中学受験を決める前に。偏差値だけで志望校を選んでいませんか?~受験校選びの落とし穴~

  • 2023.02.01
  • 受験情報

 

 

中学受験を迷っている、あるいは中学受験がよくわからないという方のために、私立中学と公立中学の違い、学費はどのくらいか、大学附属校のメリット・デメリット、受験校選びの注意点など、前回のブログ「塾選び」につづき、中学受験について徹底解説いたします。

 

CONTENTS:

1. 私立中学のメリット・デメリット!公立中学との違い・学費は?

私立中学のメリット

大学受験を意識したカリキュラム

充実した設備

奨学金制度や国の支援制度を利用する

私立中学のデメリット

私立の学費は公立の約3倍?

私立の場合は塾に通わせなくてだいじょうぶ?

驚くほど難しい中学入試!人気校は狭き門

 

2. 私立中学にもいろいろある~選択基準となる5つのポイント

男子校、女子校、共学校、大学附属校

進学実績豊富な学校

英語に特化した学校

スポーツ、芸術など部活動に強い学校

宗教系の学校

 

3. 大学附属校のメリット・デメリット

大学附属校のメリット

大学附属校のデメリット

後悔しない学校選びを!

 

4. 学校の場所も大事な志望校選びの一大要素

 

5. やってはいけない志望校選び~志望校選びの落とし穴!

ホームページやパンフレットだけで決めてしまう

口コミを鵜呑みにしてしまう

子どもか親のどちらかだけで決めてしまう

両親の意見が不一致!

知名度や偏差値だけで決めてしまう

 

6. まとめ~志望校選びは中学受験の大きなヤマ!

 

1. 私立中学のメリット・デメリット!公立中学との違い・学費は?

 

 

 

私立中学のメリット

大学受験を意識したカリキュラム

私立中学はほとんどの場合、中高一貫の6年制となります。公立中学は基本的に3年制が多いので、いちばん大きな違いは教育カリキュラムにあります。

 

多くの私立中学は、公立中学よりも学習時間が多く、基礎学力を強化させたり、大学入試を見据えたカリキュラムで学習させたりしています。進度が早く高校2年には受験に必要なすべての内容を学び終えており、高校3年生では、各大学の入試問題演習期間となって、まるで予備校のような十分な受験対策がなされているという学校も多くあります。

 

大学受験塾で同じ大学を目指す講座を受講しても、私立の生徒と公立の生徒では学校で学習している内容が大きく違うため、しばしば困惑することがあります。公立の生徒はまだ習っていなかったり、進度にまったくついていけなかったりして、厳しく感じることも多いでしょう。この点、やはり私立のほうが有利であることは間違いありません。とくに国立の難関大学や医学部の現役合格を考えているのであれば、私立の進学校が有利となる場合が多いでしょう。

 

充実した設備

学校の設備全般、図書館やPC教室、理科室、音楽室、美術室、校庭、体育館、グラウンドや講堂など、一般に私立中学の設備は充実していて公立にはない恵まれた教育環境であることが多いでしょう。

 

学校にもよりますが、やはりそれなりの費用を支払うだけのことはあると思います。この辺はオープンキャンパスなどで校内や授業の様子を実際に見てくるといいでしょう。

 

奨学金制度や国の支援制度を利用する

私立は確かに公立よりお金がかかることは間違いありませんが、お金がかかるからと、子どもが優秀で私立に行きたがっているのに費用を理由に諦めることもありません

 

受験時の成績により奨学金制度などがある学校も多くあり、成績により入学金や授業料が免除になるなど、各学校によってさまざまな奨学金制度があります。一度調べてみるといいでしょう。

 

また高校では、国の「高等学校等就学支援金制度」というものもあります。年収によって授業料が実質無料になることもありますので、文部科学省のホームページなどで確認してみるといいでしょう。

 

私立中学のデメリット

 

 

 

私立の学費は公立の約3倍?

私立中学に通うはメリットばかりかというと、そんなこともありません。

やはり公立中学と違い、私立中学はお金がかかります。授業料はもちろん、入学金制服代通学費などは公立中学とは比較になりません。

 

大まかにいうと、中学3年間の費用は平均して約300万円~400万円。高校までの6年間で700万円くらいが目安です。公立なら、中学3年間で100万円に満たないと思いますから、だいたい3倍くらいの違いがあります。

 

もちろん、学校によって修学旅行が海外だったり、お金のかかる課外活動に入ったりするなど、より高額になる場合も逆に低い学校もあり、その差はさまざまとなります。それでも平均してだいたい3倍くらいの違いがあるということになります。

 

私立の場合は塾に通わせなくてだいじょうぶ?

私立中の学費の話題でよく聞かれるのが、中高一貫校に入れば、塾費がいらないという話です。高校受験はないわけですので、高校受験を目指すような「高校受験のための塾費」は必要ないでしょう。

 

確かに私立の進学校では学校説明会などで、「塾に通う必要はない」とよく言われます。だいたい私立学校の授業料が月に5万円前後と考えれば、公立中で高校受験のために通塾させるのとさほど違いはないようにも思われます。

 

しかし、実際には私立の中高一貫校でも授業のフォローや「大学受験を見据え」て、中学生のうちから何かしらの学校外学習を行っていることが少なくありません。とくに最難関大を目指す場合はなおさらです。もちろん、学校の勉強だけで難関大に合格する生徒もいますが、最難関大受験のための学校外学習をする場合、前述の学校費用にプラスしての学習費なので、さらに高額になることを覚悟しておく必要があるでしょう。

 

驚くほど難しい中学入試!人気校は狭き門

何より大事なことは、公立中学とは違い、誰もが自分の希望する私立中学に入れるわけではないということです。そもそも私立中学に入学するには入学試験があり、それに合格する必要があります。

 

それぞれ学校により、試験の難易度や倍率などは違いますが、当然のことながら人気のある学校は倍率が高くなります。

前回のブログ「中学受験の始め方~塾はいつから?塾費用は?塾選びのポイントと注意点!」でもお伝えしましたが、難関校の中学受験は独学ではまず難しいと思ってください。中学受験のためのに通ったり家庭教師をつけたりする必要があるでしょう。詳しくは上記ブログをご参照ください。

 

 

2. 私立中学にもいろいろある~選択基準となる5つのポイント

 

 

 

数多くある私立中学のなかで、ネームバリューや偏差値で受験校を決めることも多いと思いますが、私立中学は各学校でそれぞれに特徴があります。それらは志望校選びの大きな基準にもなるでしょう。ここでは志望校を決めるにあたって選択基準となる5つのポイントをご紹介します。

 

① 男子校、女子校、共学校、大学附属校

人によっては「絶対に女子校がいい」や「共学じゃなければイヤだ」という生徒もいるでしょうし、「学習や課外活動に専念させたいので男子校に行かせたい」というご家庭もあるでしょう。

 

また、受験の心配がないエスカレーター式の「大学附属校に入れたい」というご家庭も多いでしょう(※大学附属校については、次の「3.大学附属校のメリット・デメリット」で詳しく説明します)。

 

② 進学実績豊富な学校

私立中学に通わせる大きな目的が進学であれば、東京大学や京都大学、医学部など最難関大学の進学実績も1つの指標となるでしょう。

 

③ 英語に特化した学校

インターナショナルスクールではなく、国内にいながら海外に留学したような学校、国際バカロレア校や、海外留学ができる学校など、英語教育に特化し、海外の大学進学を目指すような学校もあります。

 

④ スポーツ、芸術など部活動に強い学校

サッカーや野球、バスケットボールなどのスポーツ強豪校や、ダンス吹奏楽部などの強豪校、演劇、百人一首、鉄道研究部など、さまざまな部活動の強豪校や有名校があります。

本格的にその道を究めたい、自分の力を発揮したいという生徒が、全国から集まっています。

 

⑤ 宗教系の学校

キリスト系仏教系など宗教系の学校の場合、ご家庭によっては選択肢が決まっていることもあるでしょう。

 

上記5つのポイントの他にも、設備が素晴らしい学校や制服の種類が豊富でとてもオシャレな学校、逆に制服がなく髪型なども自由な学校など、学校によってさまざまな特色があります。

 

志望校選びをする際は、ネームバリューや偏差値だけではなく、6年間通学することや将来を見据えて選ぶようにしましょう。

 

 

3. 大学附属校のメリット・デメリット

 

 

 

コロナ禍でますます人気となった大学附属校。確かに将来のことを考えると、附属校か否かは人生をも左右しかねない大きな選考基準となります。同じ偏差値であっても、中高一貫校なのかエスカレーターの附属校なのかで今後の学習も生活も大きく変わります

 

大学附属校のメリット

早稲田や慶應、関西学院や同志社にしても、その附属中学に入学する生徒の多くは大学もそのまま同じ大学に進学することを希望しています。つまり、高校受験も大学受験もない10年一貫教育となります。

もちろん、内部進学するのにある程度の基準はありますので、定期テストなどでは勉強も必要ですが、受験とはぜんぜん違います。

 

高校受験も大学受験もありませんので、その分のびのびと中学・高校の学生生活を送ることができ、部活動や学校外の習い事など好きなことに思いきり打ち込むこともできるでしょう。

 

大学附属校のデメリット

いくらエスカレーター式とはいえ、100%全員が内部進学できるというわけではありません。学校にもよりますが、学内で成績不良や素行不良があると進学できない場合もあります。

また、国立大には附属校がほとんどありませんので、国立大を目指すなら厳しいでしょう。

 

同様に、他大の大学受験を考えるのであれば必ずしもいい環境とはいえないかもしれません。周囲の生徒がほとんど受験しないなかで、ひとり塾などに通い大学受験に臨むというのはたいへんな労力ですし精神力も必要となります。

 

学校も内部進学が前提なので、進路指導にどれほど熱心かというとやや疑問が残ります。

途中で国立大や他の大学に行きたくなっても、他の手厚い進学校の受験生と戦うのはかなり厳しくなると覚悟しなければなりません。

 

後悔しない学校選びを!

親御さまによっては、大学まで「のびのびと学生生活を満喫してほしい」と考える人もいれば、逆に勉強せずに「ダラダラしてしまうのは困る」と考える人もいます。確かに大学受験をする生徒に比べると、附属校の生徒は勉強時間が減ることがほとんどであることは否めないでしょう。

 

大学附属校にしても中高一貫校にしても、いずれもメリット・デメリットがあります。後で後悔しないように、目先のことだけでなく先々のことまで見据えて、本人とよく話し合って決めるようにしてくださいね。

 

 

4. 学校の場所も大事な志望校選びの一大要素

 

 

 

志望校を選ぶ際、学校の場所も重要なポイントとなります。中高一貫校であれば、6年間毎日通学することになります。通学時間が長いほど、体力的にも精神的にも辛くなるでしょう。

 

最近では教科書にプラスしてタブレットを持ったりするため、鞄がかなり重くなります。重い荷物を持ってラッシュアワーの混んでいる電車やバスを乗り継いで通うのは大人でも厳しいと思います。加えて委員会や部活動などがあれば、早朝に登校し、下校も遅くなるということも多々あります。

 

体力にあまり自信のないお子さまの場合、あまり遠方で日々疲れてしまうと、朝起きられなくなったり、だんだんと不登校になったりするリスクもあります。ましてや通塾したり、習い事を考えたりしている場合は、その時間も考えておかなければなりません。

 

一つの考え方として、合格したら近くに引っ越すという考えもありますし、全寮制の学校に入るという考えもあります。スポーツなどの強豪校には寮のある学校も多数あります。興味のある学校があれば検討してみてもいいでしょう。

 

いずれにせよ、学校の場所はとても大事なポイントですので、親子で納得するまでよく話し合って決めましょう。

 

5. やってはいけない志望校選び~志望校選びの落とし穴!

 

 

 

最後に、入学後に後悔しないために「志望校選びでやってはいけない5つのポイント」をご紹介します。

 

① ホームページやパンフレットだけで決めてしまう

私立中学校にはさまざまな特徴があるとお伝えしました。どんな学校があるかについては、インターネットで検索をすればすぐに見つけることができます。学校のホームページや口コミなども簡単に検索できるでしょう。

 

学校のホームページパンフレットなどを見ると、どこも魅力的に感じられると思います。ホームページで使われている画像や動画などは、プロが撮影したもので見映えのいいものばかりです。生徒の表情もみな笑顔でいきいきとしていることでしょう。

 

当然のことながら、内容も興味をひくようないいものばかりで、悪いことは一切載っていません。学校の説明会などに出るなど実際に足を運ぶことなく、ホームページの情報だけで決めてしまうのは注意したほうがいいでしょう。

 

② 口コミを鵜呑みにしてしまう

よく参考にしがちな「口コミ」ですが、こちらはさらに注意が必要です。時々「〇〇校は口コミでこんなふうに書かれていたのですが、どうなのですか」というような質問をされることがあります。

 

口コミは、個人の主観が反映されているにすぎません。ほんの数名(1名だけの場合も)の態度の悪い生徒を見て、学校全体の生徒がそうであるかのように口コミしたり、生徒の声がうるさいからと学校の悪口を書き込んだりするということもあります。

 

逆に、自分の子どもが通学している学校だからと必要以上に持ち上げ、過剰に褒めまくっていることもあります。口コミはあくまで個人の感想であり主観ですから、それを鵜呑みにしないように注意してくださいね。

 

③ 子どもか親のどちらかだけで決めてしまう

実際に毎日通うのはお子さま本人です。親が一方的に「この学校が素晴らしいから、ここにしなさい」と押しつけるのはよくありません。仮に子どもが親の言う通りにその学校に入学したとしても、本人の意向に合っていなくて途中でイヤになってしまう可能性もあります。

 

一方、子どもに志望校選びを丸投げしてしまうのも無理があります。そもそも小学生の子どもにはまだ社会経験も判断能力もありません。友達が行くからという安易な理由だけで選んでしまいがちなので、子どもの意見を尊重しつつ、親もいっしょになって真剣に考えてあげてください。

 

④ 両親の意見が不一致!

子どもと話し合う前に、まずは夫婦でしっかり話し合って意見を一致させておくことがとても大切です。

 

よくあるのが、夫婦で意見が違い、子どもが間に挟まって困ってしまうことです。両親の意見がすれ違い、子どもの前で夫婦喧嘩が勃発するような事態となってしまってはもう本末転倒です。子どもは一気に受験する気も失せて、何もかも投げ出したくなってしまいます。

 

⑤ 知名度や偏差値だけで決めてしまう

「あの学校は有名だから」「合格できたら自慢できるから」といった知名度ステイタスだけで決めたり、「今の偏差値にピッタリの学校はここだから」という偏差値がちょうどいいという理由だけで志望校を安易に決めたりするのは避けましょう。

 

もちろん実力に見合った学校選びは必要ではありますが、知名度や偏差値だけで決めてしまうと、後々本人が「何のために受験してまで入った学校なのか」と後悔することになりかねません。

 

大切なことは本人がこの学校に行きたい」と思えることと、「なぜこの学校がいいのか」「この学校に入って何がしたいのか」ということを明確にしておくことです。

 

6. まとめ~志望校選びは中学受験の大きなヤマ!

 

 

 

中学受験は本人の一生を左右する大事な一大イベントです。中学受験をするのかしないのか、第一志望校はどこにするのか、塾はどうするのか、決めることはたくさんあります。

 

とくに志望校決めは、中学受験における1つの大きな「ヤマ」であると言えます。中学、高校や大学までという、子どもから大人へと成長する過程で最も大事な時期を過ごす場となるからです。

 

中学受験をまだ迷っている、またはこれから考えたいというご家庭は、まずはどのような学校があるのかリサーチしてみることから始めてみてください。少しでもいいなと思う学校があれば、親子で見学に行くといいでしょう。その上で中学受験をするか否か決めても遅くないでしょう。

 

志望校は、模試を受けて「成績がこれくらいだからこの学校にしよう」と機械的に決めるのではなく、いろいろな学校を検索し、可能な限り学校見学に行くことをおすすめします。親子でじっくり検討し、よく話し合って、悔いのない受験をしたいものですよね。

 

親子だけではなかなか感情的になってしまって、客観的に決められないということもあるかもしれません。そのような場合は気軽に受験のプロにご相談ください。受験情報を豊富に持つプロならではのアドバイスがもらえますよ!

 

 

 

 

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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