受験生の食事、何を・どう食べたら良いの?③ 〜栄養補助食品との付き合い方〜

  • 2023.06.21
  • 受験レシピ

成長期のお子さんを持つご家庭では子どもの食事に関して、「普段の食事だけでは栄養が足りているのか不安」、「好き嫌いが多くて栄養バランスが偏りがち」といったお悩みをお聞きすることがよくあります。

ましてや、受験生ともなるとこれに加えて、「塾が忙しく食事の時間があまり取れない」、「勉強に必要な栄養素は足りている?」などといったお悩みも増えてくるのではないでしょうか。

そこで、便利なのが手軽に食べられる栄養補助食品です。
みなさんも1度は手にしたり、購入を検討したりしたことがあると思います。
最近では、スーパーやコンビニなど身近なところでもさまざまな栄養補助食品が販売され、気軽に購入することができるようになりました。

一見、食事で不足する栄養を手軽に補え、とても便利に見えますが摂取頻度や量を間違えるとかえって不調の原因ともなります。

そこで、今回はそのような中から代表的な栄養補助食品との付き合い方をご紹介します。
 



 

◎タンパク質はプロテインで摂れば良い?

体や心、脳の機能維持、子どもの発育にも欠かせないのがタンパク質です。

しかし重要であると分かっていても、偏った食事になりがち、一回の食事量が少ない、好き嫌いが多いなどさまざまな理由から多くの方が不足に陥りやすい栄養素です。

最近では、子どもの成長や運動・勉強パフォーマンスを上げる目的で、子ども向けのプロテインもよく目にするようになりました。
食事からのタンパク質をはじめとする栄養素の不足を補う目的での利用は有効と考える一方で、食事よりもプロテイン頼みになってしまっては危険なことも多くあります。
プロテインの大量摂取はかえって、消化負担が大きくなることや、睡眠や精神面、体調にも悪影響が出てしまうかもしれません。

というのも、タンパク質が体内で代謝されアミノ酸となりエネルギー産生や、各種臓器の機能維持、酵素やホルモン生成などに働く際には、必ず他の栄養素(タンパク質の場合は特にビタミンB6をはじめとするビタミンB群)が必要になってきます。
食物から肉などの形でタンパク質を摂取する場合には、必ずタンパク質の他にも多くのビタミン、ミネラル、脂質といった栄養素が含まれており、体内で効率よくタンパク質が利用できるようになっています。

一方で、プロテインのように人工的に作られた物には、確かにタンパク質だけで見れば非常に多くのタンパク質やアミノ酸を含んでいるように見えますが、それらが体内で働くためのその他の栄養素は少量であったり、含まれていなかったりということもあります。(中には、消化や代謝も計算されその他の栄養素も含有されているものもあります。)

これらはプロテインに限ったことでなく、サプリメントなどのその他の補助食品にも当てはまります。
そのため、あくまでもプロテインやサプリメントなどは食事をしっかり食べた上で補助的に利用するのがよく、理想的にはやはりまずは食物から十分なタンパク質や栄養素の摂取を考えるのがおすすめです。



<レシピ>

〜グリルチキンのカラフルカレーソース〜



【材料】(4人前)

・鶏もも肉……400g
・小麦粉……少々
・油……少々
・パプリカ(黄)……1個
・パプリカ(赤)……1個
・玉ねぎ……1/4個
・セロリ……1/8本
▼▼▼ A ▼▼▼
・酢……大さじ1と1/2
・オリーブオイル……大さじ1と1/2
・塩……小さじ1/4
・カレー粉……小さじ1/3
▲▲▲ A ▲▲▲


【作り方】

  • ① パプリカは縦に4等分に切り種を除いて、グリルで皮が焦げるまでしっかりと焼いた後、氷水に入れ皮をむき、粗みじん切りにする。
    *ここで、この一手間を加えてパプリカを調理することで甘味と旨味が凝縮され、調味料で加糖しなくても美味しくなります。
  • ② 玉ねぎはみじん切りにして、ラップをかけ600Wの電子レンジで1分30秒加熱し、粗熱をとっておく。
  • ③ セロリもみじん切りにして、パプリカ、玉ねぎ、Aの調味料と合わせてよく混ぜ、冷蔵庫で冷やす。
  • ④ 鶏肉は食べやすい大きさに切って、塩(分量外)と小麦粉を薄くまぶし、油をひいたフライパンで全体に焼き目がつくまでしっかりと焼く。
  • ⑤ 器に、鶏肉を盛り付け、③のソースをかけたら出来上がり。
    *鶏肉を焼いた後に小さく切って、ソースと混ぜ合わせるとさらに食べやすくなります。
 



タンパク質豊富な鶏肉と、これから旬を迎えビタミンCやE、βカロテンといったさまざまな栄養素に富んだパプリカを合わせた、初夏にピッタリのメニューです。

酢の酸味とカレーの風味でパプリカや玉ねぎの甘さも際立ち、焼くだけ簡単なグリルチキンがさらに美味しく野菜と食べられます。
冷めても美味しく、さっぱりと食べられるのでこれからの暑い季節にもおすすめです。




◎野菜不足は野菜ジュースで解消?

タンパク質以上に不足を感じやすく、子どもにとって食べにくさを感じる食物は「野菜」ではないでしょうか。
野菜の摂取はビタミンや食物繊維の面からも重要であるとわかっていても、毎日の食生活で不足してしまう事は多くあると思います。

そこで便利になるのが、野菜ジュースなどの手軽に摂れる補助食品です。
中には1日に必要な量の野菜が摂れるといったものや、保存料無添加のもの、加糖をしていないものなど高品質のものも多くあります。
しかしながら、野菜の代わりとして毎日摂取し続けるのはやはり危険が伴います。

野菜と違い加工品では、製造工程の中で失われる栄養素や減少する栄養素(ビタミンCや食物繊維など)があります。

また、糖分を含んでいるものにおいては糖質の過剰摂取にもつながりかねず、かえって偏った栄養摂取に陥りやすくなります。
そのため、あくまで食事からしっかりと摂取する努力をした上で、補助的に取り入れることが大切です。

 

◎腸内環境の強い味方の乳酸菌入り食品

上記のように不足しがちな野菜ですが、野菜の摂取量が減ると食物繊維の摂取量が減り、腸内環境が荒れてしまう一因にもつながります。
腸内環境は、お腹や排便の調子だけでなく、体調を崩しやすくなるといった免疫力や、肌荒れ、鬱々するといた精神バランスなど身体のあらゆることを司っている重要な器官です。

この腸内環境を整える目的で活躍するのが、乳酸菌などの善玉菌が添加された補助食品です。
しかし、ここにおいても摂取の頻度や量を誤ると、不調や病気の一因になりかねないことを知っておく必要があります。

乳酸菌飲料やヨーグルトに限らず、最近では乳酸菌(善玉菌)入りの嗜好品も増え、より身近になってきましたが、これらの加工品の中には飲食しやすくするために砂糖や甘味料などで加糖されたものも多く、過剰摂取は糖質過多による肥満や、不調を招く原因ともなります。

また、添加物や保存料の摂取も考えるとやはり、毎日たくさん摂取することはお勧めできません。
腸内環境を整える上でも、まずは納豆や味噌、チーズといった発酵食品や、野菜・海藻などの食物繊維を毎日の食事の中で意識した上で、補助食品を上手に取り入れることが重要になってきます。

当然のことですが、どんなに良いものでも摂り過ぎは偏りを生み、かえって悪い結果を招いてしまいます。
心身にとっての必要な栄養バランスを整える1番の方法は、遠回りのようにみえますが、やはりさまざまな食材を毎日摂り入れることであり、そのことを知った上で上手に補助食品を取り入れていくことが大切です。




<レシピ> 

〜美腸!豚玉サラダ〜



【材料】(3〜4人分)

・豚肩ロース(薄切り)……150〜200g
・れんこん……50g
・しめじ……1/3株
・大葉……5枚
・玉ねぎ……1/4個
・レタス……適量
・水菜……適量
・卵……3~4個
・みりん……大さじ4
▼▼▼ A ▼▼▼
・しょうゆ……大さじ2
・酢……大さじ1と1/2
・ごま油……大さじ3
・はちみつ……大さじ1/2
・塩……2〜3つまみ
・すりごま……大さじ2
▲▲▲ A ▲▲▲


【作り方】

  • ① 鍋に1Lのお湯を沸かし、200mlの水を加えたら火から下ろして、卵を入れて蓋をして13分ほどおいて温泉卵を作る。
  • ② れんこんは綺麗に洗って薄くスライスし、しめじは手でほぐす。玉ねぎは薄くスライスして水にさらした後よく水気をきっておく。
    大葉は千切りにする。
  • ③ お湯を沸かした鍋に、れんこん、しめじ、豚バラ肉を入れて1分ほど茹でて、ざるにあげる。
    (豚肉がくっつかないように、箸などでほぐしながら茹でる。)
  • ④ 小鍋にみりんを入れて沸騰させアルコールを飛ばしたら、ボウルにAの調味料と一緒に合わせ、れんこん、しめじ、豚肉、玉ねぎ、大葉を加えてよく混ぜ合わせる。(このまま、30分程冷蔵庫などでおくとよく味が馴染んで美味しいです。)
  • ⑤ レタスや水菜を食べやすい大きさに切り水で洗い、よく水気をきったら器に盛り付け、その上に④と温泉卵を乗せたら出来上がり。
 



腸内環境を整える上で欠かせない食物繊維を豊富に含む、根菜やきのこ、葉野菜をお肉や卵と一緒に食べ応えのある、おかず感覚のサラダにしました。
野菜が苦手なお子さんでも、しっかり絡ませた味付きの具材と一緒にすることで食べやすく、さまざまな食材を手軽に摂ることが出来ますので、是非一度作ってみて下さい。

 

 

管理栄養士
浅田ゆうき先生

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