしましょう。
逆に親御さまがわが子に覚えさせようと必死になりすぎて、「なんでまだ覚えられないの」「今週中には覚えなさいよ」などとプレッシャーをかけてしまうと、覚えることを拒否し、やる気もなくしてしまうのでやめてくださいね。
「塾の宿題もたいへんなのに、こんな難しい計算まで覚えてすごいね!」というスタンスで見守ってあげましょう。余裕があれば親御さまもいっしょに覚えて、クイズのように出し合ってみてもいいと思います。いい頭の体操になりますし、親子で楽しく覚えることができれば何よりですよね。
このように中学受験では、学校では教えてくれない受験のテクニックのようなものもあります。算数には上記の計算の他に、「つるかめ算」や「和差算」など、さまざまな計算テクニックを用いて問題を解かなければなりません。算数力が不安だと思ったら、一度受験のプロに相談してみることをおすすめします。