紙の辞書を使おう

  • 2018.08.20
  • プロ教師日記

 テレビショッピングの主力商品・電子辞書――広辞苑も英語辞書もすべて入って、料理レシピや家庭の医学まで幅ひろく網羅。いつの間にか子どもたちが持つようになりました。軽いので塾カバンに最適です。知らない言葉が出てくると、カバンからパッと取り出して電子辞書で調べる。

 

たとえば今の子どもが苦手な和語「つつましい」。子どもたちはパパッと電子辞書で調べる。少し前まで塾でよくみかけた光景です。今はアイパットに変わりました。

 

自分専用のアイパットを持ち、内臓の電子辞書で調べる。それが主流になりました。

 

軽くて、持ち運びがカンタンで、なんでも載っている。すごく勉強がはかどりそうです。小学校の教科書もいずれタブレットになるそうですし、電子機器による勉強は、今後ますます広がりを見せるでしょう。しかし語い力を伸ばすことに関しては、ことに紙の辞書が有用なのです。紙の辞典にはひきまちがいが必ずあります。ひいても目当ての単語が出てくるとは限りません。「あれ? どこだっけ」ひきまちがう。その過程こそが大事なのです。周辺語句に目がいったり、思いもよらぬ単語に出会う。ここが機械による学習に勝てる箇所です。ひきまちがうことで、別の言葉にも出会い、自然と語いがふえていく。電子辞書でピンポイントに学習する子どもと力がちがいます。

 

これは後の英語学習にも通じることです。わからない単語は辞書をひいて、気に入った例文に赤線をひく。この一連の動作を繰りかえすごとに、子どもの中の語い力は、さながらシナプスが記憶回路をつなげていくように伸びていくでしょう。

 

今、子どもたちの言葉の力が全体的に低下しています。私立中学校では人が「言語で思考する」ことを知っているため、書く力・読む力・語いの豊富な子を求めています。国語のテストから語いを問う問題が消えることは今後ないでしょう。ぜひ紙の辞書で、ひきまちがえ、そして多くの語いを獲得していってください。

 

◆ 中学受験部 近藤奈央子 ◆

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管理栄養士
浅田ゆうき先生

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