受験生の食事〜試験本番に備えた食事計画〜

  • 2023.12.27
  • 受験レシピ

いよいよ受験本番が近づく大切な時期になってきました。

勉強においてはもちろんのこと、体調管理においても、試験本番に向けさまざまな備えをされていることと思います。


この勉強と体調管理に大きく影響を及ぼすのが、毎日の「食事」です。


これまで度々、受験勉強はマラソンなどの激しいスポーツのようであると例えてきましたが、まさに受験生はアスリート同様に本番で結果を残すために戦っています。

そのため、本番でこれまでの成果を十分発揮できるコンディションを、食事からしっかり作り上げていくことが重要です。


そこで今回は、受験本番に向けた食事計画について詳しくご紹介したいと思います。





 

◎受験本番に備える食事のポイント


◆脳の働きを支えるための良質の油

試験はスポーツと比べ身体的な疲労は少ないように思えますが、脳疲労や精神的な疲労は想像以上に大きなものです。

そのため、素早く脳のエネルギーとなるブドウ糖や糖質の補給が大切だと思われがちですが、これまでご紹介してきたように糖質の過剰摂取や空腹時の単体での摂取は血糖値を乱し、かえって集中力の低下や眠気、脱力、頭痛などの不調を引き起こしやすい状態になります。

そこで、糖質の代わりの素早くエネルギーに変わり、なおかつ血糖値を乱さない栄養素として、活躍するのが、「中鎖脂肪酸」と言われる油です。

中鎖脂肪酸は、ココナッツオイルやM C Tオイルに含まれており、試験前の朝食時などに飲みものや料理に加えて摂取するのもおすすめです。

ただし、中鎖脂肪酸も飽和脂肪酸と言われる脂肪の一種で、摂取過多になると肥満や心筋梗塞などのリスクが上がるため、過剰摂取などには注意が必要です。

また、脂肪酸の摂取バランスを整えるために必要となってくるのが、魚に含まれる不飽和脂肪酸です。
不飽和脂肪酸の一種であるE P Aには血液をサラサラにする作用があるため、脳の細い血管にもくまなく血液がいき渡りやすくなります。

それにより、栄養や酸素が脳細胞のすみずみまで運ばれ、脳の活性化も期待できます。

また、同様に魚の油に多く含まれるDHAは脳内の情報伝達や記憶の保持に大きく関わり、受験生にとっても欠かせない栄養素の一つです。



◆安定した気力を養うタンパク質

試験本番では、1日を通して高い集中力と安定した精神力を保つことも合否を分ける鍵になります。

前の科目での失敗をいつまでも引きずっていては、十分な力は発揮されにくいですし、クヨクヨせずに前を向き続けられるだけの気力が重要になってきます。

この心や気力を作るのがタンパク質です。

普段から十分な量のタンパク質を摂取することで、前向きな心を作るセロトニンや、集中力・やる気ホルモンであるアドレナリンがしっかりと作られるだけでなく、それらが増え過ぎないように落ち着かせるためのホルモンもしっかりと作られ、安定した気持ちで試験本番に臨むことができます。




ここまで聞くと、「受験本番が近づいたら、食事を変えてみよう!」と思われるかもしれませんが、食事は〇〇が良いからと聞いていきなり変えられるものではありません。

自分の体がその食事の消化・吸収に適し、体感を得るまでには時間がかかります。
そのため、試験直前に食事を変えるのではなく、余裕を持って少しずつ時間をかけて変えていく意識で取り組むことも重要です。




<レシピ>

〜タラと蕪の豆乳ハニーマスタードソテー〜



【材料】(2人分)

・タラ……2切れ
・蕪(小蕪)……1/2個
・ニンニク……1片
・バター……10g
▼▼▼ A ▼▼▼
・マヨネーズ……大さじ2
・粒マスタード……小さじ1
・はちみつ……大さじ1/2
・豆乳……大さじ1
・しょうゆ……少々
▲▲▲ A ▲▲▲


【作り方】

  • Aの調味料を混ぜ合わせておく。
    ニンニクはみじん切りにする。
  • ② 蕪は5mm幅のいちょう切りにし、タラは食べやすい大きさに切って塩を少々(分量外)かけて、小麦粉(分量外)も全体に薄くまぶす。
  • ③ フライパンにバターを熱してニンニクを入れて香りがたってきたら、蕪とタラを入れて弱火でじっくり焼く。
    表面に軽く焼き色がついたら、ひっくり返して裏面にも焼き色をつける。
  • Aの調味料を入れて、全体にソースが絡むように混ぜ合わせたら出来上がり。
 



良質の油である不飽和脂肪酸(EPA/DHA)を豊富に含んだタラを使い、魚が苦手、魚では物足りないという方にも、満足してもらえる一品にしました。

冬野菜である蕪には、消化を促進し胃もたれなどを予防してくれる効果や、免疫力を高める抗酸化作用などもあり、冬場の体調管理に欠かせない食材です。

簡単ですので、是非魚料理のレパートリーに加えてみて下さい。



 

◎試験前日の食事


試験前日は、次の日のコンディション作りを第一に考えて、生物(刺身、貝類 など)や消化不良を起こしやすい物(揚げ物、ファストフード など)、極端に食物繊維の多いメニュー(大量の生サラダ など)は避けましょう。

また、夕食時に多くの糖質やデザート、夜食などを摂取すると睡眠の質も落ちやすく、次の日のコンディションにも悪影響が出るので気をつけましょう。




◎試験当日の食事


◆朝食

試験当日は、緊張して食欲が沸かないといった方もいるかもしれません。
しかし、食べることも試験の一環だと思い朝食は食べていくようにしましょう。

ただし、緊張や不安、ストレスなどで消化・吸収能力が低下しているかもしれませんので、そのような場合は食べ慣れているもので消化にあまり負担のかからないものを、タンパク質でしたら半熟卵や白身魚の焼いたもの、かまぼこ、サラダチキンなどを取り入れるものおすすめです。

また、量が食べられない場合には、上記したようにココナッツオイルやM C Tオイルから少量でも素早く高エネルギーを得られる工夫も重要です。
(例:料理に使うほか、温かい飲み物にオイルを混ぜるなど)

 

◆昼食

試験日の途中に食べる昼食も食べ慣れたものを中心に、午後からの試験に備えて集中力が切れたり、眠気に襲われないように糖質の量は控えめに、胃もたれや、消化不良にならないように油物も避け、消化の良いタンパク質や温野菜などを中心に適量を準備してみると良いと思います。

ここでも、食べる順番には気をつけて副菜などの野菜→タンパク質→糖質の順を意識して食べるようにしましょう。



<レシピ>

〜簡単!ココナッツオイルのトマトチキンカレー煮込み〜



【材料】(2人分)

・鳥もも肉……150g
・玉ねぎ……1/4個
・しめじ……20g
・ココナッツオイル……大さじ1
▼▼▼ A ▼▼▼
・トマトペースト……20g
・カレー粉……小さじ1
・はちみつ……小さじ1
・塩……小さじ1/2
・ニンニク(すりおろし)……小さじ1/4
・生姜(すりおろし)……小さじ1/4
▲▲▲ A ▲▲▲
▼▼▼ B ▼▼▼
・生クリーム……50ml
・水……50ml
・酢……小さじ1/2
・はちみつ……小さじ1/2〜1
▲▲▲ B ▲▲▲


【作り方】

  • ① 玉ねぎとしめじはみじん切りにして、適量のココナッツオイルをひいたフライパンで玉ねぎがしんなりするまでよく炒める。
  • ② 鶏肉は食べやすい大きさに切り、Aと一緒によく混ぜ合わせたら、①のフライパンに加えて2〜3分ほど炒める。
  • ③ そこに、Bを入れてさらに4分煮込み、最後に塩(分量外)で味を整えたら出来上がり。
 



肉類の中でも消化吸収の良いタンパク質を豊富に含む鶏肉と、上手に活用したい中鎖脂肪酸たっぷりのココナッツオイルを組み合わせて、食欲そそる一品にしました。

ココナッツオイル独特の風味が苦手な方も多いと思いますが、カレー粉やトマトペーストと合わせることで風味を気にせず食べられます。

カレーとしてご飯と合わせても良いですし、鶏肉を多めにして煮込み料理風にしてお弁当の一品にもぴったりです。

管理栄養士
浅田ゆうき先生

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